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更新日:令和5(2023)年6月1日

ページ番号:590382

臨床研究において使用される未承認動物用医薬品等の提供等に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の適用について

 令和5年4月20日5消安第440号で農林水産省消費・安全局長より通知のあったことについて、以下に掲載いたします。

 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性に関する法律」(昭和35年法律第145号。以下「薬機法」という。)においては、動物用医薬品、動物用医療機器等及び動物用再生医療等製品(以下「動物用医薬品等」という。)について、品質、有効性及び安全性の確保がなされた製品のみが流通するよう、未承認の動物用医薬品等(以下「未承認動物用医薬品等」という。)の販売及び授与に関する規制が設けられている。

 他方、臨床研究においては、未承認動物用医薬品等の提供等を伴う場合があり、この提供する行為に薬機法が適用されるか否かについては、その提供の態様が様々であることから、個々のケース毎に、提供方法等を踏まえて総合的に判断しているところである。また、臨床研究において使用される未承認動物用医薬品等の提供に係る薬機法の適用範囲が十分に明確ではないまま、獣医療現場において無秩序に臨床研究が実施され、臨床研究に対する国民理解が得られなくなるような事態が発生した場合には、臨床研究の実施自体が困難となるおそれがある。

 今般、薬機法の適用に関する判断の透明性、予見可能性の向上を図るため、臨床研究において使用される未承認動物用医薬品等の提供に係る薬機法の適用に関する基本的な考え方として、以下のとおり「臨床研究において使用される未承認動物用医薬品等の提供に係る薬機法の適用に関する考え方」を作成したので、薬機法適用の適正な判断の実施につき御配慮願いたい。

臨床研究において使用される未承認動物用医薬品等の提供等に係る薬機法の適用に関する考え方

 1.基本的な考え方

(1)「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性に関する法律」(昭和35年法律第145号。以下「薬機法」という。)の適用についての考え方については、未承認動物用医薬品等を臨床研究に使用する目的で提供する際の提供者の行為及び未承認動物用医薬品等を提供する研究の臨床研究としての妥当性に基づいて判断されること。

(2)薬機法に基づく製造販売承認の申請に際して提出する臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする場合には、薬機法第80条の2第2項に規定する治験に該当することから、同法に基づき必要な措置を講ずること。

(3)本通知を参照してなお、個々の具体的な事例における薬機法の適用につき判然としない場合には、畜水産安全管理課において相談・助言等を行っていることから、これを活用すること。相談に際しては、未承認動物用医薬品等の提供等を行う企業等の担当者だけでなく、原則として、提供等を受ける臨床研究の責任者も同席すること。

(4)薬機法以外の法令の規制を受ける場合があること。

(5)本通知は、現時点における暫定的なものであり、今後の事例の集積等を踏まえ、必要に応じて、内容の整備等が図られるものであること。

2.定義

 本通知において、用語の定義は、次に定めるところによる。

(1)「臨床研究」とは、獣医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに動物の健康の維持を目的として実施される未承認動物用医薬品等を用いた疾病の診断、治療又は予防に関する獣医学系研究であって、動物を対象とするものをいう。

(2)「未承認動物用医薬品」とは、薬機法第83条第1項の規定により読み替えて適用される法第14条第1項の規定により承認を受けていない動物用医薬品(同法第14条第15項(同法19条の2第5項において準用する場合を含む。)の規定により承認された事項の一部の変更承認を受けていないもの、第14条の9の規定により製造販売の届出をしていないもの及び第19条の2第1項の規定により外国において製造される動物用医薬品等の製造販売の承認を受けていないものを含む。)をいう。

(3)「未承認動物用医療機器等」とは、薬機法第83条第1項の規定により読み替えて適用される同法第23条の2の5第1項の規定により承認を受けていない動物用医療機器及び動物用体外診断用医薬品(同法第23条の2の5第15項(同法第23条の2の17第5項において準用する場合を含む。)の規定により承認された事項の一部の変更承認を受けていないもの、第23条の2の12の規定により製造販売の届出をしていないもの、第23条の2の17第1項の規定により外国において製造される動物用医療機器及び動物用体外診断用医薬品の製造販売の承認を受けていないものを含む。)をいう。

(4)「未承認動物用再生医療等製品」とは、薬機法第83条第1項の規定により読み替えて適用される同法第23条の25第1項の規定により承認を受けていない動物用再生医療等製品(同法第23条の25第11項(同法第23条の37第5項において準用する場合を含む。)の規定により承認された事項の一部の変更承認を受けていないものを含む。)をいう。

3.臨床研究への未承認動物用医薬品等の提供等に係る薬機法の適用についての考え方

 次の(1)から(8)までに掲げる要件を全て満たすものを妥当な臨床研究と判断する。妥当な臨床研究において生じる未承認医薬品等の提供等については、一般に薬機法が適用されないものと考えられる。ただし、妥当な臨床研究であっても、例えば、臨床研究を実施する獣医師に未承認動物用医薬品等を提供等する企業等(以下「提供者」という。)が、製造販売の承認(2の(2)から(4)までに規定する承認、変更承認及び届出をいう。)を受けていない使用目的、効能・効果、性能等の標ぼう、パンフレットの使用等により、当該臨床研究を実施する獣医師の購買意欲を増進させて未承認動物用医薬品等を提供等した場合には、薬機法における禁止行為に該当することがある。従って、臨床研究への未承認動物用医薬品等の提供等が薬機法における禁止行為に該当するか否かについては、個別具体的に、提供方法、提供の際の演述等を踏まえて、総合的に判断されるため、次の(1)から(8)までに掲げる要件を全て満たす臨床研究であっても、薬機法が適用される場合があることに留意すること。

(1)以下のいずれかの要件を満たす臨床研究のうち、未承認動物用医薬品等の提供等がなされる臨床研究であること。

・未承認動物用医薬品等の有効性又は安全性を明らかにするもの(薬機法第80条の2第2項に規定する治験に該当するものを除く。)であること。

・研究の目的で獣医療行為の有無及び程度を制御することなく、動物のために最も適切な獣医療を提供した結果としての診療情報又は試料を利用するもの(希少疾病等を対象として行われるものであり、かつ、公的研究費によるもの等の適切で公益性のある研究であることについて事前に関係部局による研究計画の確認を得たものに限る。)であること。

(2)継続的に運営され、中立的かつ公正な立場(当該研究から独立した立場)から研究の審査を行う倫理審査委員会等により当該臨床研究の計画の妥当性等について確認を受けた臨床研究であること。

(3)獣医師が責任主体となっていない場合には、臨床研究を目的とする一連の提供行為の正当性を担保することが困難となることから、獣医師が主体的に実施する臨床研究であること。なお、「主体的に実施」とは、獣医師自らが臨床研究の計画を立案するとともに、提供者が獣医師の求めに応じて未承認動物用医薬品等及びこれらに関する必要な情報を提供することをいう。

(4)提供者から未承認動物用医薬品等、研究者、経費等を提供して行われる獣医師と提供者が共同で実施する臨床研究であって、その提供の対価が発生するものである場合には、その対価が提供者の営利目的とみなされない範囲内(製造に係る実費等)にとどまるものであること。また、この場合において、次に掲げる要件を満たす臨床研究でなければ提供者に主体性があると考えられることに留意すること。

・提供者と獣医師の間で、あらかじめ契約書等により、当該臨床研究に係る費用、役割分担等の内容が明確になっていること。

・提供者と獣医師の費用分担が適正なものであること。例えば、未承認動物用医薬品等の製造等に係る経費、輸送費、データ解析等に係る人件費、印刷費等の実費を提供者が負担することは差し支えないが、獣医療従事者の人件費等の直接の獣医療に係る費用を提供者が負担していないことが求められる。

・未承認動物用医薬品等の提供等に係る責任の所在が明確となるよう、その提供が原則として提供者と獣医師の間で直接行われているものであること。

・獣医師が当該臨床研究の実施に伴い事故が発生した場合の補償のための措置が適切に講じられているものであること。

(5)臨床研究に使用される未承認動物用医薬品等の提供等に当たっては、協力者である動物の所有者に費用負担が生じる場合は、臨床研究を実施する獣医師の営利目的とみなされない範囲内にとどまるものであること。

(6)被験症例数、未承認動物用医薬品等の使用回数等を含めた実施方法、実施期間等は、臨床研究の内容及び目的に即して、あらかじめ合理的に設定されたものであり、かつ、提供等される未承認医薬品等の数量が実施目的に照らして必要な範囲内にとどまるものであること。

(7)未承認動物用医薬品等を使用した動物について、未承認医薬品等が残留していることにより人の健康を損なうおそれのある動物の肉、乳その他の生産物が食用として出荷されないための必要な措置(動物用医薬品及び医薬品の使用の規制に関する省令(平成25年農林水産省令第44号)に基づく出荷制限期間指示書又は出荷禁止指示書による動物の所有者等への指示等を行うことをいう。)が講じられているものであること。

(8)臨床研究の実施期間中及び終了後に、未承認動物用医薬品等が疾病の診断、治療又は予防を目的として使用されることを防止するために必要な措置(提供等される未承認動物用医薬品等が当該臨床研究にのみ使用されるものであることの明示、使用されなかったもの又は反復継続して使用が可能なものの取扱いを定めること(当該臨床研究の終了後に返却又は廃棄すること等)等をいう。)が講じられているものであること。

4.留意事項

 臨床研究として妥当な研究に対する未承認動物用医薬品等の提供等の透明性を確保するために、以下の事項を遵守すること。(1)未承認動物用医薬品等の提供者が次に掲げる事項を遵守すること。

・提供者は、提供及び返却の記録を適切に保管・管理すること。

・臨床研究を実施する獣医療機関に対し、臨床研究が本通知に基づき実施されるように適切に情報提供等を行うこと。

・資金の提供がある場合にはその透明性の確保等により、データの改ざん、捏造等の不正事案の発生を防止するよう配慮すること。

・提供者は、提供先の獣医療機関において、本通知についての対応状況に問題等がある場合には、薬機法に抵触する可能性があることから、提供等の停止、回収等の適切な対応を速やかに取ること。

(2)未承認動物用医薬品等の提供等を受けて臨床研究を実施する獣医師が次に掲げる事項を遵守すること。

・動物の所有者に対して、臨床研究で使用する未承認動物用医薬品等が確立された治療法であるとの誤認を招くことのないよう説明し、その実施に当たって同意を得ること。

・臨床研究の記録(未承認動物用医薬品等が使用された動物の予後等についての追跡調査を行うこと等)を適切に保管・管理すること。また、その内容について、提供者に報告を行うこと。

・あらかじめ臨床研究の目的、臨床研究の対象者の選択及び臨床研究の中止の基準、実施期間、実施に係る金銭の支払い、事故発生時の補償等の内容含めた計画を立て、当該計画に沿って実施すること。また、臨床研究終了後に研究実績の公表に努めること。

相談申込み等の連絡先

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課飼料安全・薬事室薬事監視指導班

電話:03-3502-8701e-mail:yakuji_kanshi@maff.go.jp

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部中央家畜保健衛生所

電話番号:043-250-4141

ファックス番号:043-286-0090

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