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更新日:令和5(2023)年2月9日

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感謝の気持ちを育む給食を目指して~松戸市立小金南中学校の食育~

松戸市は千葉県の北西部に位置し、「矢切ねぎ」「あじさいねぎ」等、有名なねぎの産地で、令和元年には「全国ねぎサミット2019inまつど」も開催されました。

給食にも「ねぎ」をはじめ多くの千葉県の産物が取り入れられています。給食は、小中学校全校自校方式を実施しています。中学校の給食は、平成2年から順次実施され、パン・麺が主食のAメニュー、ご飯が主食のBメニュー、そしてお弁当を選ぶ選択制の給食を行っています。

小金南中学校では、「感謝の気持ちを育む給食」を目標に食育に取り組んでいます。

小金南中メニューの考案

小金南中メニューの募集

毎年、2年生を対象に家庭科の宿題として「地産地消の小金南中メニューを考えよう」と創作メニューを募集しています。

6月に千葉県の産物(全国5位まで)の地図を掲示しました。その後、生徒たちは家庭科の授業で千葉県の食材を学び、夏休みに創作料理を考え、写真を添えて「あなたのメニューが給食になります」に応募することになります。(11月に実施)

千葉県の産物の地図を掲示していると、生徒たちだけでなく、先生方からも「こんなに千葉県でとれるんですか」と驚く声を聞きます。わかっていても、再確認することが必要だと感じます。

2年生は全員が対象の宿題、そして1・3年生は希望者の応募ですが、毎年、全学年からの応募があります。「このメニュー作りを楽しみにしている生徒もいるんですよ」と家庭科の先生から教えてもらうこともあり、栄養士にとっても楽しみな企画の一つになっています。

千葉県の産物(全国5位まで)の地図

募集チラシ

試食会で前年度の小金南中メニューを実施

生徒の考えた小金南中メニューを試食会で保護者の方にも味わってもらいました。

〔かぶ団子〕

〔枝豆入り豆腐ハンバーグ〕

生徒たちが考えたメニューということで、関心も高く、「食べてみたかったんです」「おいしい」「これを子どもたちが考えたんですか?」と大好評でした。減塩に取り組んでいることもお伝えしましたが、真剣に聞いて下さり「家庭でも取り組みたいです」という感想もいただき、給食だけでなく、保護者の方とも協力して減塩に取り組める良い機会になりました。

地産地消デーに小金南中メニューを実施

今年も172の力作が集まりました。その中の15作品を取り入れました。

〔ほうれん草のジェノベーゼ〕

〔豚となすのピーナッツ味噌炒め〕

〔ごろごろクラムチャウダー〕

もちろん、ご家庭の協力で出来た料理だと思いますが、ほとんどの生徒が「全部自分で作ったんですよ」「うまくいかなくて何回も作り直しました」と苦労話を聞かせてくれます。給食の後、考えてくれた1年生が「頑張って作りました。将来、お父さんみたいな料理人になりたい」と話してくれ、生徒ならではの柔軟な考え方でおいしく・楽しい新メニューがたくさん生まれました。「本当に中学生が考えたの?」と驚くくらいの力作ぞろいでした。

ランチルームに向かう廊下には、料理の特徴や、考えた生徒の想いと給食の写真を掲示し、先生方にも、生徒が考えてくれたメニューだということを伝えました。

料理の特徴や、考えた生徒の想いと給食の写真を掲示

担任の先生からは「数日前から(考えた子が)緊張していましたよ。みんなで今日の給食を楽しみにしているんです」と聞き、調理師さんたちも、その子をがっかりさせないように「おいしく作らないと!」と、よい緊張感の中で給食の調理が始まります。

「考えた生徒さんが、おいしいって言ってくれるといいですね」という声が、作りながら聞こえてきて、みんなの想いがどんどん膨らんでいくのを感じる給食になりました。

「SAKURAメンバーズ」の活動

2年生の有志で桜島大根を育てるという「SAKURAメンバーズ」の活動をしています。

育てた大根は1月24日からの給食週間に鹿児島県メニューとして登場します。

栄養士の私が、鹿児島県の青果市場の方と以前から交流がありました。初めは、桜島の小学生が総合的な学習の時間に育てた桜島大根を買って、給食に取り入れていたのですが、市場の方から桜島大根の種をいただいたことから、「自分たちでも育ててみよう!」と活動が始まりました。

学校に畑はなく、3つある花壇を耕して畑にしました。とても大きくなる桜島大根なので、横幅が約4メートルの花壇に3個しか作れません。

7月に「SAKURAメンバーズ」を募集し、選ばれた9人で一人一個を育てています。

この「SAKURAメンバーズ」は生徒たちに人気があり、選考の際には「どうしてやりたいのか」「最後まで育てる自信があるか」等を聞き、決めています。

〔8月28日〕畑作り

〔8月28日〕畑作り2

〔8月28日〕畑作り3

まずは、畑作り。SAKURAメンバーズたちは暑い夏休みに雑草を抜き、耕運機で畑を耕し、新しい土を加えて畑を作りました。

〔9月3日〕種まき

種は4mm

〔9月8日〕双葉がでました

〔9月24日〕虫が大発生

暑い秋に大量発生した虫と闘いながらも頑張って育てました。

思うようにいかない自然を感じることもたくさんありました。

〔9月24日〕

虫駆除のため臨時集合

〔10月18日〕

2回の大型台風後

〔11月13日〕

元気になりました

〔12月4日〕

虫取りもベテランに

〔12月18日〕

葉の直径は135cm

〔1月17日〕

あと5日で収穫

なんとかここまで大きくなり、あと少しで収穫です。

一番大きな桜島大根は1月26日に桜島で開かれる「世界一桜島大根コンテスト」に出品します。

去年の収穫の様子 みんなやりきったいい顔をしています

去年世界一桜島大根コンテストに出品した「大輔」14kg

(「大輔」は大根の名前です)

 

校庭に畑があるので、たった4mmの種から14kgになるまで、毎日見ていた他の生徒たちは「大きくなりましたね」「いつ給食で出るんですか?」と育つ時から興味を持ってくれています。

SAKURAメンバーズも約6ヶ月間、自然と関わり「虫がいました!」「元気がないんです!」と日々一喜一憂しながら作った大根を無事に収穫し、本当にいい笑顔でした。

給食週間~日本各地の郷土料理を取り入れたメニュー~

1月24日から給食週間に日本各地の郷土料理や産物を取り入れた献立を実施しています。

給食週間は、戦争で食べられなかった子どもたちのために給食が再開されたことを記念したものです。いつも給食を当たり前に食べている私たちですが、食べられることへの感謝の気持ちを感じてもらえる週間になればと思っています。

千葉県メニューには小金南中メニューの「さといもの彩りコロッケ」と「卵の肉巻き」を取り入れました。この一週間、色々な県の料理が登場します。その土地の自然環境から生まれた郷土料理や食文化も紹介しています。

〔出典〕
桜島の噴火の写真 日本経済新聞電子版 2018年6月16日 鹿児島県垂水市無人定点カメラより

Aメニュー1

Aメニュー2

Bメニュー

桜島大根

鹿児島県メニューはその中の一つです。桜島のことを紹介し、生徒たちが頑張って育てた小金南中大根だけでなく、年に何百回も噴火する中、桜島の小学生が一生懸命育てた桜島大根を送ってもらい煮物を作ります。

桜島大根は煮崩れせず中まで味が染みるのが特徴です。大きな桜島大根の皮をむくのも切るのも大変で、調理師さんたちは朝から大忙しですが、毎年、気持ちが入る給食の日になっています。

色々な活動を通して感じるのは、関わる人の想いが同じ方向に向くと、同じ料理なのに、そこに大きな力が加わり、よりおいしい料理になるということです。そして、そんな料理は人の気持ちを動かす力を持っているとも思います。

これからも、色々な人の「想い」を子どもたちに伝えられる給食作りに努力していきたいと思います。

文責:松戸市立小金南中学校 栄養教諭 辻 恭子

お問い合わせ

所属課室:教育振興部保健体育課給食班

電話番号:043-223-4095

ファックス番号:043-225-8419

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