ここから本文です。

ホーム > 環境・まちづくり > 環境 > 環境政策 > 環境影響評価 > 環境影響評価手続状況 > 環境影響評価手続終了、廃止等案件 > 成田新高速鉄道線環境影響評価に係るヨシ原造成に関する検討報告書に対する意見

更新日:令和4(2022)年8月15日

ページ番号:13866

成田新高速鉄道線環境影響評価に係るヨシ原造成に関する検討報告書に対する意見

知事意見(平成18年4月28日)

平成18年2月23日付けで提出のあった標記検討報告書について、次のとおり意見を述べます。

当該報告書は、標記鉄道の建設に当たり、路線が通過する北印旛沼に生息しているサンカノゴイ等湿地性希少鳥類に及ぼす影響の代償措置として計画されたヨシ原造成に関するものであり、造成面積算出等に係る検討手法とその結果、造成手法、及び造成後の管理方法等について記載されています。

しかし、検討の指標種としたサンカノゴイは環境省レッドリスト絶滅危惧IB類に位置づけられているものの、その生態に関する知見は極めて少なく、また生息地としてのヨシ原にしても、その知見は決して十分でないことから、代償措置として造成するヨシ原とその効果には不確実性が残ると考えざるを得ません。

したがって、候補地及び造成地の選定、造成工事の実施、並びに事後調査に当たっては、ヨシ原造成による新たな環境影響を生ずることなく、かつ、サンカノゴイ等湿地性希少鳥類の個体数が確保されるよう、細心の注意を払い、ゆとりをもって、慎重かつ丁寧に行う必要があります。そのため、部分的に造成を行いながら影響を調査し、状況に応じて造成計画を手直しする順応的管理を行うとともに、下記事項について所要の措置を講ずるようお願いします。

1造成地の選定にかかわる事項

造成地の選定に当たっては、各候補地における動植物の種組成及びそれらの生息・生育状況、人と自然との触れ合いの状況、並びに計画する土工量、使用重機、工事期間・時季等を勘案し、造成したときの影響をできる限り回避・低減できる場所を選定すること。

なお、選定に当たっては、次の各事項にも配慮すること。

  • ア造成地は、計画路線からの影響を考慮し、計画路線からできる限り離れた位置に選定すること。
  • イ環境省レッドリスト絶滅危惧II類に位置づけられているコジュリンの生息域を候補地の一つとしているが、サンカノゴイとコジュリンの生息環境は異なることから、この地をサンカノゴイに適したヨシ原に改変した場合はコジュリンにとって重要な生息環境が失われることになるため、候補地からはずすこと。
  • ウサンカノゴイの生息地の近隣で造成工事を行うことは、避けることが望ましい。やむを得ず行う場合は、事前にサンカノゴイの生息に影響を及ぼさない手法、時季等について検討するなど十分に対策を講じること。
  • エ造成による北印旛沼生態系への影響を考慮し、現在候補地となっていないところも含めて、北印旛沼隣接地を造成地とすることについて今後も検討すること。

2造成面積にかかわる事項

造成後のヨシ原については3年で安定するとしているが、サンカノゴイの生息に適したヨシ原を想定した場合、ヨシだけでなくマコモ等を含む植物群落の安定及び餌生物等の動物群集の安定が必要であり、そのためには少なくともさらに数年は必要と考えられる。

これは、鉄道事業の橋梁工事が開始され現生息地が生息に適さなくなり代償措置としてのヨシ原が利用できるようになるまでの期間とほぼ同じであり、その間、サンカノゴイへの影響が継続されることになる。このように、長期間にわたり影響を及ぼすことはサンカノゴイの繁殖活動及び個体数の維持に対し、少なからざる影響があるものと懸念される。

このことから、ヨシ原の造成については、短期間でより大きな効果が得られるものとする必要があり、その一つの方法が造成面積の拡大と考えられるので、北印旛沼生態系に影響の少ないかたちでの造成面積の拡大に努めること。

3造成方法にかかわる事項

造成工事の実施に当たっては、次の各事項に十分に配慮すること。

  • アサンカノゴイの繁殖期間中の工事は極力避けること。やむを得ず工事を行う場合は、繁殖活動に影響を及ぼさない対策を講じて行うこと。
  • イ環境省レッドリスト絶滅危惧II類に位置づけられているチュウヒのねぐらとなる生息域の近隣で工事を行う場合は、手法、時季等について十分に検討し、チュウヒの生息に影響を及ぼさない対策を講じて行うこと。
  • ウヨシ原の造成に当たっては、浚渫や客土による濁水の発生、地形の改変などによる北印旛沼の水質や生態系への影響をできる限り回避・低減すること。
  • エ北印旛沼近隣地からの客土は、客土中に含まれる埋土種子や根茎等により北印旛沼生態系への影響が懸念されることから、極力北印旛沼の浚渫土を用いること。
  • オヨシの植え付けについて、ヨシ株植え法の実施に当たっては、ヨシ株採取場所への影響をできる限り回避・低減することと、サンカノゴイの生息に適したヨシ原が短期間で形成されることとが共にかなえられるよう、採取する面積や植え付け面積のバランスを慎重に検討し行うこと。また、マコモ及びヒメガマ等の植え付けに当たっても同様とすること。
  • カ北印旛沼内における土留めの方法としては、順応的管理を踏まえ、恒久的な工法となる石積みを避け、木材による工法などを検討し行うこと。

4事後調査にかかわる事項

造成したヨシ原の事後調査について、ヨシ等の生育密度・草高等についても行うこと。

千葉県環境影響評価委員会の答申

当委員会は、「成田新高速鉄道線環境影響評価に係るヨシ原造成に関する検討報告書」について諮問を受けて以来、専門部会を設け造成地の選定及び造成方法等について慎重に審議し、検討した。

当該報告書は、標記鉄道の建設に当たり、路線が通過する北印旛沼に生息しているサンカノゴイ等湿地性希少鳥類に及ぼす影響の代償措置として計画されたヨシ原造成に関するものであり、造成面積算出等に係る検討手法とその結果、造成手法、及び造成後の管理方法等について記載されている。

しかし、検討の指標種としたサンカノゴイは環境省レッドリスト絶滅危惧IB類に位置づけられているものの、その生態に関する知見は極めて少なく、また生息地としてのヨシ原にしても、その知見は決して十分でないことから、代償措置として造成するヨシ原とその効果には不確実性が残ると考えざるを得ない。

したがって、候補地及び造成地の選定、造成工事の実施、並びに事後調査に当たっては、サンカノゴイ等湿地性希少鳥類の個体数が確保されるよう、細心の注意を払い、ゆとりをもって、慎重かつ丁寧に行う必要がある。そのため、部分的に造成を行いながら影響を調査し、状況に応じて造成計画を手直しする順応的管理が必要であると考える。

また、ヨシ原造成による新たな環境影響を生ずることのないよう実施されるべきものと考える。

これらのことから、当委員会は、ヨシ原造成に関し下記事項について所要の措置を講ずる必要があると判断する。

なお、当委員会における審査経緯は別紙のとおりである。

1造成地の選定にかかわる事項

造成地の選定に当たっては、各候補地における動植物の種組成及びそれらの生息・生育状況、人と自然との触れ合いの状況、並びに計画する土工量、使用重機、工事期間・時季等を勘案し、造成したときの影響をできる限り回避・低減できる場所を選定すること。

なお、選定に当たっては、次の各事項にも配慮すること。

  • ア造成地は、計画路線からの影響を考慮し、計画路線からできる限り離れた位置に選定すること。
  • イ環境省レッドリスト絶滅危惧II類に位置づけられているコジュリンの生息域を候補地の一つとしているが、サンカノゴイとコジュリンの生息環境は異なることから、この地をサンカノゴイに適したヨシ原に改変した場合はコジュリンにとって重要な生息環境が失われることになるため、候補地からはずすこと。
  • ウサンカノゴイの生息地の近隣で造成工事を行うことは、避けることが望ましい。やむを得ず行う場合は、事前にサンカノゴイの生息に影響を及ぼさない手法、時季等について検討するなど十分に対策を講じること。
  • エ造成による北印旛沼生態系への影響を考慮し、現在候補地となっていないところも含めて、北印旛沼隣接地を造成地とすることについて今後も検討すること。

2造成面積にかかわる事項

造成後のヨシ原については3年で安定するとしているが、サンカノゴイの生息に適したヨシ原を想定した場合、ヨシだけでなくマコモ等を含む植物群落の安定及び餌生物等の動物群集の安定が必要であり、そのためには少なくともさらに数年は必要と考えられる。

これは、鉄道事業の橋梁工事が開始され現生息地が生息に適さなくなり代償措置としてのヨシ原が利用できるようになるまでの期間とほぼ同じであり、その間、サンカノゴイへの影響が継続されることになる。このように、長期間にわたり影響を及ぼすことはサンカノゴイの繁殖活動及び個体数の維持に対し、少なからざる影響があるものと懸念される。

このことから、ヨシ原の造成については、短期間でより大きな効果が得られるものとする必要があり、その一つの方法が造成面積の拡大と考えられるので、北印旛沼生態系に影響の少ないかたちでの造成面積の拡大に努めること。

3造成方法にかかわる事項

造成工事の実施に当たっては、次の各事項に十分に配慮すること。

  • アサンカノゴイの繁殖期間中の工事は極力避けること。やむを得ず工事を行う場合は、繁殖活動に影響を及ぼさない対策を講じて行うこと。
  • イ環境省レッドリスト絶滅危惧II類に位置づけられているチュウヒのねぐらとなる生息域の近隣で工事を行う場合は、手法、時季等について十分に検討し、チュウヒの生息に影響を及ぼさない対策を講じて行うこと。
  • ウヨシ原の造成に当たっては、浚渫や客土による濁水の発生、地形の改変などによる北印旛沼の水質や生態系への影響をできる限り回避・低減すること。
  • エ北印旛沼近隣地からの客土は、客土中に含まれる埋土種子や根茎等により北印旛沼生態系への影響が懸念されることから、極力北印旛沼の浚渫土を用いること。
  • オヨシの植え付けについて、ヨシ株植え法の実施に当たっては、ヨシ株採取場所への影響をできる限り回避・低減することと、サンカノゴイの生息に適したヨシ原が短期間で形成されることとが共にかなえられるよう、採取する面積や植え付け面積のバランスを慎重に検討し行うこと。また、マコモ及びヒメガマ等の植え付けに当たっても同様とすること。
  • カ北印旛沼内における土留めの方法としては、順応的管理を踏まえ、恒久的な工法となる石積みを避け、木材による工法などを検討し行うこと。

4事後調査にかかわる事項

造成したヨシ原の事後調査について、ヨシ等の生育密度・草高等についても行うこと。

成田新高速鉄道線環境影響評価に係るヨシ原造成に関する検討報告書についての千葉県環境影響評価委員会における審査経緯

区分

年月日

審査の概要

委員会

平成18年2月27日

千葉県環境影響評価委員会に諮問

部会

平成18年2月28日

ヨシ原造成に関する検討報告書の検討

部会

平成18年3月22日

ヨシ原造成に関する検討報告書の再検討

委員会

平成18年4月21日

答申

お問い合わせ

所属課室:環境生活部環境政策課環境影響評価・指導班

電話番号:043-223-4138,4135

ファックス番号:043-222-8044

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?