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更新日:令和6(2024)年12月5日
ページ番号:3464
(平成8年3月25日千葉県条例第1号)
前文
すべての人が個人として尊重され、住み慣れた家庭や地域社会で、できる限り自立し、安全で快適に生きがいを持って暮らすことができ、そして地域社会を構成する重要な一員として参画し、一人ひとりが、思いやりの心を持って互いに支え合う社会の実現は、私たち千葉県民すべての願いである。
このような社会を実現するためには、私たち一人ひとりが、自らの責任と社会を構成する一員としての自覚の下に、一個の人間として尊重し合うことを基本に、高齢になっても、また、心身に障害があっても、社会からのサービスを平等に享受でき、自らの意思で自由に行動し、意欲や能力に応じて積極的に社会参加でき、そして子供から高齢者までが世代を超えて活発に交流できるように、高齢者や障害者等の日常生活や社会生活における様々な障壁を取り除いていく、福祉のまちづくりを進めていくことが何よりも必要である。
本格的な長寿社会を迎えつつある中で、私たち一人ひとりの幸せを大切にする、活力ある明るい千葉県の未来をつくるため、今こそ、県民総意の下、県、市町村、事業者及び県民が、互いに協力し、それぞれの役割を積極的に果たし、一体となって、福祉のまちづくりに取り組まなければならない。
私たち県民は、共に力を合わせ、福祉のまちづくりに取り組むことを決意し、ここに千葉県福祉のまちづくり条例を制定する。
第1章総則
(目的)
第1条
この条例は、高齢者、障害者等が安心して生活し、自らの意思で自由に行動し、及び平等に参加することができる社会を構築するために行われる福祉のまちづくりに関し、県、市町村、事業者及び県民の責務を明らかにするとともに、福祉のまちづくりのための施策及び高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できる施設等の整備について必要な事項を定めることにより、福祉のまちづくりの総合的な推進を図り、もって県民の福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、「高齢者、障害者等」とは、高齢者、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条第1号に規定する障害者その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう。
2この条例において、「公益的施設等」とは、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、共同住宅、事務所、学校その他の不特定かつ多数の者が利用する建築物及び公共交通機関の施設、道路、公園その他の公共の用に供する施設をいう。
(県の責務)
第3条
県は、福祉のまちづくりに関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2県は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市町村との連絡調整を緊密に行うよう努めるものとする。
(市町村の責務)
第4条
市町村は、当該市町村の区域の実情に応じた福祉のまちづくりに関する施策を策定し、及び実施するとともに、県が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第5条
事業者は、事業活動を行うに当たっては、自ら進んで福祉のまちづくりに取り組むよう努めるとともに、その所有し、又は管理する施設等について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるように必要な措置を講ずる責務を有する。
2事業者は、県又は市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力する責務を有する。
(県民の責務)
第6条
県民は、福祉のまちづくりに関する理解を深め、自ら進んで福祉のまちづくりに取り組むよう努めるとともに、相互に協力して福祉のまちづくりを推進する責務を有する。
2県民は、県又は市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力する責務を有する。
第2章福祉のまちづくりに関する施策
(施策の基本方針)
第7条
県は、次の各号に掲げる基本方針に基づき、福祉のまちづくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るものとする。
1すべての県民が福祉のまちづくりに積極的に取り組むよう意識の高揚を図るものとする。
2高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できる施設等の整備を推進すること。
(啓発活動)
第8条
県は、福祉のまちづくりについて、事業者及び県民の理解を深めるため、広報活動、教育活動その他の啓発活動を行うよう努めるものとする。
(情報の提供等)
第9条
県は、市町村、事業者及び県民に対し、福祉のまちづくりに関する必要な情報の提供、指導及び助言を行うよう努めるものとする。
(調査及び研究)
第10条
県は、市町村、事業者及び県民が、福祉のまちづくりを効果的に推進するため、必要な調査及び研究を行うよう努めるものとする。
(施設等の整備)
第11条
県は、自ら設置し、又は管理する施設等について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めるものとする。
(財政上の措置)
第12条
県は、福祉のまちづくりを推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(推進体制の整備)
第13条
県は、県、市町村、事業者及び県民が一体となって福祉のまちづくりを推進する体制を整備するよう努めるものとする。
第3章公益的施設等の整備等
第1節公益的施設等の整備
(整備基準)
第14条
知事は、公益的施設等の構造及び設備の整備に関し、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるものとするために必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。
2整備基準は、次の各号に掲げる事項について、公益的施設等の種類の区分に応じて規則で定める。
(整備基準への適合)
第15条
公益的施設等を所有し、又は管理する者(以下「施設所有者等」という。)は、当該公益的施設等を整備基準に適合させるよう努めなければならない。
(施設の維持等)
第16条
施設所有者等は、整備基準に適合した公益的施設等について、当該適合した部分の機能を維持するよう努めなければならない。
2公益的施設等の利用者は、当該公益的施設等の整備基準に適合している部分の機能の妨げとなる行為をしてはならない。
(適合証の交付)
第17条
整備基準に適合している公益的施設等を所有し、又は管理する者は、規則で定めるところにより、知事に当該公益的施設等が整備基準に適合していることを証する証票(以下「適合証」という。)の交付を請求することができる。
2知事は、前項の規定による請求があった場合において、当該公益的施設等が整備基準に適合していると認めるときは、当該請求をした者に対し、適合証を交付するものとする。
3知事は、前項の規定により適合証の交付をした場合においては、その旨を公表するものとする。
第2節特定施設に係る措置
(届出)
第18条
公益的施設等で規則で定める種類及び規模のもの(以下「特定施設」という。)の新設又は改修(建築物については、増築、改築、移転、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条第15号に規定する大規模の模様替えをいう。以下同じ。)をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより知事に届け出なければならない。
2前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。ただし、規則で定める軽微な変更にあっては、この限りでない。
(指導及び助言)
第19条
知事は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る特定施設が整備基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な指導及び助言をすることができる。
(工事完了の届出)
第20条
第18条の規定による届出をした者は、当該届出に係る特定施設の新設又は改修の工事を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。
(勧告)
第21条
知事は、第18条の規定による届出を行わずに特定施設の新設又は改修の工事に着手した者に対し、当該届出を行うよう勧告することができる。
2知事は、第18条の規定による届出を行った者が当該届出に係る工事を行った場合において、当該工事が届出の内容と異なり、かつ、当該届出に係る特定施設が整備基準に適合しないときは、当該届出を行った者に対し、当該届出の内容に基づく工事を行うことその他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
3知事は、第19条の規定による指導及び助言を受けた者が当該指導及び助言に係る工事を行った場合において、正当な理由なく当該指導及び助言に従わず、かつ、当該指導及び助言に係る特定施設が整備基準に適合しないときは、当該指導及び助言を受けた者に対し、当該指導及び助言の内容に従うことその他必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(公表)
第22条
知事は、前条の規定による勧告を受けたものが当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
(適合状況の報告等)
第23条
知事は、この章の規定の施行の際現に存する特定施設(新設又は改修の工事中のものを含む。以下「既存特定施設」という。)を所有し、又は管理している者に対し、特に必要があると認めるときは、当該既存特定施設の整備基準への適合状況の報告を求め、又は必要な指導及び助言をすることができる。
(立入調査)
第24条
知事は、第19条及び第21条から前条までの規定の施行に必要な限度において、当該職員に、特定施設に立ち入り、当該特定施設の構造及び設備について調査させることができる。
2前項の規定により立入調査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4知事は、第1項の立入調査に協力しなかった者があるときは、その旨を公表することができる。
(国等に関する特例)
第25条
第18条から前条までの規定は、国、地方公共団体その他規則で定める公共的団体については、適用しない。ただし、国、他の地方公共団体その他規則で定める公共的団体は、特定施設の新設又は改修をしようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、知事にその内容を通知するものとする。
第3節旅客車両等、公益的工作物及び住宅等の整備
(旅客車両等の整備)
第26条
鉄道又は軌道の車両、自動車、船舶その他の旅客の用に供する機器を所有し、又は管理する者は、当該所有し、又は管理する機器について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。
(公共的工作物の整備)
第27条
信号機、公衆電話ボックス、自動販売機その他の公共の用に供する工作物を設置し、又は管理する者は、当該設置し、又は管理する工作物について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。
(住宅等の整備)
第28条
住宅又は住宅の用に供する土地(以下「住宅等」という。)を供給する事業者は、当該供給する住宅等について、高齢者、障害者等が安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。
2県民は、その所有する住宅等について、居住する者が将来にわたって安全かつ快適に利用できるようその整備に努めなければならない。
第4章雑則
(意見の聴取)
第29条
知事は、第22条及び第24条第4項の規定による公表を行う場合には、あらかじめ、期日、場所及び事案の内容を示して、当事者又は代理人の出頭を求めて、意見の聴取を行わなければならない。ただし、これらの者が正当な理由がなくて意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで公表をすることができる。
(委任)
第30条
この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章及び第29条の規定は、平成9年4月1日から施行する。
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