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更新日:令和6(2024)年3月25日
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我孫子市は、千葉県北西部に位置し、北には利根川、南には手賀沼を望む、水と緑に恵まれた町です。水田や田畑が多く、市内小中学校の給食のお米は全て、野菜は月に2回我孫子市産を使っています。
本校では、社会人になったときも食の優先順位が下がらないようにするための知識と健康な生活を実践する力の向上を中心に食育を進めています。
郷土料理や世界の料理の他、B級グルメなども取り入れ、食に関心を持ち、食べることが楽しみになる給食を心がけています。
〔さよなら平成献立〕
平成最後の給食では、平成にブームになった雑穀米、塩麹、食べるラー油、韓国のり、ティラミスを取り入れました。
〔巨峰とマスカットの食べ比べ献立〕
小学校生活に比べ、学習や部活動などで忙しくなる中学校生活では、食に関わる時間が激減しています。
そこで、学校菜園で給食用野菜の栽培をしたり、地元野菜を使用する日には、鞘むきや皮むきをしたりするなど、奉仕作業の時間を使って、生徒が給食の食材に関わることができるようにしています。
〔我孫子産とうもろこしの皮むき〕
教室での喫食状況や配膳量、味つけ、今後給食で出して欲しい料理のリクエストなどを生徒が記入し、給食室の代表として栄養士が返信をしています。給食に自分たちの意見が反映されることが実感できる機会となっています。
家庭科で学習した成果を発揮し、3年生が「後輩に食べさせたい愛情健康献立」を考えます。ボリューム、野菜の量、季節感、中学生に特に必要な栄養素、普段摂取しにくい食材の使用などたくさんの工夫をしています。実施日の給食メモも各クラスで作成しています。
〔我孫子産野菜のみそ汁・野菜炒め、いりこカシューナッツ付きの献立〕
毎月の給食だよりでは、生徒に関心が高いスポーツ栄養やリクエストのあった給食レシピを載せています。また、保護者に向けて、最近行った食育の授業のことなど、生徒の活動がわかるコーナーを設けています。
掲示物については、調理員が愛情を込めて給食を作っていることや感染症予防にも役立つ厳しい衛生管理の下で作っている給食の様子を写真付きで解説しています。
〔給食ができるまで(衛生編)〕
また、給食イベントでも掲示物を手作りで作成しています。
給食週間には、生徒にとって身近な先生方の出身地の郷土料理や思い出の給食を毎年実施しており、初めて出会う味付けや食材の組み合わせは、生徒にとってまさに異文化体験となっています。
ここでは、社会科の学習内容に関連して、それぞれの地域の産業や農産物についてもあわせて紹介しています。
〔先生方の出身地の郷土料理と思い出の給食の紹介〕
〔給食週間でクジラのオーロラソースなどと組み合わせて実施した「太巻き寿司」〕
保護者と生徒が給食のメニューを一緒に調理することでさらに食に関心を持ち、家庭の朝食の改善につなげようと、料理講習会を学区の小中学校合同で実施しました。
参加者と応募者には、10分レシピ集をミニ冊子にして配付しました。
主にアンケート集計、掲示物や給食メモを記憶してもらうための「リクエスト券争奪給食クイズ」、箸の正しい使い方、食器の正しい配置やマナーの取組、文化祭で食行動の改善を呼びかける発表をしています。
また、配膳準備や残菜0運動、片付けの管理に加え楽しい給食の時間づくりや食指導といった活動も委員会生徒で行っています。
〔アンケート結果から朝食の内容改善について発表〕
理科や社会、家庭科など教科の学習と献立や給食メモを合わせ、学習を深める工夫をしています。
英語の授業の冒頭は、日時、天気に加え、今日の給食を英語で表現するところから始まります。
昨年度は、給食時間に使用している指導教材を社会科の授業でも利用することで実生活との結びつきを再確認しました。
〔社会科の授業で「ちばの恵み」を再確認
実践的、体験的な活動を通して、よりよい生活に向けて工夫し、創造する資質・能力を育てています。
朝食の重要性、成長期に必要な栄養素、それを摂取するための食材選びの調べ学習をしています。教材として給食を活用し、献立作成や給食指導につなげています。
〔中学生に必要な栄養素についての学び合い〕
ゲストティーチャーに調理員を迎え「りんごの飾り切り」を学びます。中には、個人的に質問をする生徒もいました。栄養素の摂取だけでなく、彩りや飾りつけのある生活は、心の健康につながります。また、身近にいる調理師の技術にふれ、将来調理師を目指す生徒もいるようです。
〔初めて見るりんごやきゅうりの飾り切り
今年は、コロナ禍の今だからこそ、調理の基本である「手洗い」の授業も実施しました。授業後の感想から「食事をするときや作るときに、菌やウイルスがついたままだと思うと怖い。」と自分の生活につなげて考えることができたことがわかりました。
3年生では「冷蔵庫の中の材料で手早く作ろう」という実践形式の調理実習をしています。ご飯、豚肉、たまご、もやし、キャベツ、にんじん、玉葱を使い20分で調理します。2年生で習ったハンバーグの知識をもとに、調理工程を考え玉葱をバターで炒めて甘味を出す上級テクニックを披露した班もありました。
〔オムライス、肉ともやしの炒め物、コンソメスープを作る班〕
成人に対し、栄養バランスを整えた食事にするために、主食、主菜、副菜をそろえることを推進しています。しかし、その知識がなければ、それらを整えることができないので、給食指導で栄養管理の基本となる主食、主菜、副菜を繰り返し指導しています。
楽しい給食をアピールしたことで、給食委員会の生徒たちから「楽しい時間を過ごすために、マナーについて取り組みたい。」という意見がでるまでになりました。
給食指導と家庭科の授業で繰り返し指導したことで、給食の献立における主食、主菜、副菜の正解率が上がりました。
〔指導前(7問中の正解数)〕
〔指導後(7問中の正解数)〕
今年度は、予定していた保健体育における食育授業が休校のために実施できませんでした。保健体育でも体験学習の時間を確保することが今後の課題です。
今後も、生徒が生涯にわたって自分の健康を考えた食の選択ができるように、生徒とともに楽しい食の学びを学校全体が一体となって続けていきたいと思います。
文責:我孫子市立湖北中学校 栄養教諭 鈴木由香
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