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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:6057
髻頂に上半身の一部を含む仏面をあらわし、天冠台上に横一列に十面を彫出するが、各面の目鼻立ちは現状明らかにしない。天冠台は無文の帯状とするが、両耳後ろより背面寄りの部分では彫出しない。頭髪は平彫とする。耳朶は環状とし、貫かない。条帛、天衣、裾を各着ける。天衣は両肩から垂れ、左方分は膝上をわわたって右上膊に絡んで垂下し、右方分は腹下をわたって左肘に懸かって垂れる。裾は二段に折り返す。左手は屈臂して腹前で花瓶を執り、右手は掌を体側に向けて垂下する。
広葉樹林(欅または樟)による一木造で、彫眼とし、現状素地を呈す。右腕を含んで頭・体幹部を一材より彫出する。内刳りは施さない。上仏面、両足先、左側天衣遊離部、右上はくに絡む天衣部、宝冠、持物を別材製とする。
保存状態は、別材製の部分を後補とし、頭上面の左側三面を欠失するほか、下地を含めて像表面の仕上げのほぼ全てを失って、全体に風化がみられ、地付き周辺には虫損も認められるが、大方において当初の材を残している。
本像はゆったりとした姿勢、柔らかな肉取り、浅くなだらかな衣紋表現など、平安時代後期の特徴を示し、やや渋みを含む表情や意外に奥行き豊かな側面観などからすれぱ、本像の制作はおおよそ11世紀前半頃に求められる。本像は比較的保存もよく、作風や構造に10世紀の古様を伝える作例として重要である。なお、頂上仏面は後補ながら上半身の一部をも彫出しており、例の少ない表現として注意される。
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