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更新日:令和6(2024)年12月17日
ページ番号:706669
(おやまいせきえすえっくすぜろいちごせっかんないしゅつどひん)
県指定有形文化財(考古資料)
令和5年3月10日
夷隅郡大多喜町森宮8-3(県文化財課森宮分室)
御山遺跡SX-015石棺内出土品は、四街道市物井字御山に所在する御山遺跡において、昭和59年度に千葉県文化財センターによる調査で出土した副葬品である。直径約20mの円墳(SX- 015)の箱式石棺(筑波山産板石組)内から出土し、金属製品54点(金銅装円頭大刀1振、直刀5振、鉄鏃48点)と玉類812点(勾玉14点、管玉1点、琥珀玉3点、埋木玉3点、石製丸玉16点、臼玉7点、ガラス丸玉17点、ガラス小玉751点)が、良好な状態で保存されていた。
金銅装円頭大刀1振は、遺存状態がきわめて良好な完形品で、柄頭から鞘尻まで金銅板に覆われている。鞘の表面に施された、連珠文の周囲に二重の点刻が巡るという意匠は、木更津市金鈴塚古墳出土装飾大刀にも採用されている豪華なものである。円頭の柄頭は縦長で大きく、わずかに非対称の形状であるため、装着部形状を含めて頭椎大刀との類似点がある。この特徴は朝鮮半島系とされる円頭大刀の中でも、倭系装飾大刀の技術が用いられた円頭大刀(類例:香取市城山1号墳、茨城県風返稲荷山古墳、島根県上塩冶築山古墳等)にみられるものであり、本品は関東の古墳時代後期における地域最上位首長墓から出土する大刀と比べても遜色ない。
玉類はガラス小玉の一部を除き、ほぼ完形で遺存している。このうち、勾玉や琥珀玉・埋木玉は数量・形状から頸飾に用いられたと推測される。なお、石製丸玉も出土位置から頸飾に、ガラス小玉は頸飾か衣服の装飾に用いられたと推測されている。
本資料は、一つの石棺に複数回の埋葬が順次行われた結果、蓄積された副葬品群であるが、優品である金銅装円頭大刀は言うに及ばず、これを含む多種・多量の武器類とともに、多数のガラス玉を含む豊富な玉類が、わずか径20メートルの小型円墳からまとまって出土した事実は全国的に希少な例であり、房総における古墳時代後期の政治や社会を理解する上で欠くことのできない重要な考古資料である。
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