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報道発表案件

更新日:令和8(2026)年4月30日

ページ番号:851601

千葉県にも生息するテッポウエビ属4種を新種として発表

発表日:令和8年4月30日
県立中央博物館

県立中央博物館(千葉市)の駒井 智幸(こまい ともゆき) 研究課長が参加した研究グループは、これまでイソテッポウエビとされることの多かったAlpheus lobidens(アルフェウス ロビデンス)について、詳細な検討を行い、全くの別種であることを明らかにし、新たな和名(「マボロシテッポウエビ」)を提唱するとともに、本種の同物異名、亜種とされてきた種について、それぞれ分類学的な再定義を行いました。
さらに、従来Alpheus lobidensと誤認されてきた日本産の4種を、新種(イソテッポウエビ、ホシイソテッポウエビ、フトオビイソテッポウエビ、カワテッポウエビ)として発表しました。これら4種はいずれも千葉県内での生息が確認されています。
本研究は、生時の色彩を含む形態比較とDNA解析を組み合わせた手法により、長年の分類学的混乱を解明した画期的な成果です。本研究成果は2026(令和8)年3月13日に、オンライン国際学術誌「Zootaxa」に掲載されました。

イソテッポウエビのパラタイプの画像
イソテッポウエビ Alpheus nigrofasciatus のパラタイプ*
(宮崎県串間市産、中央博物館所蔵 CBM-ZC 14763)

ホシイソテッポウエビのホロタイプの画像
ホシイソテッポウエビ Alpheus yoshigoui のホロタイプ**
(和歌山県串本町産、中央博物館所蔵 CBM-ZC 18101)

フトオビイソテッポウエビのホロタイプの画像
フトオビイソテッポウエビ Alpheus latifasciatusのホロタイプ
(千葉県市川市産、中央博物館所蔵 CBM-ZC 18113)

カワテッポウエビのパラタイプの画像
カワテッポウエビ Alpheus aestuaricola のパラタイプ
(鹿児島県種子島産、中央博物館所蔵 CBM-ZC 15438)

ホロタイプ** とパラタイプ*

ある生物を新種として記載する際に、タイプとして指定した(その根拠として取り上げた)標本のうち、学名の基準となる、ただ一つの標本をホロタイプと呼びます。また、新種発表時にホロタイプを指定した上で、それ以外にタイプとして指定した標本をパラタイプと呼びます。

論文の著者

駒井 智幸(こまい ともゆき)(千葉県立中央博物館 研究課長)
チャールズ・フランセン(Naturalis Biodiversity Center, オランダ)
平岡 礼鳥(ひらおか れとり)(前千葉県立中央博物館市民研究員、現株式会社 日本海洋生物研究所)
野村 恵一(のむら けいいち)(串本海中公園センター前館長)

研究概要

研究の背景

テッポウエビ属は、はさみを高速で閉じることにより破裂音と衝撃波を発生させることで知られる海洋生物であり、熱帯から温帯域にかけて広く分布しています。その中でも Alpheus lobidensAlpheus crassimanus(アルフェウス クラッシマヌス)は、長年にわたり同一種とみなされるなど、分類が極めて困難なグループとして知られてきました。また、日本近海でこれらに分類されていた個体群の中には、実際には複数の異なる種が含まれている可能性が指摘されていました。

研究の内容

研究グループは、これまでイソテッポウエビとされることの多かったAlpheus lobidensのホロタイプ(オランダのNaturalis Biodiversity Centerに所蔵)を詳細に調べ、その種同定を明らかにしました。結果として、Alpheus lobidensはこれまでこの種に同定されてきたいずれのテッポウエビにも該当しない、まったく別の種であることがわかり、新たに「マボロシテッポウエビ」という和名を提唱しました。さらに、長い間Alpheus lobidensのシノニム(同物異名)とされてきたAlpheus crassimanusを独立種として認め、再定義しました。また、Alpheus lobidensの亜種として発表されたAlpheus lobidens polynesica(太平洋のポリネシア海域に分布)について文献をもとに検討し、独立種(Alpheus polynesicus)(アルフェウス ポリネシクス)として再定義しました。
これら既知種の実体を確定させた上で、従来 Alpheus lobidens と誤認されてきた日本産の4種を、新種(イソテッポウエビ、ホシイソテッポウエビ、フトオビイソテッポウエビ、カワテッポウエビ)として発表しました。なお、これら4種はいずれも千葉県内での生息が確認されています。

研究の意義

本研究は、長年にわたり混乱していたテッポウエビ類の分類を整理し、生物多様性の実態をより正確に把握する上で重要な基盤を提供するものです。特に、日本近海における種多様性が従来の認識よりも高いことを示した点は、海洋生態系の理解や保全においても重要な意味を持ちます。また、生時の色彩を含む形態比較とDNA解析を組み合わせた手法の有効性を示す成果でもあります。本成果が、今後のインド太平洋全域におけるテッポウエビ属の多様性解明を加速させる契機となることが期待されます。

掲載誌・論文タイトル

掲載誌 Zootaxa, 5772 (1): 1-94.
論文タイトル Clarification of the identity of the snapping shrimp Alpheus lobidens De Haan, 1849, revalidation of A. crassimanus Heller, 1862, and descriptions of four new species from Japan previously confused with A. lobidens (Decapoda: Caridea: Alpheidae). 
リンク先外部サイトへのリンク(英文ページ)

当館職員の役割

標本の採集・整理、DNA抽出・配列決定実験・系統解析、論文原稿の執筆・審査対応

問い合わせ

県立中央博物館 研究部研究課 駒井智幸

電話 043-265-3111

 

マボロシテッポウエビのホロタイプの画像

マボロシテッポウエビのホロタイプの画像(容器から取り出した状態)

マボロシテッポウエビAlpheus lobidens のホロタイプ。乾燥してバラバラです。

お問い合わせ

所属課室:環境生活部文化振興課学芸振興室

電話番号:043-223-4127

ファックス番号:043-224-2851

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