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更新日:令和4(2022)年10月24日

ページ番号:2946

第5回障害者差別をなくすための研究会議事概要

1

4月28日(木曜日)後6時5分から8時

2

県庁中庁舎10階会議室

3席者

  • 野沢座長、佐藤副座長、高梨副座長
    安藤委員、内山委員、浦辺委員、小林委員、近藤委員、塩野谷委員、白川委員、高村委員、成瀬委員、西村委員、根本委員、堀口委員、宮前委員、森委員、山田委員、横山委員
    (欠席委員:赤堀委員、加藤委員、金子委員、清水委員、田子委員、長島委員、舟田委員)
  • 第三次千葉県障害者計画推進作業部会から:
    植野委員、木村委員
  • 西嶋参与
  • 関係課:
    健康福祉政策課、政策法務課、住宅課、高齢者福祉課、児童家庭課、企画調整課、NPO活動推進課、建築指導課
    (教育庁)生涯学習課、施設課、特別支援教育課
    (県警本部)交通規制課、試験課、地域課

4事概要

【障害差別に当たると思われる事例の分析及び対応方策について】
(医療・福祉分野)
(サービス提供、不動産の取得・利用分野)
(建築物・交通アクセス、知る権利・情報、呼称、参政権、司法手続、所得保障分野)

(野沢座長)
今回は、非常に広い分野の分析を議論していくことになるが頑張っていこう。
では、事務局から資料確認と出席関係課の紹介を。

(事務局:小森)
(資料確認及び出席関係課の紹介。)

(野沢座長)
では、医療・福祉分野の分析発表から。キャップの堀口委員からどうぞ。

《医療・福祉分野》

(堀口委員)
医療分野は私と宮前委員で分析を行った。
医療はメーリングリストでも投稿したように、差別とは別にドクター・ハラスメント(ドクハラ)かどうかという観点からも分析を行った。
医療費負担については制度についての説明が足りないと思われるので△という分類にした。社会福祉制度についてユーザーに伝える必要がある。
高圧的態度は障害者差別に該当する。ただし、一部は同時にドクハラでもあり、障害者差別の関係のみならず、一般的な関係でも問題となる。
医師の無知・無理解・偏見については、宮前委員からの意見として、顧客満足度を意識していない医師の問題があることの指摘があった。
医療設備・態勢の不備は、明らかに障害が原因のものがあるので、差別に該当するとした。
保険制度のあり方への意見については、差別に当たらないものと考えた。
別添の(資料11)の説明に移りたい。
医療分野での事例については、「障害者差別」「ドクハラ(7つの類型)」「コミュニケーションの問題、配慮の不足など(障害受容や告知の問題など)」「その他」のようにいくつかの要素が背景に存在している。特に、普段診ていない方に対する診療時は医療者の説明が足りない。また、各福祉施設とも利用者の意見は聞いているが、苦情処理・権利擁護の仕組みのあり方に改善すべき点が多いと感じている。

(宮前委員)
ドクハラのあるなしにかかわらず、このような事例には医療提供側とユーザーのコミュニケーション不足がある。とくに身体障害の受容の段階ではコミュニケーションの難しさがある。「もう来なくて良いと言われた」という事例があるが、事例の経過の情報が不足していると思う。

(野沢座長)
では続いて福祉分野も発表をお願いしたい。

(内山委員)
(資料3)
保育拒否という形であるが言葉の暴力であるため、人権擁護機関に適切な対応を求める。障害児をもって働くことへの非難はむしろ虐待なので、別に分けた。
保育所での早退の強制等の不利益取扱は差別であると考えるが、受け入れ態勢を保育所のみで整えることは無理なので、障害児の保育について困ったことが生じた時にきめ細やかに相談できる機関を作り、統合保育の支援体制を確立する。
施設での虐待について。殴打や性的嫌がらせなどは明確な犯罪だが、施錠室内への放置は、虐待に近いと思い迷ったが、人権侵害であることを明らかにすることとした。精神障害であれば、定期的に指定医が診てカルテに書くなどの規制があるが、知的障害にはそのような制度がないのでこれも問題である。
短期入所の利用拒否について、これは医療的ケアを理由としているので差別かどうか判断が難しく、△とした。ケアできない態勢で受け入れて事故があっても大変なので、看護婦を配置する際の職員加算補助金が必要。
事業者間のサービスの格差は、差別と定義するより苦情解決システムの有機的な利用と、対応が有効と思われる。
認定基準が厳しい、ということについて、具体的な事例がわからなかったが、現行の制度では谷間になってしまう利用者を柔軟に対応できる制度と変更する。
民間事業所の職員の質が悪い、ということについては、あらかじめ記入し忘れたが、差別かどうかは△、合理的配慮欠如、間接的差別であり、意識と制度双方の問題と思われる。但し、民間事業所は給与等の労働条件が公立と違うので是正する必要がある。
出産非難は差別であるとともに言葉の暴力。行政の窓口で非難され、前に進めないというケースは多い。

(野沢座長)
医療、福祉どちらの分野でもよいので、質問・意見等があればどうぞ。
では、私から、福祉について、「量が少ない」という問題について、例えば、予算や、認定基準について。
福祉サービスの不足について、障害当事者にとって他の人と同じように暮らせないこと自体が差別とも考えられるが、一方で、条例において、選挙で選ばれた議員の権限を制約して予算確保を義務付けることは困難なのではないか。その点について意見のある方は。

(森委員)
座長のお話の件ですが、予算の配分について条例に盛り込むのは余りふさわしくないと思う。自分の発表にも関わるが、予算配分というのは非常に政治的な枠組みのことなので、条例の文言として盛り込むのは、条例が県民にとってかけ離れた世界になってしまうのでは。身近に分かりやすく、というのが良いと思う。

(障害者計画推進作業部会植野委員)
以前に電子メールで投稿したが、聾学校には音声放送しかない。澤田委員にもうかがったが、バリアフリー法、ハートビル法などで進んでいるのに、なぜか聾学校にそういう設備がない。見えるところから整備するというとスロープの整備というように、予算も行政の判断になってしまうのだと思う。違和感があるがどうか。

(森委員)
制度を充実させていくことと、条例を作っていくことは分けて考えていく必要があるのでは。制度を充実させていくために、条例をどう作るかという考え方でいくという方向でよいのでは。

(成瀬委員)
わたしは、これこそ差別としか言いようがないとおもう。聾学校に文字がないというのは、スタートラインから差別。これこそ、条例以前に差別と考えなければならないと思う。

(野沢座長)
それも確かにそうだが、私が考えるのは、例えば支援費の支給量が足りないというのは予算の問題もあるが、全ての人が好きなだけサービスを自由に受け取ることができるということは現実として無理があると思うがどうなるのか。

(成瀬委員)
似たような事例がいっぱいあるので、研究会を別に作るべきではないか。

(高村委員)
予算の話といえば、今日お配りした資料について、千葉県は障害児の保育所入所率が非常に低い。
千葉市は、障害児:保育士=3時01分という国の基準を超えて1時01分で保育士を加配している。待機児童0名。
学童保育はもっと進んでいて、障害児のための加配指導員は37名。学童から学校までの間に距離があれば学校にお迎えする。要するに、お金が非常にかかることをしている。お金は、姿勢があれば当然つけるべきもの。そういうものだと思う。
差別をなくすためには、お金がかかると言うことだけれども、一人の子、一人の人間なのだから、お金が必要。お金をかけて当たり前であって、当然のことだと思う。

(竹林課長)
お金がかかることでも差別は解決すべき。しかし、野沢さんの考えていることはたぶん別のことで、例えば、労働分野で、採用の時点で断るのは差別。
しかし、働く場がないというケースにも2種類あって、障害のために働く場がない、というケースと、そもそも普通の人の働く場がない、というケースがある。
たとえば、その街に、自分の住みたいグループホームがない、というケースと、普通の人に自分の住みたい家がない、というケース。
野沢さんの言いたいことも、おそらく、「障害者お断り」というケースではなくて、そもそも障害者にも健常者にも同じように使えるものがない、という場合、それでも差別になるのか、という話になるのでは。手話通訳の事例等は限界事例になってくると思うがどうなのか。

(高梨副座長)
合理的配慮の事例では、ほぼ必ず予算が必要になってくる。ユニバーサル社会では、予算のあるなしにかかわらず当然配慮されてくるべきと思う。予算のあるなしにかかわらず対等となることが当たり前になる国民性を教育する必要があるのでは。

(塩野谷委員)
野沢さんの意見に同感だが、障害者も同じ人間。「健常者と障害者」ではなく、「人間は一つ」という概念が必要。だから、差別というより、平等という表現であるとよい。逆に、差別ということばだとマイナスになってしまうのでは。

(野沢座長)
たとえば、主に高齢者福祉の話だが、秋田県の鷹巣町では非常に充実した福祉政策を行っていたが、費用負担者となる一般町民では「そんなものは不合理」「身の丈にあった福祉を」ということになり争点となって、選挙で町長が交代した。
県民の理解を得たうえで、どう予算を付けていくかという話になるのではないか。

《サービス提供、不動産の取得・利用分野》

(森委員)
改善提案はあえて記入しなかったが、その理由は資料を参考としてほしい。
発表にあたり、この間の塩野谷委員のとても有効な情報提供に励まされた。
まず、虐待という行為は許せる問題ではないと思っているが、肉体的虐待は、虐待である一方で他者に関わりたいという信号でもあると考える。言葉の暴力は人間の心根に突き刺さるもので、人間として最も許せない虐待だと思う。従業員であれ、人に対して暴言を吐くのは虐待である。直接的であれ、間接的であれ、差別だと思う。
今後のスケジュールの提案も含めて、以下のように提案したいと思う。

(資料15別紙2読み上げ)
「概要版」による差別事例の類型分け終了後、改善方法・改善提案(対応方策)を通して、条例になじむものとなじまないものとの区分け作業が予定されているのですが、対応方策を基軸としての区分け作業よりも、条例作りの為に必要な、県民相互の議論の場作り(タウンミーティング)の議論のテーマという事も含めて、県民への問題提起の基軸の掘り起こしという事を作業化したほうが良いと考えます。
何故ならば、差別の事例を通して見えて来た事は、ともかく意識変革を進めていかなければ、制度や施設の不備は語れない、改善されないのではないかと思うからです。それだけ問題が深刻であるという事なのです。
全ては意識を持つ、人間が運行している「社会」という仕組みです。障害者といわれる立場を超えて、広く生活者全般に問い掛ける問題を、この「障害者差別の事例」という切り口が提起していると考えます。
これは、「条例を策定していく」という目的達成の為に、かなりしんどい議論を覚悟していかなければならないという事も明示していると考えます。つまり、自問していく事、自分を見つめていく事だからです。
「悪者」は他にいるのでは無く、自らの中に潜んでいるという事です。
結論付ける訳ではありませんが、以前にも少し述べましたが、「差別」は<禁止するもの>ではなく<闘うもの>だと考えます。そして、誰と闘うのかと言えば、自分自身の内面と闘う事だと思います。人間の生き方を問い掛ける問題としてあるのです。
だから、条例を策定する為に、より多くの県民に共有していただく為の方策に、出来るだけたっぷり時間をかけなければ、この研究会の作業が自己満足の上滑りに陥ってしまうと考えます。
600万県民の賛同を得る為に、より多くの県民の意識を巻き込んでいく構造を作って行く事が必要と考えます。
具体的提案として、6月中は「中間報告」作業を予定していたことでもあり、「中間報告」として、議論のテーマ、県民への問題提起の基軸を抽出する月間とし、7月には、各界のヒアリングを行いながら、タウンミーティングを開催していく事での県民意識の醸成をはかりながら、8月・9月で県民の意識を考慮しながら、具体的条例策定に向けて検討をしていく。という進め方を提案致します。

基本的には、皆様方の考え方を集約して頂きながら、座長・副座長のリーダーシップと事務局の采配にお任せいたしますが、取りあえず、提案させて頂きます。

(資料15別紙1一部読み上げ)
基本的に「差別を受けた」と思う、感じるという構造の中に、大きく分けて3つの構造があると思います。
1.1人でも行動出来る事(1人で行動したいと思う)を思い・考える場合
2.集団(既成の仕組み)の中にいる場合を思い・考える場合
3.集団(既成の仕組み)の中に入っていこうとする場合に思い・考える場合

「呼称」に関わる事例分析にも関わってきますが、全ての立場において、ベースとして「障害者」という言葉の持つ意味を、どう思う、感じるのか?という問題があると考えます。
「障害を抱えているという事」をマイナス、悪と考えさせてしまう社会、世の中の仕組みや思い(関係性の断絶の構造・排除の思想)に対して、人間お互いの生き方の中で、障害を抱えているからこそ、より深く人と人との関係性において関わり合う事が出来、「共に」その障害を乗り越えようとする共通感や共有感や連帯感を持って生きていく事(有機的な関係性の創出)が出来る事を広く訴えかけていく事が必須だと考えます。
「障害」という言葉により、人間同士お互いの関係性が「心の壁」「思いの壁」「理解の壁」になっていないか?させていないか?という検証が必要と考えます。
「世の中」「社会」が、「障害を抱える事」によって社会参加への入り口を狭くさせている事を認識出来ていない、その認識が追いついていない現状で、言葉が不適切かもしれませんが、「自己の欲望を追求する事」には現状として無理があると考えます。「欲望」を「希望」に変えていく為の方策作りが必要と考えます。
もう一つに、「不利益と思う事」を考えていった時に、<利益とは何か?>という事を考える基軸が必要かと思います。
「障害者」に対する社会的優遇措置(例えば割引制度や駐車場における「車椅子の図柄」による障害者専用パーキングという区別)というのは、果たして「障害者」をどの様に考えての制度なのかも探っていく必要があると考えます。心的要因としての「可哀想だから」「大変だから」という同情心に支配されていないかを検証していくべきと考えます。
社会的優遇措置としてある「医療費公費負担制度」は別問題と考えます。これはやっと精神障害といわれて来たケースに遅きにして整備された事を象徴として、医療に頼らざるを得ない「障害の克服、本質的には病気の克服」という問題があるからです。
その事を踏まえながら、「何故、制度や仕組みとして優遇するのか?」の背景を考えていく必要があると思います。
「特別扱い」という待遇にも、両面あると考えます。<冷遇されれば差別と思い><優遇される事が当たり前>という考え方や思い方が、果たして「障害者に対する差別をなくしていくため」の本質を捉えているのかどうか?という議論も必要かと思います。
昨今、「障害者も自立していこう」という問題提起からも、この<優遇措置といわれている仕組み>に対する検証も、差別を考えていく為に必要と考えます。
障害を抱えて生きている、生きていく故の社会的不都合や生き難さをもっと語り合っていく事、訴えかけていく事、知らせていく事が必要でしょう。
権利を主張するという事は、義務を伴い、ちゃんと向き合う関係性を築いて行く事と考えます。

集団(既成の仕組み)に入っていこうとする時、関わっていこうとする時に、障害の有無に関わらず、<平等に>集団上のルールや危機管理における制約がどうしても有るという認識は持たなければならないと考えます。
しかし、そのルールや危機管理意識が、「排除の思想」を持っているのであれば、その「排除の思想と対峙」しなければならないと思います。
ここでいう「排除の思想」というのは、例えて言えば、障害の有無とか性別とか年齢とか、ともかくどんな理由であれ関係性を断ち切ろうとする思想です。

「排除の思想と対峙」する為に、想像力や技術力を豊かにしていく事、させていく為の意識作りが必要です。その事が、ソフト面として区分けされる心根の問題における差別感や、制度や施設というハード面の不備に象徴される合理的配慮の欠如の克服になっていくのではないかと考えます。
「暗黙の了解が通用しない関係性」、つまり「互いがきちんと向き合う自立する関係性作り」が意識変革の基軸であり、そしてその事が制度改革の基軸へとなっていくと考えます。

では以上を踏まえて、事例分析の考え方に移ります。
その一つ一つの事例にとらわれず、改善方法を考えると、どうしても個々の事例を考えざるを得ないので、あえて記入しなかった。この別紙1・2をもって、私なりの改善方法の提案としたい。

また、本日欠席の長島委員の資料代読をさせていただきたい。

(資料9読み上げ)
差別をなくすための研究会
分担「不動産取得・利用、サービス提供」分析等を通しての意見

前述の分担を受けて、考えたことを別添意見として述べさせて頂きます。

今回のように具体的な現状を当事者がはっきり示す機会を得たことは重要である。
差別の分類は型どおりに進めるべきであるが、そこにある侮蔑や無理解は単に禁止条項を設けてもぬぐいきれないものがある。
国民の教育レベルにかかわるような、無知や誤解があることから、子どもの教育のなかにこうした被差別の悲しみを受け入れるような情操・倫理教育が必要であろう。またその親の教育や研修、一般広報もなければならない。

サービスを新たに設けることも重要であるが、今あるサービスが非常に貧相でしかも行政がなんら監督もせず、第三者機関の検証も受けていない状態が明らかになっている。公的機関がまず現在の状態について検証し、反省すること、職員の教育を徹底することが大切であろう。

障害者の住宅取得・利用の困難は高齢者の問題とも共通している。健常者には何ら関係ないと思いがちな問題が実はどんな人間にも共通してゆくことである。ずっと以前からこのことは指摘されてきたことだが、どのように社会に浸透させて行くか、条例を作る前にこの会議で十分検討する必要があると考える。

(野老委員)
私は不動産の部分を分析したが、森さんが分析したように自分も分析した。
思ったことは、ここから一つの会話として受け止めて、ここを切り口として対話していく必要がある。こういう事例がある時に、門前払いをしてしまうのは、障害者と事業者双方にとって残念なこと。
経営を行うに当たって、「ここからが始まりなんだ。現状を切り開くんだ。」と考えるのが当たり前のことだと思う。また、ビジネスとして、障害者に特有なニーズというものがあるということを自分がこういうことを知ったとき、チャンスだ、と自分は感じた。

(野沢座長)
これらの分野は重要だが、障害者にとって、不動産は特に取得するのが困難。
特に野老委員にはその不動産会社を経営しているという視点から貴重な意見をいただいたが、他の方の意見はどうだろうか。

(成瀬委員)
不動産には関係しないが、いま、いろいろなものをごちゃごちゃにして議論している。
森さんの意見に伺いたいが、優遇と不利益の関係について。車椅子マークの駐車場は、ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)では幅350cmと定められている。
なぜそれだけの幅が必要か。ドアを全開にしなければ車椅子で乗降できない。これを優遇と言わねばならないのか。これを特別扱いというように考えてはいない。これは必要だから寸法がそうなっている。だから、事例の中に、心臓機能障害や聴覚機能障害の人が駐車できないという事例があったが、これは差別ではない。体を斜めにして乗降できる人はいいなあと思う。
それこそ、完全参加と平等の為に、社会活動の為の大切なことである。大阪府などはこれのために別に条例を設けている。おそらく、これも、勘違いがあって、障害者と、車椅子使用者という法にある言葉と混ざっているのではないかと思う。

(森委員)
成瀬さんのおっしゃることはそのとおり。
事例として、車椅子のマークがあるところはどんな障害者も使っていいんだ、という誤った認識、つまり、「なぜ、こういうマークがあるのか」ということや、法が知られていない、ということが問題。

(成瀬委員)
実際問題、私がトイレに行こうとしても、駐車場に止まれなくていけないことが多い。高速道路でもパーキングエリアを移らなければいけない。
いままでも、駐車しようとしたら、車椅子使用者ではない肢体不自由の障害者が止めて頑張っていたことがある。
「誰も、困らない人が出ない」というのが根本姿勢ではないかと思う。
車椅子=障害者ではないというポスターを作ってほしいという事例があったが、しかし、これは国際リハビリテーション協会が作ったマーク。車椅子以外の障害も含む。しかし、車からおりられなければ車の中にいなければいけない。
日本の国土が広くて全ての駐車場が幅350cmにできればいいが。

(障害者計画推進作業部会植野委員)
サービスという意味は、逆に聞こえる人のみへのサービスというものがある。駐車違反を取られたとき、パトカーに「さっきアナウンスしたでしょ。サービスしたでしょ。」と言われた。
また、身体障害者手帳は、制度発足当初は傷痍軍人のみが交付対象となっていて、のちに原因にかかわらず交付されるようになった。
年配の人の話を聞くと、かわいそうだから支援する、というのではなく、要望をしてもできないからお金で我慢してください、ということで年金などが始まったと聞いた。かわいそうということではない。

(野沢座長)
大変時間が押して申し訳ないが、700事例を一通り共有してみよう、という趣旨なので、次の分野の発表に移りたい。

《建築物・交通アクセス、知る権利・情報、呼称、参政権、司法手続、所得保障分野》

(横山委員)
チームは完全分担方式でそれぞれの分野の分析を行った。

(塩野谷委員)
建築物分野を担当した。
差別条例、というより、身体障害者福祉法、交通バリアフリー法、ハートビル法の3つバラバラになっているが、ユニバーサルデザイン法に統一してはどうか。別に差別禁止法を作るとかえって混乱するのではないか。
身体障害者用トイレがあるが、これが男女に分かれていない。これは差別にあたるのではないか。男性用・女性用それぞれに障害者トイレを作るのが適当ではないかと思う。アメリカでは男女別に分かれている。だから、男女平等ということを考えても、男女兼用のトイレを作るのは適当ではない。
また、駐車場の話も成瀬委員のおっしゃるとおり。交通バリアフリー法を改正すれば差別も解消されるのではないか。
また、聴覚障害者の場合、エレベーターは、たとえば、駅の改札の場合など1~2階と距離が短いものは、ガラスなどで透明化する。そうすれば、見えるので手話等で外部とコミュニケーションできる。文字放送化することも望ましいがコストはかかる。しかし、デパートなどは距離が長いので、文字放送も導入するべき。新しい建物は文字放送が入っているが、古いものは入っていないので差別に当たるのではないか。

(成瀬委員)
交通アクセス分野を担当した。
いま、塩野谷さんがいいことをおっしゃったが、ハートビル法の制定過程には障害者も参加した。その時は聴覚障害の人も相当頑張って、ガラス製にすべきと言ったが、当時の建設大臣に「消防法の規定で、ガラスにすると割れるからいけない」と言われた。しかし、その後ガラス製のエレベーターはたくさんできた。
時間がないので、分類は資料5を参照してほしい。

(横山委員)
知る権利・情報分野を担当した。資料3に補足して説明する。
概要版にあるものは全て差別。事例を参照すると、ひどいものもある。
災害時の情報保障に関しては、手話通訳等も考えたが、通訳者も被災しているので、防災倉庫にホワイトボードを準備すべき。
ヘルパー養成講座に手話通訳・要約筆記をつけて聴覚障害者の資格取得を促すのも大切。
私自身は、「聴覚障害者のための図書館」というものの想像がつかなかったが、聴覚障害者情報提供施設のことと考えた。
手話通訳の地域格差解消には、待遇向上だけでなくレベルも問題なので資格試験内容を統一すべき。
講演などの際、講演者側が要約筆記したものを記録として使うというおそれを抱いているので、主催者に要約筆記したものを返却して破棄を徹底する。
手話通訳を嫌がる講師は呼ばない。
家族を介して電話の内容などを伝達することは、家族にも知られたくないことがあるので、本人に直接連絡を取れるようにすべき。
費用負担に関して、身体障害者手帳がなくても困る人は全て自己負担となる。が、基準を緩めると、35万人が600万人になってしまう。テレビの字幕デコーダの費用も、内蔵義務があれば量産され単価が安くなる。一般の方につたわらないのでオープンキャプションにする必要もある。
概要版から事例が伝わらないものは抜けていると言うと語弊があるかもしれないが、資料4にまとめた。

(西村委員)
資料7を参照してほしい。多くのことを訴えられる人も少ないと思うので、これらの事例は氷山の一角で、他にもあるだろうと思う。(以下、資料7)

(呼称について)
「障害者」の表記については、障害という言葉の意味についての差別感を感じることから(事例1001、1003、1006、1011)、現在表記を変更して「障がい者」「障碍者」などと記したり、名称の変更として「チャレンジド」「ギフティッド」(事例1001)などへの変更を希望する声がある。精神薄弱者が知的障害者へ、精神分裂病が統合失調症へ、痴呆症が認知症へと名称の改定がなされている中、総称する「障害者」についても、異論が多くなっている。千葉県の障害者差別禁止条例の制定についても、その条例に掲げる「障害者」の表記をどうするかは、今後議論を深める必要があると感じた。
また、公的機関及び医療・福祉機関における個人情報の取り扱いに関して、機関名や部署名を記載した郵送物が、無作為に情報の漏洩となってしまうこともある。特に精神障害者や精神科など表記には、強く配慮を求める声がある(事例1008~1009)。個人情報保護法とも併せ、より一層の配慮の必要性を条例に盛り込むこと必要であろう。

(参政権について)
殆どが、知的障害をもつ方の両親から、成年後見制度の被後見人になることによる選挙権喪失に関する意見であった(事例1101~1106)。選挙権の喪失は、日本国民としての権利の剥奪である。国は、判断能力に大きな障害があるのであれば、それを補完して権利を守ることが基本的人権の尊重であろう。
問題となるのは、選挙候補者を判断する能力と、判断能力如が被後見人となる基準であることの両者の整合性について、また身上監護の範囲が医療判断は範疇とされておらず、財産に関する判断以外の判断は限定されていることである。これらを含めて、選挙権の喪失の是非につい制度改革を示唆した十分な検討が必要であろう。県としての見解は、今後大きな方向性を示すこととなるであろう。

(司法手続について)
警察・司法関係者との情報伝達手段として手話通訳の配置配慮がない、または手話通訳者の役割についての認識不足など、聴覚障害のため平等で対等な司法手続を踏めないことに対する差別について、聴覚障害をもつ方からの意見が殆どであった(事例1201、1203、1204、1205、1206)。
また、警察側の障害者に対する先入観のために、精神的に傷つけられた経験のある人もいた(事例1202、1204、1205、1206)。特に平等な裁きの場である裁判所においても、障害を持つことにより何重にも差別を受け、基本的な人権を踏みにじられることが起きる。最低限の人権の尊重やコミュニケーション手段への配慮についての教育システムの整備は必要であろうし、特に公的機関におけるコミュニケーション手段の配慮は条例に取り込むべきものではないだろうか。

(所得保障について)
国民年金法や生活保護法、または公的機関の所得の運用において受給対象の判断基準が該当せず、生活の基盤となる所得が保障されないことへの差別(事例1302、1302、1303、1304、1306)を感じている意見が殆どであった。主に、法制度の改革以外は対処方法がないため、県も声をあげて改革の推進をしていく必要もでてくるであろう。
また、家族における財産の搾取に関する事例は1件(事例1301)だけであったが、これは虐待であるにも関わらず一般的に虐待という認識が薄く、水面下から浮上しにくい問題でもある。声なき声が多くあろうことを考えると、これこそ、横断的に人権を擁護することを謳っている中核地域生活支援センターの担う大きな役割でもあり、条例にも組み込み必要性があるのではないだろうか。「家族が本人に無断でお金を使う、管理する」ということが虐待という認識が薄い。差別よりも悲しい虐待を防ぐためにも何らかの規定が必要では。

(野沢座長)
そのほかにこれらについて意見のある方は。

(高梨副座長)
委員としての発言というよりも、視覚障害者の事例が少なかったので、当事者という立場から発言したい。
制度面で不合理なのは、選挙権の行使。名前を知っていても、国政選挙以外では点字広報がない。名前だけでしか誰に投票するかの投票の判断ができない。
次に、年金制度について、20歳以上で障害者になった人は、いくら所得があっても年金が受給できるが、20歳未満で障害を負った人には所得制限がある。

また、社会の進歩が便利さとともに格差を生んでいる部分もある。例えば、視覚障害者でインターネットができる方は約2%しかいない。
点字についても、例えば、県民便りを点字化するのに10日はかかる。今回の資料も多く、事務局には頑張ってもらったが、全て点字化したらトラックいっぱいになってしまう。
また、銀行のキャッシュカードは、自分で字が書けないとお金をおろせない。一方、静脈認証などの生体認証では家族がおろせないので頼めない。

障害者といって一括りにしてしまうことに無理がある。幅の広い駐車場は車椅子の方には必要だが、視覚障害者には必要ない。
例えば、誘導音声信号も、我が家の近所では夜8時から朝7時まで止まってしまう。他地域では、夜中に音声信号が鳴るとうるさいので、音量を落として、トラックが通過する時など騒音が大きいときだけセンサーで感知して音声信号が大きくなるものもある。障害者やお年寄りのためだから配慮しろというのではなく、「全ての人にとってどうやったら暮らしやすくなるか」という観点から議論すべき。

(野沢座長)
次回担当されるその他分野の方からは何かご意見は。

(根本委員)
自分の担当箇所は終わっているが、分担した赤堀さんは本日欠席なのでどんな進捗状況かはわからない。

(白川委員)
浦安で障害を持つ子の親たちと会合を持って分析について話し合ったとのことなので、終わっていると思う。

(事務局:小森)
次回研究会で用いる資料については、連休中恐縮だが5月6日までにご提出をお願いしたい。

(野沢座長)
次回の研究会は5月9日を予定している。では、今回はこれにて終了する。

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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