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更新日:令和6(2024)年2月19日

ページ番号:6001

(大多喜町)雨をふらせてくれた上人さま

内容

むかし、むかし、ある夏のことだ。大多喜一帯は日照(ひで)りで田んぼの稲も、畑の作物の枯れかかり困っていた。そこで村の衆(しゅう)は妙厳寺(みょうごんじ)の上人(しょうにん)さまに、相談に行った。すると上人(しょうにん)さまは

 

「天に近い野々塚山(ののづかやま)で祈りましょう」

と言ってくださった。

 

山のいただきにつくと、お祈りが始まった。上人(しょうにん)さまの力強い声が山にこだました。村人たちも手を合わせ、(仏さま雨をふらせてくださいませ。田んぼの稲も畑の作物の枯(か)れてしまいます)(どうか雨をふらせてくださいませ)と、心の中で祈った。

太陽が野々塚山(ののづかやま)の真上に来た。村人の顔には(やっぱりだめか)というあきらめの表情がみえてきた。しかし、上人(しょうにん)さまの声はおとろえることなくつづいた。上人(しょうにん)さまの額(ひたい)からは汗がポタポタ落ち、衣もぬれてきた。

「やっぱり、だめかねえ」

「雲のけはいもないね・・・」

村人に絶望感(ぜつぼうかん)がただよってきた。その時だ。

「雲だ。雲だ。みろ、雲だ」

歓声(かんせい)があがった。

「おお、雲だ。ご上人(しょうにん)さまのお祈りがとどいたのだ」

黒雲がものすごいいきおいで、広がり、野々塚山(ののづかやま)の頭上に近づいてきた。

「あれは、なんだ」

「りゅう・・・竜だ、竜だ」

黒雲の中を、とてつもなく大きな竜が体をくねらせ泳いでいるではないか。竜が太陽をおおうと、空一面に黒雲がわきあがり、すさまじいいきおいで雨がふりはじめた。

「ありがとうございます。生きていくことができます」

野々塚山(ののづかやま)の頂(いただき)は喜びにわきかえった。雨は木々にも、稲にも畑の作物にも、土ぼこりの道にも・・・大地のすべてのもに、しみいるようにふりつづいた。おかげで、ひびわれた田んぼや畑も生きかえり、大多喜の人は日照りの夏をのりきることができた。

野々塚山(ののづかやま)には「雨ごい」の碑(ひ)が建てられている。

 

おしまい

出典・問い合わせ先

  • 出典:「広報おおたきNo.407」(「ふるさと民話さんぽ」斉藤弥四郎)
  • 問い合わせ先:大多喜町外部サイトへのリンク

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