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更新日:令和5(2023)年10月2日

ページ番号:315470

観世音経・孔雀王咒経

(かんぜおんきょう・くじゃくおうじゅきょう)

観世音経・孔雀王咒経

種別

県指定有形文化財(典籍)

指定日

平成21年3月17日

所在地(所有者)

館山市那古1125(那古寺)

概要

 二つのお経は、ともに奈良時代に書写された、本県だけでなく我が国においても大変貴重な古写経である。

 観世音経は、「妙法蓮華経」の一部で、正確には「観世音菩薩普門品第二十五」のこと。4枚の楮紙(ちょし)を貼り継いだ全長175.3cmの巻物で、後世の表具(ひょうぐ)が付いている。4世紀頃、現在の中国ウイグル自治区に生まれた鳩摩羅什(くまらじゅう)が漢字に訳したものを書写したものであるが、本文最後の偈頌(げじゅ)(漢詩)は付いていない。細身の線の謹厳な楷書体で、やや扁平な字の書風から、奈良時代前期の書写であると考えられる。軸首(じくしゅ)は、11~12世紀前半に制作された算盤玉形で、精巧な蓮華文を線刻している。

孔雀王咒経は、別名「孔雀明王陀羅尼経」ともいわれ、伽婆羅(かばら)が漢訳した経典である。断簡を含む4枚の楮紙を使用した全長88.2cmの巻物で、第4紙は別経で、第1から3紙も連続しておらず、何度かの紙継ぎを経てきたことをうかがわせている。観世音経と比べると線が肉太で、やや扁平な字の書風は、奈良時代後期の書写であることを示している。付属として指定する那古寺文書には、孔雀王咒経が、永禄8年(1565)に古河公方足利晴氏の子家国によって寄進されたことを記す文書が含まれている。

 那古寺、坂東三十三ヶ所観音札所の結願寺として広く信仰を集め、観音信仰にもとづくさまざまなものが施入されてきた。特に、鎌倉時代以降は武家の信仰・庇護を受けた。観世音経・孔雀王咒経は美術品として優れているだけでなく、那古寺文書と併せて、地方寺院の信仰を物語る重要な史料でもある。

お問い合わせ

所属課室:教育振興部文化財課指定文化財班

電話番号:043-223-4082

ファックス番号:043-221-8126

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