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更新日:令和4(2022)年3月9日

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2021年11月に千葉県館山市に漂着した軽石について

1. 概要

 2021年8月の小笠原諸島福徳岡ノ場の噴火で発生した大量の軽石は、軽石いかだを形成し漂流して日本全国様々な場所で観測されました。これらに由来するとみられる軽石が、11月中旬頃に本県の館山市、勝浦市などで確認されました。危機管理課の依頼を受け、環境研究センターでは千葉県館山市に漂着した軽石について肉眼観察、薄片観察、火山ガラスの屈折率測定及びSEM-EDSによる簡易定量分析を行い、沖縄に漂着した福徳岡ノ場由来の軽石との比較を行いました。

 その結果、千葉県館山市に漂着した軽石は、沖縄県に漂着した軽石と特徴が一致しており福徳岡ノ場由来であると考えられます。

2. 調査内容

2. 1. 対象試料(採取場所及び採取日)

千葉県の軽石試料

  • 館山市相浜海岸(11月16日)、館山市布良漁港(11月18日、当センターで採取)

沖縄県の軽石試料

  • 沖縄県国頭郡・他(11月中旬)、糸満市北名城海岸(11月23日)

2. 2. 実施内容

 実施内容は以下のとおりです。

  1. 肉眼及び実体鏡による観察
  2. 偏光顕微鏡による薄片観察
  3. 温度可変型屈折率測定装置による火山ガラスの屈折率の測定
  4. 走査型電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分析装置(SEM-EDS)による火山ガラス組成の測定

3. 調査結果

 調査結果は以下のとおりです。

  • 1. 肉眼及び実体顕微鏡による観察

 両試料ともにチョコチップクッキーの様な見た目を示すことが非常に特徴的です(産業技術総合研究所HP)。色は灰色~濃灰色で表面には凹凸があり多孔質でした。また、繊維状やスポンジ状になっている部分もみられました。両試料の特徴は類似していました。

代表的な軽石の写真

  • 2. 偏光顕微鏡による薄片観察

 両試料ともに斜長石、単斜輝石、かんらん石、不透明鉱物を含み、両者の特徴は類似していました。

代表的な薄片写真

  • 3. 温度可変型屈折率測定装置による火山ガラスの屈折率の測定

 千葉県の軽石の火山ガラスの最頻値のピークは1.509-1.517の範囲にあり、沖縄県の軽石と屈折率の範囲・値は類似していました。

代表的な火山ガラスの屈折率のヒストグラム

  • 4. SEM-EDSによる火山ガラス組成の測定

 両試料ともにほぼ同一の組成を示しました。また、公表されている2021年噴出物などのガラス組成(Yoshida et al., 2022)のデータとも整合的で、アルカリ元素に富むトラカイトと呼ばれる組成を示しました。

SEM-EDSによる火山ガラス組成の測定結果図

4. 結論

 以上より千葉県に漂着した軽石は福徳岡ノ場由来であると考えられます。

5. 謝辞

 沖縄県の軽石試料を提供してくださった方々に感謝申し上げます。

6. 参考文献

 参考文献のPDF(PDF:744.8KB)

お問い合わせ

所属課室:環境生活部環境研究センター地質環境研究室

電話番号:043-243-0261

ファックス番号:043-243-0263

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