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更新日:令和7(2025)年4月16日

ページ番号:706677

香取神宮勅使門

(かとりじんぐうちょくしもん つけたり むなふださんまい)

香取神宮勅使門

種別

県指定有形文化財(建造物)

指定日

令和4年3月8日、令和5年3月10日(追加指定及び名称変更)

所在地(所有者)

香取市香取1697(香取神宮)

概要

 香取神宮は東国屈指の高い社格を誇る古社である。創建にまつわる詳しい経緯には明らかになっていない部分も多いが、『日本書紀』や『古語拾遺』に香取の神に言及する記述がみえ、また『延喜式』神名帳には伊勢・鹿島と並んで「神宮」の称号で記載されており、早くから朝廷の篤い崇敬を受けていたことがうかがえる。

 勅使門は、桁行三間、梁間二間、一重、切妻造である。屋根は茅葺であり、両袖塀が附属している。社殿のある境内地手前の低い敷地に立つ勅使門は、棟札によると天明元年(1781)に最高位の神官である大宮司家の表門として建設され、勅使参向の際に出入り口として用いられた。平成7年(1995)に佐原市(当時)の有形文化財に指定されており、平成29・30年度には香取市の補助事業として、上方を解体して木部を補修のうえ組み立てて屋根を葺き替える修理が実施された。大宮司家の邸宅は1946年頃の火災により失われたが、この門は焼失を免れている。邸宅跡地には神社の集会所として「神徳館」が建設され、令和元年(2019)に建て替えられている。

 本建造物は建ちの高い大規模な茅葺の門で四脚門の間口を広げて本柱筋(棟通り)を三間としたような独特の構成をとり、間口は21尺に及ぶ。中央間両側の柱を鏡柱、両端柱を方柱として柱上に成の高い冠木を通し、その上に前後の控柱を繋ぐ頭貫をのせる。正面と背面では方柱の控柱を虹梁型の頭貫で繋ぎ、組物は隅の控柱上に連三斗、頭貫上の中備として拳鼻付平三斗と中央に蟇股を置く。

 棟通りは冠木上に二段積の平三斗と中央に蟇股を置いて大虹梁を通し、これを妻虹梁と組み、妻面に木鼻をつける。棟通りの大虹梁上に大瓶束3組を立てて三斗をのせ、棟木を支持する。両側面は頭貫上に台輪をのせて棟通りに拳鼻付平三斗を置き、この上に丸桁と虹梁を組む。虹梁の上に笈型付大瓶束を立て三斗を置いて棟木を支持する。なお、側面では頭貫に加え、控柱と棟通りの柱を飛貫と腰貫で繋ぐ。軒廻りは二軒繁垂木、化粧棟木及び丸桁先端には破風板を取りつける。茅葺屋根には深い蓑甲を設け、軒付に多種の茅や藁を装飾的に重ねる。大棟には雁振瓦をかぶせ、小口を漆喰塗で装飾する。棟通りの中央間に扉を構える。両脇間は額縁付板壁とする。扉は鏡柱に肘坪金物で取りつき、銅製の八双金物と唄金物で飾る。鏡柱足元に銅板を巻く。南北両側には屋根付の袖塀が付属しており、その南袖塀に上部を連子格子とする開戸を設ける(袖塀の建築時期は不明。屋根は維持管理の便を考慮し、平成29・30年度の修理において、杮葺から銅板葺に変更されている)。

 この門は複雑な形式からなる構造に、豊かな表情の絵様と繰型を随所に用いている。建物と屋根の規模に対して木柄が細めで、構造・意匠ともによく時代を表しているといえる。香取神宮の大宮司家の格式を示す門であり、類例の少ない社家建築の遺例として重要である。

 また、勅使門に付随する棟札は、建築時期を示す上棟棟札のほか、屋根葺替の一部を記録する棟札が2点確認されている。これら3点の棟札は勅使門の由緒を示すものとして、一体の文化財として保存するのにふさわしい資料である。

 

お問い合わせ

所属課室:教育振興部文化財課指定文化財班

電話番号:043-223-4082

ファックス番号:043-221-8126

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