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報道発表案件

更新日:令和6(2024)年12月13日

ページ番号:722892

千葉県病院局

千葉県がんセンターにおけるアクシデントの発生について

発表日:令和6年12月13日
病院局千葉県がんセンター

 令和3年6月千葉県がんセンターにおいて、食道神経内分泌がん*1治療中の患者様が糖尿病性ケトアシドーシス*2となり死亡するという事故が発生しました。 
 外部委員を含めた院内医療事故調査委員会を開催し、原因究明と再発防止に向けての調査・検討を行い、再発防止策を策定しました。 
 亡くなられた患者様と患者様のご遺族様に深くお詫び申し上げます。

【事案の概要】

  • 患者は、県内在住の当時60 歳代男性。
  • 食道がんの診断で当院に紹介され、精査の結果食道神経内分泌がんの診断で化学療法、放射線療法などを行い、これら治療は奏効した。その後脳転移による痙攣が出現し、抗てんかん薬*3とステロイド*4の内服を行っていたが、脳転移巣の増大および脳浮腫*5の悪化がありステロイドを増量した。ステロイドを増量した11 日後呼吸状態が悪化し救急車で当院に搬送されたが、多臓器不全*6により死亡した。

【院内医療事故調査報告書の概要】

外部委員を含めた院内事故調査委員会を開催して検証した。

  • 死因は糖尿病性ケトアシドーシスによる多臓器不全と考えられる。
  • 糖尿病性ケトアシドーシスは、がんの進行などによる慢性的高血糖状態の中でステロイドを増量したことが誘因となり起こった。
  • 臨床経過における医学的検証の指摘事項として、ステロイドを長期使用中に定期的な血糖測定が実施されていなかった点、高血糖状態に対して治療介入がされなかった点が適切でないと判断された。

【再発防止に向けての取組】

  • ステロイド使用・がん薬物療法中患者の定期的な血糖測定の義務化:定期採血で必ず血糖値を測る体制にした。
  • 糖尿病チームを病院長直属の組織として発足させ、(1)多職種による血糖確認体制、(2)標準化された低血糖対応、高血糖対応の定着などに取り組んでいる。
  • 糖尿病専門医による外来を開設した。
  • 糖尿病専門医を有する他の医療機関との連携強化を行っている。

注釈

*1食道神経内分泌がん :食道がん中、神経内分泌がんは0.05~7.6%程度の稀ながん。非常に予後が悪いことが特徴。
*2糖尿病性ケトアシドーシス:血糖値を下げるインスリンが不足することで血液中の糖を取り込めず、脂肪酸を使う結果として血液が酸性に傾き生命を脅かす。症状として、短時間でひどい脱水症状(のどの渇き)、呼吸異常(早く深い呼吸)嘔吐、意識障害を引き起こす。
*3抗てんかん薬 :癲癇(てんかん)および痙攣(けいれん)の使用する薬品。
*4 ステロイド :炎症や免疫が過剰になるさまざまな病気の治療に使用される薬品。副作用として、免疫力低下、骨粗しょう症、糖尿病、消化性潰瘍があげられる。
*5 脳浮腫 :脳の組織に水分が過剰にたまり、脳が腫れる状態。
*6多臓器不全:生命を維持するために必要な複数の臓器に障害が起き、その機能を保てなくなった状態。

 

お問い合わせ

所属課室:病院局千葉県がんセンター医療の質・安全管理部

電話番号:043-264-5431

ファックス番号:043-2628680

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