ここから本文です。
ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化・文化財 > 文化財 > 市町村別の国・県指定および国登録文化財 > 安房エリアの市町 > 館山市の国・県指定および国登録文化財 > 千手院石造宝篋印塔
更新日:令和7(2025)年1月24日
ページ番号:706762
(せんじゅいんせきぞうほうきょういんとう)
県指定有形文化財(建造物)
令和6年3月29日
館山市安東504(安東区)
館山市安東に所在する千手院やぐら群の1号やぐらの直上丘陵先端部に安置されている石造宝篋印塔である。銘文等は認められないものの、型式から安房地域における最古級の関東式宝篋印塔として知られる。反花座、(かえりばなざ)、基礎、塔身、笠、相輪で構成され、使用された石材は安山岩と見られる。高さは190.0センチメートル、幅は70.5センチメートル(反花座下部)である。
反花座は1石からなり、枠内及び枠上に銘文等は認められない。反花座の蓮弁は意匠化されているものの肉厚で間弁を持たない複弁式である。隅弁も複弁となっており、両隅弁を除くと1辺あたり二葉の主弁を配す。基礎は左右二区に区画された下半枠と上部に2段の段形を造り出す。反花座下半枠部同様、枠内及び枠上に銘文等は認められない。塔身は幅・高さ共に26.0センチメートルの立方体で、幅4.0センチメートルの方形の枠取りを施す。枠内は平滑で種字などの彫刻は認められない。笠は笠下二段、軒上五段で最上段は左右二区に枠取りした露盤となる。隅飾りは二弧輪郭式で軒から1.0センチメートルほど入って、少し外傾しながら立ち上がる。隅飾りは基底部も含め全周に枠取りが施され、輪郭内は素面で彫刻は認められない。相輪は高さ56.0センチメートルである。伏鉢は直径19.5センチメートル、高さ10.0センチメートルで上端が丸く面取りされる。請け花は断面逆台形を呈し、四葉の単弁蓮華文で各種弁の間に間弁が見られる。九輪は高さ24.0センチメートルで、上位の請け花の断面は下端を丸く収めた方形を呈す。下位の請け花と同様に四葉の単弁蓮華文で各主弁の間に間弁が見られる。宝珠は最大径14.5センチメートル、高さ8.0センチメートル、下ぶくれで先端部は小さく尖る。
本塔と類似する県内の宝篋印塔を、反花座の様相を中心に比較すると、本塔は元徳4年(1332)から文和2年(1353)のころ、すなわち南北朝時代前期の所産である可能性が高く、県内に現存する宝篋印塔の中で部品の欠損がない個体としては最古の宝篋印塔である。千手院やぐら群とともに、御家人などの有力者と密接な関係をもって造営されたと推定されることから、その立地にも価値が見いだされる。本県の歴史・文化史上極めて貴重である。
関連リンク
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください