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更新日:平成29(2017)年12月14日

会話の先にあるもの(平成29年度心の輪を広げる体験作文入賞作品)

会話の先にあるもの

中学生部門
千葉県知事最優秀賞

筑波大学附属聴覚特別支援学校中学部3年
髙橋茜(たかはしあかね)

 

「利用者と積極的にお話してください。」高齢者の皆さんが利用するデイサービスでの職場体験。打ち合わせでそう言われたとき、私はとても心配になりました。

私は聴覚に障害があります。耳が聞こえない私がどうやって話せばいいのか。どんなお話をすればいいのか。どうすれば楽しんでいただけるのか。話が通じなかったらどうしようと、不安でいっぱいになりました。

当日まで悩みました。様々なことを考えました。私の発音は、耳の聞こえる人とは違います。でも経験上、頑張って相手に伝えようと発音に気をつけ過ぎると、いつもの自分の声ではなくなり、かえって伝わりにくくなることがわかっています。声はいつも通り、簡単な身振りをつけてみよう、と考えました。まずはじめは、自分の学校生活について話してみてはどうかとも思いました。

職場体験当日、考えていた通り、自分から声をかけて話してみました。すると、話しかけた相手、おばあさんは、うなずきながら聞いてくださったので、私は、私の話が伝わっているんだな、とほっとしました。嬉しくなった私は、家族の話、将来の話など、話題も変えてみました。そうすると、相手も、自分の学生時代の話や家族の話をしてくださるようになりました。時々身振りをつけたり、顔の表情をはっきり示してくださったりもしました。私が聞こえない生徒であることを知って、気を遣ってくださったのかもしれませんが、聞こえるとか聞こえないにかかわらず、一生懸命私に伝えてくださっているようにも思えました。利用者の方々のお陰で、たくさん会話をすることができました。私は驚きました。会話を重ねていくうちに、相手が、笑顔になっていくではないですか。私との会話を楽しんでくださっていることがわかりました。安心すると同時に、味わったことのない喜びがこみ上げてきました。私自身も、おばあさんとの会話がとても楽しかったのです。

私は、相手の話の内容が全てわかったわけではありません。どうしても読み取れない言葉、聞き逃したり、見逃したりした言葉もありました。はっきり話してくださったお陰で、口の形から単語がわかり、話の流れを想像しながら、内容を理解していくことができました。気をつけたことは、最後まで聞くこと、共感して聞くことです。そうしようと思えたのは、一生懸命私に話を聞かせてくれる、自分のことを伝えようとしてくれる利用者のおばあさんが目の前にいたからです。

利用者の方々のお話は、とても興味深いものでした。特に、戦争を体験したときの話は、私が知らなかったことがたくさんありました。私と同じような年頃に、学校に行けず、兵隊さんの軍服を作る毎日だったそうです。「今の子どもたちは、希望をもてるからうらやましい」と話してくださいました。やりたいことがあっても自分の夢をあきらめなければならなかったのです。私は、自分は幸せだと感じました。自分ができることは積極的に取り組んでいこう、と思いました。耳が聞こえないことを理由にして、自分のやりたいことをあきらめるのはやめよう、そう思ったのです。

職場体験に行く前、私は、聞こえない私が会話をすることができるのか、楽しむことなんかできないのではないか、心配ばかりしていました。「聞こえない」ということに、私自身がこだわっていました。お互いが伝えたい、わかり合いたいと思えたとき、話は伝わるのです。聞こえるか聞こえないかではない。通じなかったら、通じるまで工夫して伝えること、相手の話がわからなかったら、わかるまで聞くこと、そんな当たり前のことをこれからも大事にしたいと強く思いました。そうすれば、お互いに様々なことを感じたり、思いがけないことを相手から教わったりすることができるのではないかと思うのです。

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