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更新日:平成22(2010)年12月15日

狂犬病について

狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれたりすることで感染し、発病した場合には、ほぼ100%死亡するという予後が極めて不良な疾患です。

〔感染経路〕

感染した哺乳類に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで、感染します。狂犬病ウイルスは、神経を伝わって脳に移行し中枢神経症状があらわれます。そして、脳から神経を伝い、唾液腺へ移行して唾液中にウイルスが排出されるようになります。 

〔潜伏期間〕

感染から発病までの潜伏期間は咬まれた部位等によってさまざまで、稀に年余を経て発症することがありますが、多くは1~2ヶ月です。

〔臨床症状〕

発病すると感冒症状に加え、咬まれた場所の知覚異常、強い不安感、神経過敏症状(光や音・振動などに対する異常な反応や見当識障害、幻覚など)、恐水症状、恐風症状を示し、その後全身麻痺から昏睡状態となり、呼吸不全で死亡します。発病から死亡までは2~6日といわれています。

〔国内の発生状況〕

わが国では昭和25年(1950)の狂犬病予防法制定以降患者数は激減し、昭和31年(1956)にヒトとイヌ、昭和32年(1957)のネコを最後に狂犬病の発生はなくなりました。その後は昭和45年(1970)にネパールから帰国して国内で発症した輸入例が1名報告されているのみでした。平成18年(2006)11月に、36年ぶりに2名の狂犬病患者が国内で発生し、相次いで死亡しました。2名とも、フィリピン滞在中にイヌに咬まれたあとは、現地で曝露後予防を受けていませんでした。平成22年(2010)12月までに国内で狂犬病が発生していないので、国内での感染の心配はありません。

狂犬病患者の発生(輸入感染症例)について

〔世界の発生状況〕

いまだに多くの国(特に東南アジア、中南米、アフリカなど)でヒトの狂犬病の発生が見られており、平成16年(2004)のWHOの報告によると、世界での年間死亡者数の推計は55,000人(うち、アジア地域31,000人、アフリカ地域24,000人)、とされています。狂犬病の発生がない国はわが国を含めて少なく、農林水産大臣が狂犬病の発生がないと認めている地域は、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、グアム、ハワイ、フィジー諸島となっています。

〔主な狂犬病危険動物〕

狂犬病のウイルスはイヌ、ネコのほかコウモリ、アライグマなどにも多く、これらの動物に咬まれたり引っ掻かれたりした場合に感染します。

地域

動物種

アジア

イヌ、ネコ

アフリカ

イヌ、ネコ、ジャッカル

ヨーロッパ

キツネ、ネコ

米国、カナダ

コウモリ、アライグマ、スカンク、キツネ、ネコ

中南米

イヌ、コウモリ、コヨーテ

 

〔咬まれた場合の処置〕

海外、特に東南アジア等の流行国で狂犬病が疑われるイヌ、ネコ及び野生動物に咬まれたりした場合、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、70%エタノールまたは、ポピドンヨード液で消毒をし、医療機関を受診してください。また、破傷風の危険もありますので、予防接種歴に応じた破傷風トキソイドの接種も考慮します。狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はありません。このためできるだけ早期に、狂犬病のワクチン接種を開始する必要があります。

狂犬病又はその疑いのある飼養動物や野生動物との接触、又は観察不能な動物との接触の状況

処置方法

触れたり、餌を与えた、傷口のない皮膚をなめられた

処置必要なし

直接皮膚をかじられた、出血を伴わない引っ掻き傷やすり傷、傷のある皮膚をなめられた

ただちにワクチン接種を開始するが、10日間動物が健康であるか、剖検して狂犬病が否定された場合は中止する

1ヵ所以上の咬傷や引っ掻き傷、粘膜をなめられた

ただちに狂犬病ガンマグロブリンとワクチンを開始するが、10日間動物が健康であるか、剖検して狂犬病が否定された場合は中止する(日本では狂犬病ガンマグロブリン(RIG)の製造も輸入も行っていないので、入手困難である)

 

〔組織培養不活化狂犬病ワクチン〕

組織培養不活化狂犬病ワクチンは、発育鶏卵のニワトリ胚初代培養細胞で狂犬病ウイルスを培養し、βプロピオラクトン0.04vol%で不活化後、濃縮・精製した後、ゼラチンを安定剤として添加し凍結乾燥されたワクチンで、動物用の狂犬病ワクチンとは異なります。

なお、1980年まで使用していた狂犬病ワクチンは動物の脳を原料としてウイルスを製造していたため、脳由来の神経組織成分の混入で麻痺や死亡などの強い副反応が発症する場合がありましたが、現在の組織培養不活化狂犬病ワクチンは一過性の発熱と局所の反応が認められることが知られています。

このワクチンは狂犬病常在地域への渡航前の予防的接種(曝露前免疫)の他に、狂犬病ウイルスを保有する動物に咬まれた後の発病予防(曝露後免疫)にも使用できます。

〔狂犬病流行地域に渡航する場合〕

<1>渡航中に狂犬病に感染しないように、滞在中にむやみに動物に手を出さないようにしましょう。万が一、滞在中に犬等に咬まれた場合には、

  • すぐに傷口を石けんと水でよく洗いましょう。
  • 現地医療機関を受診し、傷の手当てと狂犬病のワクチン接種を受けましょう。
  • 帰国時に検疫所(健康相談室)に申し出ましょう。

<2>渡航前に予防接種(曝露前ワクチン接種)が強く勧められる者は、動物との接触が避けられない者、又は現地に医療機関がないような地域の長期滞在者、動物関係者、自転車旅行をする者、人道支援などで地元に密着する者、バックパッカー、洞窟探検者(狂犬病を媒介するコウモリが生息する)、小児(動物と遊ぶ、動物に咬まれても親に伝えない)などの場合です。

なお、ビジネス出張者、バスで移動する団体観光旅行者などでは優先度は高くはありません。

<3>狂犬病に対する十分な免疫力を得るためには、4週間間隔で2回の皮下注射と6~12ヶ月後の追加注射が必要となりますので、かかりつけ医と渡航先の現状及び接種スケジュールをよく相談した上で接種の判断をお願いします。(医療機関に常時狂犬病のワクチンの在庫がないので、その都度医薬品卸販売業への注文となります。)

〔予防接種スケジュール〕

<1>予防的接種(曝露前免疫)

添付の溶剤(日本薬局方注射用水)の全量で溶解し、1回量を1mlとして、4週間間隔で2回皮下に接種し、さらに6~12ヶ月後に3回目を皮下に接種します。海外旅行等で時間的余裕のないときは、2回だけでも接種しておいてください。

曝露前免疫の接種スケジュール曝露前接種スケジュール

<2>受傷後の発症防止(曝露後免疫)

    狂犬病発症動物(イヌが多い)や、その疑いのある危険動物に咬まれたり、唾液に接触した場合に行います。

1回目を1mlとして、その初回接種日を0日として、以降、3、7、14,30及び90日の計6回皮下に接種します。

曝露後免疫の接種スケジュール

 曝露後接種スケジュール

〔参考文献〕

2010予防接種に関するQ&A社団法人細菌製剤協会外部サイトへのリンク

狂犬病に関するQ&A厚生労働省外部サイトへのリンク

国立感染症研究所感染症情報センター外部サイトへのリンク

FORTH(海外旅行者のための感染症情報)厚生労働省検疫所外部サイトへのリンク

 

 


 

 

 

よくある質問

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部疾病対策課感染症予防班  

電話番号:043-223-2691

ファックス番号:043-224-8910

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