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更新日:令和7(2025)年4月14日
ページ番号:316965
カットされたメロン
デザートとしてはもちろん、ケーキのトッピングやシャーベットなどに使われます。
メロンの原産地は東アフリカといわれ、古代エジプトで栽培され東西に広まりました。
ヨーロッパ型の網メロン、中央アジア型の冬メロン(ウインターメロン)、東アジア型の雑種メロン、白うり、まくわうりに分類されます。
網メロンが発達したのは16世紀のイギリスからで、その後アメリカへも伝えられました。現在、ヨーロッパで流通しているメロンはスペイン産の露地物が主流で、温室メロンはほとんどありません。サッチャー首相が来日にした際に、本国では食べられないマスクメロンを食べて大感激した話は有名です。
メロンという名前は、ギリシャ語の"melopepon"(りんごのようなうり)が語源になっています。
温室メロンは、専用のガラス温室内の隔離床で主に有機質肥料を使用し、一年を通じ大切に栽培されています。
隔離床とは、栽培用の土の入ったベンチで、地面から離れて設けられたもののことを言います。
ハウス内の土に直接植える栽培方法です。
肥大後半には、プラ皿を敷きます。
最近は、交配に蜜蜂を利用しています。第9節から12節前後の雌花を利用し、1本あたり3花程度を結実させます。
交配後7日から10日目頃に、やや縦長の卵型果実を1果残します。
栽培日数は、約80日前後を要し、マスクメロンの場合は、最後に何度も玉ふきをして美しい果実に仕上げます。
千葉県は、高級温室メロン(マスクメロン)の生産県です。
千葉県内には海上温室組合、山武温室組合、君津温室組合及び安房温室組合の4つの温室組合があり、千葉県温室組合連合会として生産に取り組んでいます。
千葉県の温室メロン栽培は、君津市の鈴木清英氏が静岡県で栽培技術を習得し、昭和36年より周年栽培に取り組んだのが始まりであり、昭和40年に8名の生産者と1団体(農業高校)で、温室メロン組合が組織されました。
昭和42年4月に、千葉県温室組合と改称し、海上・山武・君津・安房地域に支所が設置されました。
昭和44年から48年に各支所に出荷事務所が建設され、温室メロンの生産盛期となりました。
昭和47年4月に、4支所を4組合に独立改組し、千葉県温室組合連合会と組織を改編し、現在に至っています。
産出額順位
県名 |
1
茨城 |
2
熊本 |
3
北海道 |
4
静岡 |
5
山形 |
全国 |
---|---|---|---|---|---|---|
産出額 (億円) |
130 | 117 | 104 | 68 | 39 | 655 |
作付面積 (ヘクタール) |
1,170 | 832 | 835 | 237 | 475 | 5,790 |
出荷量 (トン) |
31,700 | 23,100 | 18,400 | 6,050 | 8,350 | 130,500 |
千葉県は第8位、産出額は29億円、作付面積は304ヘクタール、出荷量は7,180トンです。
出典:野菜生産出荷統計、生産農業所得統計(農林水産省)
旭市、銚子市、山武市、一宮町、富津市
区分 | ネット | 品種 |
---|---|---|
温室メロン | 有 | マスクメロン |
その他のメロン | 有
無
|
アンデスメロン
タカミメロン アムスメロン ハネデュー プリンスメロン キンショウメロン |
アールス・フェボリット種は、イギリスのラドナー伯爵邸の農園長H.W.ワード氏により育成された品種で、伯爵がこのメロンをたいへん愛好していたため、アールス(伯爵)・フェボリット(愛好物)と命名されました。
日本では、明治天皇の台所を賄っていた新宿御苑の福羽子爵(福羽苺を作出)が、イギリスから導入したのが始まりで、以降、大隈、岩崎(三菱)などの大富豪の農場のみに広がり栽培され、庶民が口にすることはありませんでした。
果肉は黄緑色で、多汁で甘く、香りがあり、高級果物の代表種です。栽培方法は、ガラス温室、隔離床栽培です。
緑色の果肉が多汁で甘く麝香の香りが強いので、フランス語で麝香を意味する"ムスク"からマスクメロンと呼ばれるようになりました。マスクメロン=芳香のあるメロンを意味し、日本ではこの香りを持つアールス系品種の呼び名となっています。
アールスとコサック、ハネデューなどの雑種。
種苗会社が品種改良して育成したもので、アールスに他の品種を交配して育成されました。
マスクメロンの大衆版。
網が密に入り、果肉がしまって甘みが強い。
栽培方法は、ビニールハウス、トンネル栽培、地床専用品種です。
農家が「安心して」作れて消費者も「安心して」買えるという「安心ですメロン」を略して『アンデス』と名付けられました。
緑系の肉質で、すっきりとした甘味が特徴です。
果肉が、やや硬めなので日持ちが良い。
栽培方法は、ビニールハウス、トンネル栽培です。
アムスメロンは、オランダのアムステルダムから来たのでアムスメロンと呼ばれています。
やや楕円で果皮の緑色が濃く、果肉は淡緑色で甘みが強く多汁、溝状の縦縞と粒状の粗い網目が特徴です。
栽培方法は、ビニールハウス、トンネル栽培です。
網なし種の中では高級品です。果皮は黄色で、長円形。
果肉は白乳色で香りに乏しいが日持ちする。honeydew(蜂蜜のしずく)のようなねっとりとした甘みがあり多汁。
栽培方法は、ハウス栽培です。
輸入が主です。
腰高球形で、甘みが強い。
果肉は中心部がオレンジ色、周囲は緑色です。
1本に5から6果結実させます。
庶民にとって高嶺の花だったメロン。
日本では東洋種のネットないマクワウリがポピュラーな存在でした。
昭和37年、『マクワウリ×カンタロープ(ヨーロッパ種)』(網なしメロンの代表種)の一代雑種が誕生しました。市場にて試食会を行い、試食を行った果実商の会の名称が「プリンス会」だったことから、「プリンス」と名付けられました。
味にあたりはずれがないメロンとして大ヒットし、メロンの新時代を築きました。
マクワウリとスペインメロンの雑種。
果皮が黄色で果肉は白色、肉質は硬く歯触りが良いのが特徴です。
平成13年8月16日品種登録。
アールスメロンの原種系の種子から、突然変異による巻きひげのない株が発見されました。これは今後、メロンのつるの整枝等の作業が省力化できる品種の育種素材として期待されています。
季節に関係なく巻きひげは全く発生しません。
根量が多く、草勢が極めて強く強健です。
巻きひげの代わりに側枝が発生し、つるの各節に雌花が着く2本の側枝(果実の着くつる)が発生します。
T:Tendril(巻きひげ)
L:Less(無し)
平成13年8月16日品種登録
従来の品種より栽培が容易で、果実が大きくて重く、外観のネット形成や食べた感じのメルティング質、風味が優れています。
栽培に適した時期は、真夏を除いた初夏どりから晩秋どりまでで、幅広い期間作れる利点があります。
新品種「アクアクィーン」は、次のような優れた特徴があります。
5月上旬から7月中旬までの間と10月初旬から12月中旬までの間出荷されます。
*草勢:つるの生長する勢い、強さ
*栽培の適応幅:最も優良な果実を生産・収穫できる期間(普通、1品種あたり20~30日)
平成17年6月22日品種登録
育成者:千葉県、鈴木清悟(当時千葉県温室組合連合会長)
晩秋どり(11月から12月出荷)に適しており、お歳暮向けの需要が期待できる品種。
従来の品種に比べて、果実が大きく、ネットの密度・揃いがよく、外観が非常に優れています。
果肉は繊維質が少なく、糖度も十分で、食感・食味が優れています。
「アクアプリンセス」と「アクアクィーン」は、父系が同じ姉妹品種です。
平成19年12月17日品種登録
育成者:財団法人日本園芸生産研究所、千葉県(農林総合研究センター)
タカミ(日本園芸生産研究所育成)に千葉TL(農林総研育成・世界初の"巻きひげ"が生えないメロン)の特性を導入し、「美味しくて、巻きひげが生えない新品種」を育成しました。
千葉県産メロンは6月から7月が旬の時期です。
常温で保存し、食べ頃になったら食べる2~3時間前に冷蔵庫で冷やします。
冷やし過ぎより、常温よりちょっと冷えた程度がおいしく食べられます。
軸の切り口の直ぐ下に同心円状のひび割れができます。
このひび割れがしっかり回っているものがおいしいです。
メロンに表示されているブランド名も選ぶ参考になります。(農業賞受賞、糖度○○度以上保証、糖度センサー認定など)
メロンの尻部(花が落ちた部分)を押してみて、少し柔らかさを感じるくらいが食べ頃です。
メロン特有の甘い香りが強くなった時が食べ頃です。
果皮が青磁色から黄色に変わる頃(黄色みがかった頃)が食べ頃です。
メロンには水溶性の食物繊維(ペクチン)が多く含まれ、これが滑らかな舌触りを与え食味を良くしています。
メロンを追熟させるのは、細胞中の不溶性ペクチン(プロトペクチン)を可溶性のペクチン酸などに分解し、果肉を柔らかくするためです。
メロンの発育過程では、果実の生長が一旦止まり表皮部分が固くなります。その後、果実がまた肥大し始め、この際に果皮表面にひび割れがおこります。このひびを塞ぐために結合組織が発達し、網目模様(ネット)となります。
交配後15日位で、初めに縦、次に横にひびが入り、約25日位で、ネットの形成が終了します。
果実が硬くても柔らかくても良いネットは入らず、栽培中の管理状況が網目に現れ、美味しい果実選びの参考になります。
一般にネット(網目)の盛り上がりの良いものは樹勢が良く、収穫期に肌目が白っぽく綺麗にあがったメロンは美味しいと言われています。
高級メロンでは、このネットの美しさもメロンを評価する上で重要な要素です。
県内で栽培されているネット系メロンには、6から7月を中心に出荷されるアールス系メロン、アムスメロン、タカミ(貴味)メロンなどのほか、メロン専用の温室で栽培し、周年出荷されるアールスメロン(マスクメロン)があります。
つるは、果硬ともいい、業者の間ではアンテナなどとも呼ばれています。
これは、都内の卸売業者が、高級温室メロンと露地・ハウスメロンを間違えないように、露地・ハウスメロンのつるを強制的に取り除かせたのが始まりです。
また、つるは「鶴」に例えられ、網目は「亀の(甲)」に見えることから、縁起の良い果物として扱われ、結婚式やお祝いの席のデザートとして使われるようになりました。一部のホテルでは、わざとつるを残してカットした物を出すところもありました。
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