関東地方の太平洋沿岸で新種のノリを発見、クロシオアマノリと命名 -温暖化対策に向けてノリの育種素材として利用-
発表日:令和7年5月21日
県立中央博物館
県立中央博物館 分館海の博物館(勝浦市)の菊地則雄(きくちのりお) 主任上席研究員が参加した、国立大学法人東京海洋大学の松下桜子(まつしたさくらこ) 博士前期課程学生と二羽恭介(にわきょうすけ) 教授を中心とした共同研究グループは、千葉県を含む関東地方の太平洋沿岸に分布するノリが新種であることを確認し、和名をクロシオアマノリと名付けました。南方系の本種は今後、温暖化に対応した新たなノリ栽培種の育成に活用されることが期待されます。
この研究成果は、本年5月6日に日本藻類学会誌「Phycological Research」のオンライン版で公開されました。

今回発見された新種のノリ(クロシオアマノリ)の標本
研究者
松下 桜子(まつした さくらこ)(東京海洋大学)、高橋 南帆(たかはし なほ)(東京海洋大学)、
岡本 未来(おかもと みく)(東京海洋大学)、玉城 泉也(たまき もとや)(水産研究・教育機構 水産技術研究所)、
菊地 則雄(きくち のりお)(千葉県立中央博物館 分館海の博物館)、
小檜山 篤志(こびやま あつし)(北里大学)、二羽 恭介(にわ きょうすけ)(東京海洋大学)
掲載誌・論文タイトル
掲載誌 『Phycological Research』(日本藻類学会英文誌)
論文タイトル Hidden diversity of Pyropia dentata complex (Bangiales, Rhodophyta) in Japan, with description of a new species Pyropia neodentata from Pacific coast of Japan
(オニアマノリ種群の隠れた多様性:日本の太平洋沿岸からの新種クロシオアマノリの記載とともに)
リンク先
(英文ページ)
当館職員の役割
本研究で用いられたサンプルのノリのうち日本海側の5地点での採集、形態観察、DNA解析のための試料の作製を行いました。
また、千葉県産の個体のDNA情報は、本研究以前に収集し、公表していたものです。
さらに、他地域で採集されたサンプルについて形態学的特徴を検討し、形態面から新種としての妥当性を判断するとともに、主に新種記載のために必要な作業の助言と論文の監修を担当しました。
報道発表用記事