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令和6年千葉県における地盤沈下の概況について

発表日：令和7年12月19日
千葉県環境生活部水質保全課

1　調査概要

（1）調査方法

1級水準測量（基準日：令和7年1月1日）

（2）調査対象地域

東葛、葛南、千葉・市原、君津、北総及び九十九里地域の47市町村

（地下水採取規制区域の29市町及び天然ガスかん水採取地域の16市町村を含む）

（3）調査に用いた水準点数

1,073点（令和5年調査：1,071点）

（4）調査面積

3,208.5平方キロメートル（令和5年調査：3,208.5平方キロメートル）

2　調査結果の概要

（1）地盤沈下が見られた面積：1,439.6平方キロメートル（調査面積の44.9%）

• ア　令和5年調査結果と比較して1,631.4平方キロメートル減少した。
• イ　2センチメートル以上の沈下がみられた面積は0.1平方キロメートルであり、令和5年調査結果と比較して299.8平方キロメートル減少した。
• ウ　5年間累計（令和2から令和6年）では10センチメートル以上の沈下がみられた面積は29.8平方キロメートルであり、前5年間（平成27から令和元年）と比較して26.5平方キロメートル増加した。

（2）地盤沈下が見られた水準点：491点（令和5年調査：1,029点）

最も沈下したのは睦沢町大上（おおがみ）にある水準点で、沈下量は2.01センチメートルであった。

（3）地盤沈下が見られなかった水準点：582点（令和5年調査：42点）

最も隆起したのは八千代市緑が丘（みどりがおか）一丁目にある水準点で、隆起量は1.66センチメートルであった。

3　地盤沈下の原因

地盤沈下の一般的な原因として、地下水や天然ガスかん水の採取等の人為的要因、若しくは地震動や時間経過による圧密等の自然的要因、又はこれらの複合要因が考えられている。

※　圧密：ゆれや上部からの荷重によって地層中の水や空気が移動して地層が収縮する現象。

4　地盤沈下の対策

地盤沈下のうち、人為的要因による地盤沈下は防止を図る必要があることから、引き続き、以下の施策を講ずることとする。

（1）モニタリング

地盤沈下の状況等を把握するため、観測井による地下水位等の測定及び地盤変動調査を継続する。

（2）法・条例による地下水採取規制

地下水の採取による地盤沈下を防止するため、工業用水法、建築物用地下水の採取の規制に関する法律（ビル用水法）、千葉県環境保全条例により、千葉市を除く28市町の指定地域において、引き続き地下水採取規制を実施する。（千葉市については、県と同様の規制を実施）

（3）「地盤沈下の防止に関する協定」による天然ガスかん水採取の削減等の取組

天然ガスかん水採取による地盤沈下を防止するため、かん水を採取する企業と県は「地盤沈下の防止に関する協定」及び遵守すべき協定値等を定めた「地盤沈下の防止に関する細目協定」を締結し、かん水地上排水量の削減等の取組を進めている。

【県内のかん水採取地域（16市町村）】

• ※　かん水地上排水量：地下から採取した天然ガスかん水の量から、天然ガスやヨードを分離した後のかん水を地下へ戻し入れた量を差し引いた水量で、地上に排出する水量。

 

≪参考資料≫

1　地盤変動調査について

令和6年の地盤変動量は、令和6年1月1日と令和7年1月1日における水準点の標高差から、各水準点（1,073点）の変動量を求め、これを基に変動量の等値線図を作成し、沈下面積を算定している。

• ※　水準点は、正確な高さを求める測量のため設置された、その周辺の高さの基準となる測量標。

2　調査範囲

法・条例に基づく地下水採取規制区域及び天然ガスかん水採取地域を中心に、以下の47市町村で実施。

（調査対象面積は、県全体（5,156.5平方キロメートル）の約6割にあたる3,208.5平方キロメートル）

調査地域と対象市町村

調査地域	対象市町村（全47市町村）
東葛(5)	松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市
葛南(6)	市川市、船橋市、習志野市、八千代市、鎌ケ谷市、浦安市
千葉・市原(4)	千葉市、市原市、四街道市、長柄町
君津(4)	木更津市、君津市、富津市、袖ケ浦市
北総(9)	成田市、佐倉市、八街市、印西市、白井市、富里市、酒々井町、栄町、芝山町
九十九里(19)	銚子市、茂原市、東金市、旭市、勝浦市、匝瑳市、山武市、いすみ市、大網白里市、多古町、九十九里町、横芝光町、一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長南町、大多喜町、御宿町

＜法・条例に基づく規制＞

• 工業用水法
  工業の健全な発達と地盤沈下の防止に資することを目的に、指定地域内で製造業、電気供給業など工業の用に供する地下水について、揚水機の吐出口断面積6平方センチメートルを超える井戸での採取を規制。

• 建築物用地下水の採取の規制に関する法律（ビル用水法）
  地盤沈下を防止するため、指定地域内の建築物用地下水（冷房設備、水洗便所などの用に供する地下水）について、揚水機の吐出口断面積6平方センチメートルを超える井戸での採取を規制。

• 千葉県環境保全条例
  地盤沈下の防止及び地下水の保全を図るため、工業用水法、ビル用水法及び温泉法の規制を受ける場合を除き、指定地域内で工業、農業その他の事業の用に供する地下水について、揚水機の吐出口断面積6平方センチメートルを超える井戸での採取を規制。

• ※　参考までに地下水採取規制区域等の図を図5に示す。（図5「地下水採取規制区域及び天然ガスかん水採取地域」参照）（PDF：453.5KB）

3　地盤変動状況について

（1）地盤沈下が見られた面積

ア　令和6年調査結果（1年間沈下量）（図1「令和6年地盤沈下状況（１年間沈下量）」参照）（PDF：589.4KB）

調査面積（3,208.5平方キロメートル）の44.9%にあたる1,439.6平方キロメートルで地盤沈下が見られ、令和5年調査結果（3,071.0平方キロメートル）と比較して、面積は1,631.4平方キロメートル減少した。

なお、2センチメートル以上の沈下が見られた面積は0.1平方キロメートルであり、令和5年調査結果に比べ299.8平方キロメートル減少しており、4センチメートル以上の沈下は見られなかった。

内訳

区分	地盤沈下面積 （平方キロメートル）	比率(対調査面積)	対前年比増減 （平方キロメートル）
2cm未満	1,439.5	44.9％	-1,331.6
2cm以上	0.1	0.0%	-299.8
県全体	1,439.6	44.9％	-1,631.4

＜各地域の状況＞

東葛、葛南、千葉・市原、君津及び北総地域では2センチメートル以上の地盤沈下が見られなかったが、九十九里地域で2センチメートル以上の沈下が見られた。

なお、令和5年調査では、千葉・市原、北総及び九十九里地域において2センチメートル以上の沈下が見られた。

※　参考までに1センチメートル間隔での地盤変動図を図4に示す。（図4「令和６年地盤沈下状況（1年間1センチメートル間隔沈下量）」参照）（PDF：630.6KB）

令和6年地域別・沈下量別地盤沈下面積［単位：平方キロメートル］

地域	調査面積	地盤沈下が 見られた面積	沈下量別 地盤沈下面積 2cm未満	沈下量別 地盤沈下面積 2cm以上 4cm未満	沈下量別 地盤沈下面積 4cm以上	地盤沈下が 見られなかった 面積
東葛	357.6 （357.6）	4.1 （357.6）	4.1 （357.6）	0 （0）	0 (0)	353.5 (0)
葛南	253.9 (253.9)	0.8 (253.6)	0.8 (253.6)	0 (0)	0 (0)	253.1 (0.3)
千葉・ 市原	617.8 (617.8)	190.3 (617.8)	190.3 (603.2)	0 (14.6)	0 (0)	427.5 (0)
君津	264.3 (264.3)	25.1 (202.0)	25.1 (202.0)	0 (0)	0 (0)	239.2 (62.3)
北総	643.8 (643.8)	270.4 (643.8)	270.4 (511.5)	0 (132.3)	0 (0)	373.4 (0)
九十九里	1,071.1 (1,071.1)	948.9 (996.2)	948.8 (843.2)	0.1 (153.0)	0 (0)	122.2 (74.9)
合計	3,208.5 (3,208.5)	1,439.6 (3,071.0)	1,439.5 (2,771.1)	0.1 (299.9)	0 (0)	1,768.9 (137.5)

(注)括弧内は令和5年調査結果

イ　5年間累計沈下量（図2「5年間累計の地盤沈下状況（5年間累計沈下量）」参照）（PDF：705.3KB）

令和2から令和6年の5年間累計では、調査面積（3,207.9平方キロメートル）の55.4%にあたる1,777.7平方キロメートルで地盤沈下が見られた。
また、前5年間（平成27から令和元年）で沈下が見られた面積（2,493.7平方キロメートル）と比較すると、716.0平方キロメートル減少しており、4センチメートル以上の沈下が見られた面積は78.7平方キロメートル増加し、うち10センチメートル以上の沈下が見られた面積は26.5平方キロメートル増加した。

※の合計は、+78.7平方キロメートル

＜各地域の状況＞

東葛、葛南及び君津地域では、4センチメートル以上の地盤沈下は見られなかった。

一方、千葉・市原、北総及び九十九里地域では、4センチメートル以上の沈下が見られ、千葉・市原地域では地盤沈下面積の5.0%、北総地域では38.9%、九十九里地域では31.4%を占めていた。

区分	地盤沈下面積 （平方キロメートル）	4cm未満の沈下面積 （平方キロメートル）	4cm以上の沈下面積 （平方キロメートル）
東葛、葛南、君津地域	118.3	118.3 (100%)	0 (0%)
千葉・市原地域	389.4	370.0 (95.0%)	19.4 (5.0%)
北総地域	345.5	211.2 (61.1%)	134.3 (38.9%)
九十九里地域	924.5	633.8 (68.6%)	290.7 (31.4%)

(注)括弧内は各地域の地盤沈下面積に対する比率

5年間累計の地域別・沈下量別地盤沈下面積（令和2から令和6年）［単位：平方キロメートル］

地域	調査 面積	地盤沈下が 見られた 面積	沈下量別 地盤沈下 面積 2cm未満	沈下量別 地盤沈下 面積 2cm以上 4cm未満	沈下量別 地盤沈下 面積 4cm以上 6cm未満	沈下量別 地盤沈下 面積 6cm以上 8cm未満	沈下量別 地盤沈下 面積 8cm以上 10cm未満	沈下量別 地盤沈下 面積 10cm以上	地盤沈下が 見られなかった 面積
東葛	358.2 (358.2)	15.2 (244.8)	15.2 (233.3)	0 (11.5)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	343.0 (113.4)
葛南	253.9 (253.9)	16.2 (125.9)	16.2 (120.8)	0 (4.1)	0 (1.0)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	237.7 (128.0)
千葉・ 市原	617.8 (617.8)	389.4 (542.4)	317.1 (465.2)	52.9 (73.1)	13.8 (4.1)	4.5 (0)	1.1 (0)	0 (0)	228.4 (75.4)
君津	264.3 (264.3)	86.9 (163.8)	86.9 (163.8)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	0 (0)	177.4 (100.5)
北総	643.8 (643.8)	345.5 (561.4)	118.1 (344.7)	93.1 (88.0)	47.1 (62.2)	31.2 (35.7)	28.5 (27.5)	27.5 (3.3)	298.3 (82.4)
九十九里	1,069.9 (1,069.9)	924.5 (862.6)	307.0 (336.6)	326.8 (294.1)	205.7 (204.7)	62.3 (26.3)	20.4 (0.9)	2.3 (0)	145.4 (207.3)
合計	3,207.9 (3,207.9)	1,777.7 (2,493.7)	860.5 (1,657.2)	472.8 (470.8)	266.6 (272.0)	98.0 (62.0)	50.0 (28.4)	29.8 (3.3)	1,430.2 (714.2)

(注)括弧内は平成27から令和元年の5年間累計

（2）地盤沈下が見られた水準点

• ア　水準点数：491点（令和5年調査：1,029点）
• イ　最も沈下した水準点：睦沢町大上（おおがみ）2.01センチメートル
  （令和5年調査：富里市十倉（とくら）3.84センチメートル）

地盤沈下量の大きな水準点（上位11点）

所在地	名称	地盤変動量 (センチメートル) 令和6年	地盤変動量 (センチメートル) 令和5年
睦沢町大上（おおがみ）	MT-22	-2.01	-2.30
茂原市下小田（しもおおだ）	T-15	-1.89	-2.74
茂原市本納（ほんのう）	3932	-1.88	-2.72
八街市榎戸（えのきど）	YM-13	-1.85	-3.37
富里市七栄（ななえ）	TM-4	-1.77	-3.61
富里市十倉（とくら）	TM-6	-1.76	-3.55
富里市高松（たかまつ）	TM-18	-1.76	-3.77
茂原市大沢（おおさわ）	T-11	-1.73	-2.85
佐倉市米戸（こめど）	SK-4	-1.71	-3.18
茂原市本納（ほんのう）	3931	-1.67	-2.70
茂原市西野（にしの）	44	-1.67	-2.49

（参考:直近5年間の年別最大沈下水準点）

年	所在地	名称	地盤変動量 (センチメートル)
令和6年	睦沢町大上（おおがみ）	MT-22	-2.01
令和5年	富里市十倉（とくら）	TM-17	-3.84
令和4年	富里市高松（たかまつ）	TM-18	-2.46
令和3年	長生村七井土（なないど）	3926	-1.83
令和2年	富里市高松（たかまつ）	TM-18	-2.47

（3）地盤沈下が見られなかった水準点（地盤隆起した水準点を含む）

• ア　水準点数：582点（令和5年調査：42点）
• イ　最も隆起した水準点：八千代市緑が丘（みどりがおか）一丁目　1.66センチメートル
  （令和5年調査：木更津市矢那（やな）0.37センチメートル）

地盤隆起量の大きな水準点（上位10点）

所在地	名称	地盤変動量 (センチメートル) 令和6年	地盤変動量 (センチメートル) 令和5年
八千代市緑が丘（みどりがおか）一丁目	Ya-11	+1.66	-1.91
成田市南羽鳥（みなみはどり）	NR-14	+1.34	-0.16
市原市市原（いちはら）	No.27	+1.23	-1.36
成田市幡谷（はたや）	NR-34	+1.21	-1.25
船橋市夏見台（なつみだい）六丁目	F-26	+1.20	-1.55
印西市笠神（かさがみ）	Mo-2	+1.20	-0.94
成田市長沼（ながぬま）	NR-18	+1.13	-0.90
成田市宝田（たからだ）	NR-20	+1.10	-0.94
印西市松虫（まつむし）	IM-4	+1.10	-1.32
印西市中根（なかね）	Mo-3	+1.09	-1.12

（4）各地域の地盤沈下の推移（図3「各地域の地盤沈下の推移」参照）（PDF：286.6KB）

昭和40年代に地盤沈下が激しかった葛南、千葉・市原地域では、地下水の採取は工業用水法、千葉県環境保全条例等による規制等により大幅に削減され、また、天然ガスかん水の採取は「地盤沈下の防止に関する協定」や天然ガス鉱区の買い上げ等により削減されたことによって、地盤沈下は沈静化の傾向にある。

一方、北総地域では、地下水の採取状況に大きな変化がなく、地盤沈下が継続している状況が見られる。

また、天然ガス採取が行われている九十九里地域では「地盤沈下の防止に関する細目協定」に基づく天然ガスかん水採取の削減等の取組が行われているが、地盤沈下が継続している状況にある。

関連リンク

• 報道発表資料(図表付き全文)（PDF：1,892.9KB）
• 図1　令和6年地盤沈下状況（1年間沈下量）（PDF：589.4KB）
• 図2　5年間累計の地盤沈下状況（5年間累計沈下量）（PDF：705.3KB）
• 図3　各地域の地盤沈下の推移（PDF：286.6KB）
• 図4　【参考】令和6年地盤沈下状況（1年間1センチメートル間隔沈下量）（PDF：630.6KB）
• 図5　【参考】地下水採取規制区域及び天然ガスかん水採取地域（PDF：453.5KB）

報道発表用記事