第二回鴨川市内における大規模太陽光発電施設計画に関する有識者会議の結果について
1.開催目的
千葉県鴨川市における大規模太陽光発電施設計画に関し、学識を有する者から技術的な点も含め、幅広く意見を聴くため。
2.開催日時
令和8年2月6日(金曜日)
3.出席者
(1)鴨川市内における大規模太陽光発電施設計画に関する有識者会議委員
釜井 俊孝(京都大学 名誉教授、防災・地すべり)※座長
鈴木 庸夫(千葉大学 名誉教授、行政法)※副座長
大谷 益世(公認会計士、企業会計)
菊地 友則(千葉大学 准教授、環境)
橘 隆一(東京農業大学 教授、森林)
中井 検裕(東京科学大学 名誉教授、国土計画・都市計画)
増川 武昭(太陽光発電協会(JPEA) 事務局長、太陽光発電)
(若井 明彦委員は、所用により欠席)
(2)県
総務部長、県土整備部長、商工労働部次長、農林水産部次長 ほか
(上記部のほか、環境生活部の職員)
(3)鴨川市
副市長、市民福祉部長、建設経済部長 ほか
4.会議の概要
(1)事案の経過等について
FIT 認定失効や許可条件違反伐採地復旧の一部実施などを説明。
(2)各委員意見の共有と意見交換
現地確認等を踏まえた各委員の意見を資料2により共有するとともに、各委員による意見交換を行った。
【委員からの主な意見】
- 林地開発・盛土について
(現地の状況を踏まえた工法について)
- 開発場所となる谷部や尾根部で確認された地下水や地質の状況を踏まえると、渓流の踏査や地質の状況などの現況をしっかりと把握しておくことが必要である。また、盛土の安全性を確保するためには、盛土のスレーキングや地下水が溜まることなどを抑制するため、排水処理施設を適切に設置することとともに、細かく調整した礫径とし、十分な転圧を行っていくことが必要である。
(施工について)
- 不適切な盛土の発生を防ぐためには、施工が設計図書どおりに行われるよう、行政の関与も含めた適切な管理が必要である。また、造成後においても安全性の監視が必要である。
- 大規模な開発工事が適切に行われるには、小規模な施工ができているという確証を得てから大規模な施工に移るなど、計画の実現可能性についてしっかり確認していく必要がある。
- 地域生活や環境への影響を抑えていくためには、スモールスタートで始めることが望ましい。
(その他)
- 大規模な事業であるので、工事後も安全性の継続が重要。例えば、暗渠管の機能が維持されていくことが必要であり、継続して維持管理ができるような仕組みを構築するよう事業者に指導してもよいのではないか。また、事業者が施設を長期間にわたって、適切に維持管理を徹底できるのか、維持管理の状況を監視する体制をしっかりやってもらうことも重要。
- 太陽光パネルの発電効率は年々向上しており、少ない面積でも活用できるものもある。事業継続の場合でも、開発エリアを絞るなど、開発面積を縮小できるのではないか。森林の公益的機能の確保の観点からも開発を最小限なものとすることは望ましく、地域との共生も重要であり、計画内容を改めて確認する必要がある。
- 許可条件違反伐採された残置森林の復旧について
- 表土を安定させることが最優先である。
- 表土が薄く、かつ、急勾配で流れ出しやすいことを踏まえると、切株や伐採木も活用しながら柵をつくるなど、表土を安定化させる必要がある。さらに表面緑化と組み合わせていく方法もある。
- 植樹が困難であれば、緑化などを実施してもよいと思う。
- 急勾配であることから、草本類(ノシバやススキ等)や、肥料木(ハギやアキグミ等)も活用し、速やかに地表面を被覆することが望ましい。
- 植栽の実施時期は、春か秋が望ましい。適期に植栽できない場合は、まずは草本による緑化(被覆)を図り、適切な時期に木本を植栽する段階的な方法も考えられる。
- 森林の復旧については、土壌や地形などの条件によるところもあり、一概には言えないが、近年の夏場の高温や高強度降雨の状況等も踏まえて、対応を考えていく必要がある。
- 自然環境の保全について
- 植物の移植に関して、移植先の生育密度が高くなると活着率が低下する可能性がある。例えば、重要種のレッドリストのランクに応じて重み付けをして、移植の優先度を決めるなどが考えられる。適正な移植先が限られているのであれば、保全対象の地域個体群が全国的に見て、どの程度重要なのかなども併せて考慮するとよい。計画変更などが行われる場合には、できる限り移植を実施しないで済むような開発計画とすることが望ましい。
- 動物の移植に関して、計画変更などが行われる場合には、移植をできるだけ実施しないで済むような開発計画とすることが望ましい。移植をする場合でも開発による環境変化を考慮し、現在設定した移植地のほかに、生息環境としてよりよい場所があるなら、移植候補地として検討すべきである。
- 移植を通じた保護対策の限界を踏まえ、形式上だけでなく実質的な生物保全につながる保護が望ましい。具体的には、開発に伴うエッジ効果(高温化・乾燥化)による環境変化を考えた場合、動植物の保存地域として設定されている保全エリアはより幅広いほうが望ましい。動植物の保全場所を確実に担保するために、計画変更などが行われる場合には、保全エリアの拡張も検討すべきである。
- 地域との共生について
(地域と事業者のコミュニケーションについて)
- 電力ユーザーにとっては、地域と共生して生み出された電力が望ましく、その観点からも、県は、事業者と地域住民のコミュニケーションが図られるよう尽力されたい。
- 施設の火災なども不安を持たれている面もあると思う。施設における防火設備の整備なども必要となっていることなど、きちんと不安解消のために地域とコミュニケーションをとっていく必要もあるだろう。
- また、設備発火や延焼など、住民にとっては不安であることにかわりはないので、県として調整をしていく視点も必要ではなかろうか
(景観について)
- 景観への市民の関心は高く、モンタージュシミュレーションを行うことが必要。特に、反射のシミュレーションを行うためには、太陽光パネルの角度を把握した上で、専門的なシミュレーションが必要である。
- 今後、県と市が協力して景観法に基づく景観計画を策定することが望ましい。
- 資金計画等の確認について
- FIT 失効は資金計画に大きく影響を与えるものであり、事業計画の見直しが必要になるのではないか。許可時には想定されていなかった「残置森林の復旧に要する費用」や「地下水に適切に対応する工法に要する費用」が生じる中で、これらの工事等が適切・確実に実行されることを確認するためにも、事業に係る資金計画等の確認を行うことが重要である。なお、工事等の期間が単年や数年のものであっても、そのような資金は長期の資金計画等の中に位置付けられるものであることから、事業の実施可能性を見るためには、10 年や20 年といった先までを見据えた資金計画等を確認していくことが重要である。
- 行政としての対応について
- 当初許可時には容易に想定できなかった様々な事態(許可条件違反伐採、岩石や湧水の状況、FIT 認定の失効)が現れてきている状況の中で、森林法や盛土規制法の災害防止という目的を達成するためには技術的な助言を踏まえ、各法令の趣旨に照らして、適切な措置を講じていくべき。
- 当該事業は大規模で渓流を含む造成工事であることから、工事を施工していく過程の中で、工事内容の変更が行われることが当然に想定される。そうした場合、変更された工事計画に応じて、現在は盛土規制法の届出となっている箇所も、変更した部分と一体と考えられる箇所は、許可の対象となる解釈もあり、最初に行う盛土から盛土規制法の技術基準に適合させるなどの検討も必要であると考える。
- その他
- 仮に、事業撤退となった場合、許可条件違反伐採の状況がそのまま放置されれば環境への悪影響が残ることとなるため、原状復旧を厳正に指導すべきである。
5.資料
次第(PDF:27.8KB)
委員名簿(PDF:87.4KB)
<資料1>事案の経過等について(PDF:1,959.1KB)
<資料2-1>委員からの御意見(PDF:625KB)
<資料2-2>参考資料(PDF:1,824.6KB)
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