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更新日:令和4(2022)年11月29日

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第3回議事録:前半(「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」改定のための会議)

(司会)
ただいまから、第3回「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」改定のための会議を開始いたします。わたくしは、この会議の事務局を務めます、障害福祉課障害者権利擁護推進室長の川口と申します。よろしくお願いいたします。

《資料確認》

(司会)
議事に入る前に、皆様に3点お願いがございます。
まず、この会議には、視覚障害の方、聴覚障害の方が参加されています。御発言の前にお名前をおっしゃっていただくことで、どなたが発言されているのか伝わりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。
二つ目として、皆様に発言が聞きとりやすくなるよう、はっきりと、また早口になりすぎないようお話しください。
三つ目として通訳等を介して発言を把握する方のために、一気に話さず、文と文の間に適度な合間を取られるようお願いします。
なお、会議の途中でいったん休憩を挟む予定ですので、あらかじめ御案内します。
それではまず、事務局として障害福祉課長の古屋からご挨拶申し上げます。

(課長)
皆さんこんにちは、障害福祉課長の古屋でございます。今日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。今日、3回目のガイドライン改定のための会議ということで、今回は前回に引き続きましてヒアリングをさせていただくこととなります。前回は御園委員をはじめ6名の委員の方にヒアリングをさせていただきました。誠にありがとうございます。今日も引き続きヒアリングを続けてまいりたいと思いますので、率直な御意見をいただければと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(司会)
司会の川口です。本日の御出席状況を申し上げます。
今回は、全員の方に出席をいただいております。平下委員におかれましては遅れていらっしゃる予定です。

議題1「新しい情報保障ガイドライン作成に当たっての課題」

続きまして、議事に進んでまいります。
まず、議題1「新しい情報保障ガイドライン作成に当たっての課題」について、資料1を用いて進めていきます。こちらは委員の皆様からの御意見をまとめた資料ですので、順番に御説明いただき、それぞれお話し合いの時間を設けます。皆様の御説明は、それぞれ10分程度以内でお願いできればと思います。
最初に、植野委員からお願いいたします。

(植野委員)
千葉県聴覚障害者協会の植野でございます。意見などについてここに資料などがありますが、ポイントのみにしぼって話をさせていただきます。
一つは社会モデルという考え方。障害者基本法あるいは障害者権利条約等に沿ってこういう考え方として整理をして盛りこんでいただきたいということ。
二つ目、市町村との連携について。前回2回目の会議の時にも話をさせていただいたと思いますが、市町村において県レベルにおける例えばマイノリティ社会というような集団や社会資源、また県レベルの社会資源等においてもその仕組みについて市町村が積極的に活用しまた啓発していっていただきたい。
三つ目、ちょっとここで説明が足りなかった部分もあったかと思いますが補足という意味で110番メール、119番メールのことで記述があります。110番の場合は警察ですが、消防においても119番メール体制というものが課題となっています。これは通報体制という意味だけではなくて実はこの中に手話通訳等の依頼の手続も入ってくることになります。しかし、実情はいくつかの市が広域的な形での構成になっているにもかかわらず市のレベルの派遣の連携の形がまだ確立していないという状況にあります。
それから次ですが、千葉テレビ放送局、放送事業者のことなんですが、千葉テレビ放送の中に手話あるいは字幕付きの番組の比率というのは全国平均でも他の民放局、地域ローカルあわせて非常に千葉テレビは低い数字になっております。経営上の事情があるのかも知れませんけれど、例えば小さな民放に対しても手話や字幕についての助成制度があるように聞いておりますのでそれも調べて確認していただいたほうがいいかもしれませんが、何とか現時点よりも付与率が上昇できないかということが課題になっています。
他にいくつかありますが、例えば資格取得の場合、例えばホームヘルパーの資格を取りたいという聴覚障害者がいた場合に、その際受講資格を取るためにはやはり継続的な講座というものを受けなければならない、ただそれが手話通訳派遣は行政がこういう派遣では認めないということになります。就労につながらないということでは認めないというケースも出てきています。ですから資格取得のために継続的な受講の会というのがあるわけで、もう一つは例えば人工透析についても継続的に支援をしなければいけない部分です。命に関わります。ところがその部分については手話通訳派遣ができない、そのような市町村によってのいろいろな温度差がありますので、その辺も課題として盛り込んでいただければと思います。
それから、労働分野に関することになります。民間会社の会議の場では企業が手話通訳等について負担するという費用負担になります。ところがやはり経済的に厳しい状況にある場合、たとえば法人税を払えないとかあるいは経営的に厳しいといった場合にはなかなかそこが負担ができないという面もあると思います。その場合に通訳保証ができなくなるという事態になりますので、国の何らかの制度があるにもかかわらず、やはり消極的な状況のために職場では通訳保障がうまくいかない。ですからそこで何らかの仕組みを検討をしていくような形がお願いできればありがたいと思っています。
それから最後に一つ。講演会等についての合理的配慮について。行政は法的義務になっておりますが、たとえばそれが当事者からの申し出があるということが原則になっております。しかし例えば知的障害を持っている聴覚障害者、精神障害を持っているろう重複障害者と言われる方々の場合には、自分自ら通訳の必要性を訴えることがなかなか簡単ではないという現状にあります。そういった場合には地域における市町村の対応要領の中にカバーするというような形で、書き込んだ形で努力していただいている市もあります。市町村それぞれあると思いますが、そのような配慮を全市町村でしていただけるような働きかけがあればありがたいと思っています。
おおまかに、以上です。よろしくお願いします。

(司会)
司会の川口です。ありがとうございました。
ただいまのお話について、御質問や御意見等ありましたらお願いいたします。

《質疑なし》

(司会)
よろしいでしょうか。それでは次の方の御発言に移りたいと思います。次は平下委員の予定でございましたが、遅れていらっしゃいますので、先に村山委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

(村山委員)
知的障害者の家族の会の「千葉県手をつなぐ育成会」の村山と申します。よろしくお願いします。
関連分野は知的障害ということで意見を述べさせていただきます。手元に配付された資料に沿って少し説明をさせていただきます。
今植野委員からも最初に社会モデルという御発言がありましたけれど、私も同じようなことでこのガイドラインの変更にあたっては考え方が変わってきていますのでそのあたりをきちっと最初に明記するということがこのガイドラインの最初の理念というところで非常に大事だと思いますので、障害者基本法の改正の理念、そこを入れてほしいということで、記述例というのを次のページに載せさせていただきました。これは(障害のある)御本人向けという分かりやすい形でこの法律の目指すところ、障害があってもなくても一人の人として大切にされる社会を作るために、自立や社会参加を支援する法律や制度をよりよいものにしたり作ったりすることを目指すということで、このことが実現されるようなものの一つとしての情報保障ということだと思います。
障害が社会モデルとされて社会的障壁のためにいろいろなことが生きにくくなっているということをまず基本としてしっかり押さえていただきたいということです。そのことがなければ、ただガイドラインに具体的に記述をされていても、やはり相手となるのは人ですから障害特性だけでなくその方の持っている今まで生きてきた背景というのも資料になりますし今暮らしている環境というのもみんな異なりますので、そういうところでしっかり御本人と向き合った中でどのような合理的配慮、情報保障ができるかということを常に意識していただきたいというが願いです。
そこが最初のところですが、追記というところにつきましては、障害のある方は非常に個別性が高いのですね。どの障害でもそうですけれど、知的障害といわれている方の中にもいろんな方がいらっしゃって、でもやはり通訳としての支援者、家族の付き添いはとても大事なことです。そのことがやはりぜひ明記されてほしいと思っています。コミュニケーションに関しては言葉が非常に困難な方も多いということですので、視覚的な配慮をしたコミュニケーションボードですとかいろいろなカードの利用をお願いしたい。このあたりは後ほどの與那嶺委員からも専門的な具体例を示されるかと思いますが、私からは、そこも本当に個別性があるので、ただ主なものとしていろいろな事例がありますので、そのあたりを拾ってきてコミュニケーションボード、カードのようなことを記述していただきたいと思っています。
情報というのは一方的ではなくお互いにということですから、障害のある人からの意思表示というのもどうキャッチできるか、そこもとても大事だと思いますので、その重要性も記述してください。
そして選挙権行使というところも数年前から非常に話題になっていると思います。それは、成年後見人がつくと選挙権が剥奪されるというところを社会的な運動も含めてそこが見直され、後見人がついた方でも一票をちゃんと持っているということを国が認めましたので、それはやはり一票を持つということで国民として認められた、そこが大事です。ただ、その方が選挙権行使に本当に結びつくかというところは、選挙管理委員会などの取組も必要ですので、そのあたりもぜひ書き込んでいただきたいと思います。選挙管理委員会の取組に関しては、次のところに書いたのですが、狛江市が先駆的に取り組んでいますので、そのあたりもぜひ参考にしてください。
チェック2のところ「ガイドラインに今まで盛り込まれていない新しい情報について」というところで最初のほうにも書きましたが、コミュニケーションボード、カードの情報をうまく載せていただきたいと思っています。
世の中の考え方の変化というところですが、これも今申しましたように選挙権の行使が認められるようになり、18歳以上の方の選挙権行使も始まって、そのことに関してはいろいろなマスコミ、いろいろなところで選挙権を行使できるような情報が流れたり、いろいろな話し合いがされたりされていますが、なかなか選挙管理委員会が開かれていないというか、おざなりな対応、投票所の対応も、こちらから意思表示をしなければ対応してもらえなかったりするので、やはりこの辺もきちんと記述していただきたいと思います。
そしてこのガイドラインが本当にいいものになって活用されるようにというところはやはり、周知活動や職員研修の義務づけも非常に必要で、そのときには必ず当事者の参画をしていただきたいと思います。やはり当事者の方と直接顔を合わせたり言葉を交わしたりふれあったりということで、その存在をきちっと認識していただけると思いますし、困り感も伝わると思います。そのへんを是非よろしくお願いいたします。
一つ、たとえばの話をさせていただいたと思うのですが、知的障害のある方が一人で窓口に情報を求めたり相談に来られたりというときに、ガイドラインに沿って非常に丁寧に対応していただいても、本当にそれが御本人に伝わっているのか、本人の求めるものがそこで提起されているのか、コミュニケーションが取れたのかというところは、御本人が「はい、わかった」と帰っても、そこが知的障害者の(特性で)、本心と言葉とのちゃんとしたコミュニケーションができないというところなんですね。そういう場合に、ではそこで終わりで帰られて、情報が伝わったというところでシャンシャンではなく、その場で御本人の了解を得ながらも、本当に伝わったのか、本当にこれで大丈夫なのかということを、実は誰かに確認が必要です。それが支援者だったり家族だったりすると思うのですが、御本人が知的障害がもう少し重い方で、必ず家族か支援者が付き添ってくるという場合はいいのですが、やはりそうでなく一人で行動できて会話も割とできている方は、本人がきちんと本心を言えていると思われがちなのですが、そうでもないということがたくさんありますので、そこをもう少し気を遣った配慮ができるようなことも盛り込めたらいいなと、この資料を作った後で思い当たったので付け加えました。
それから、今植野委員からろう重複障害の方のお話が出ましたが、私たちの会には残念ながらそういう方はなかなか入ってこられなくて、そういう情報も持っていませんし、そういう方々が本当にどんなことで困られているかということがなかなかわからないですが、植野委員からの御提案もありますので、そのあたりはきちんとガイドラインに書いていただきながら、私たちの会でもそういう方の情報を得られるようにちょっと考えてみますので、植野委員の会のほうにそういう方がいらっしゃるのであれば、何かお話ができればいいなと思っていますので、またよろしくお願いいたします。

(司会)
司会の川口です。ありがとうございました。
ただいまの村山委員のお話について、御質問や御意見等ありましたらお願いいたします。

(植野委員)
植野です。ありがとうございました。二つほど課題として申し上げたいと思っていることがありまして。
一つは、村山さんからの御発言のとおり、支援者や家族の同行が必要ですという書き方になっています。実際問題として、手話通訳、要約筆記の派遣については市町村の実施要綱に沿った形で運用しているというのが現状にあるわけです。ところがいくつかの市町村においては御家族の方は認めないというようなことも書いてあることもあります。そうなりますと、成年後見人は通訳は認めないという話も出てきたという話をしました。そのへんを非常に対応に閉口しているという現状にあります。もう、県からの何らかの指導というのは制約があるかもしれませんが、何とかならないのかという意見を持っております。
二つ目なんですが、村山さんの御発言もありましたが、おそらく私よくわかりませんが、意思形成という形の支援のあり方について言及されているのではないか。意思形成支援、これはですね、意思疎通を図る前の段階でその内容について本人が理解するまでの確認の作業、手順を踏んでその醸成をして、そしてそのプロセス、意思を形成するというプロセスの段階が必要です。情報保障ガイドラインを作るにあたって、意思形成の部分の配慮というのも必要ではないか。その辺、もう少し踏み切った説明も加えていただくとありがたいと思います。提案です。

(村山委員)
村山です。植野委員の発言、ありがとうございます。今おっしゃった意思形成支援なんですが、私がこの中にその文言を入れなかったのは、形成支援の段階はやはり御本人を取り巻く家族、支援者とのやりとりの中で形成をしていく、育てていくという意識ですので、この情報保障ガイドラインの相手方である行政等にはそこまで求めないと考えています。ただ、私が書き漏らしたとすると、意思決定支援だと思いますが、そのあたりが通訳役の家族、支援者にどこまで求められるかということが、知的障害の場合はとても難しいと思っていて、本人の意思をきちんと引き出すことがそう簡単ではなく、初めて窓口の方にそこまでは求められないと思っています。やはりその場合には支援者が必要。
ただ、たとえば(聴覚障害者が)手話通訳者の派遣を求めるという場合に、どなたでも大丈夫なのでしょうか。それともやはり自分の手話に合った通訳がベターということはありますか。知的障害の場合、通訳者を派遣してもらうということも難しく、誰でもいいというわけではなく、普段から本人のことをわかっている、本人が信頼している方を支援者として一緒についてきてもらうという形しか、今のところ私たちの会ではイメージはつかないというところです。もちろん理想的にはどなたでも、窓口の方、行政の方が理解してくださって、コミュニケーションの力が皆さん非常にあれば、どなたでもついていただけるというのは理想ですが、そこまでは今のところまだ望めないだろうと思っています。

(障害福祉課長)
障害福祉課長の古屋です。時間も少しあるのでいくつかお伺いしたいと思います。
村山委員の御発言で、障害のある方の個別性が高いので、どのような配慮が必要か聞くことが大切だということですが、具体的な聞き方、例えば今のガイドラインにはおだやかな聞き方といったことが出ていますが、具体的に何かこういったことは、とあれば教えていただければと思います。
あと、植野委員の部分ですが、会議等の手話通訳の派遣について、明らかに耳の不自由な方の参加が見込まれるような場合は申し出がなくても手話通訳や要約筆記の配慮が必要ということですが、この、「明らかに参加が見込まれる場合」というのは、なかなか行政のところで見極めていくことが難しいので、例えば耳の不自由な方が多く出席されるケースというのを具体的に挙げていただければ思います。

(村山委員)
ありがとうございます。村山です。個別性が高いので、というところですが、配慮の一つとして加えるとすれば、下に書いたように視覚的な支援です。コミュニケーションボード、カードなどの視覚的な支援がわりあい共通して通じるのではないか、それを指さして自分はこうだ、これだと。
なので、いろいろなボードやカードを揃えることは、いろいろな場面を想定することになるので大量になって難しいのですが、私もその辺を詰め切れていないというか、もうちょっと具体的にというところは考えてみたいと思います。
文章にルビが振られる、やさしい言葉がよい、というだけではないので、文章も読めない方もたくさんいるときに、やはり支援者が説明をしていくのですが、視覚的なものがあると非常に助かると思います。

(金子委員)
社会福祉法人あかねの金子と申します。今さかんに、視覚という、目で見て説明するというお話が出ていたのですが、私どもの施設にも、重複障害で視覚に障害があって、なかなかものを理解できないという人がいらっしゃいます。先天的な視覚障害者の方でしたら、丸、四角、三角というのが理解できないのです。実際に自分で目で確認していないし、ものに触れる機会もあまりないものですから。いきなり「ボールは丸い」と言ってあげても、では「茶筒はなぜ丸くないの」、と。触ると丸いので丸いと。円柱と球体というものが理解できない。そういう人たちのところに、この施設でいろいろ説明するときには、職員は試行錯誤しながらその人にあったものを作りながら、また手のひらに書いてあげたりして、理解できるように試行錯誤して、伝達しています。本当に伝えるということは難しいと思いますので、この中でいろいろと検討してやっていっていただきたいと思います。
よく、お魚は開いて売っているからそのまま海で泳いでいると、笑い話に出ていますが、お魚そのものに実際に触ったことがないので、自分がいま食べたお魚がどんなものなのか、それすら分からない。そういう視覚障害の方が多いものですから、ぜひここのところいろいろ検討していただいて、上手な伝達の仕方を考慮していただきたいと思います。よろしくお願いします。

(障害福祉課長)
ありがとうございます。知的障害とたとえば視覚障害などの重複障害、ろう重複などで課題をいただいたところで、実は今のガイドラインには記述がないので、どういう形で記述ができるのか考えてみたいと思います。御提案ありがとうございます。

(植野委員)
お答えする前に、参考に何か御発言があればいただきたいと思うのですが。

(星野委員)
千葉盲ろう者友の会の星野厚志です。申し訳ございません。私自身も知的障害者の方のことについて勉強不足でありまして、
盲ろう者の中にも子どもの盲ろう者もいます。盲ろう児といいます。大人の盲ろう者が日本には1万4千人いるといわれています。子どもの盲ろう者、盲ろう児、これも正確な数ではありませんが、1,200人くらいいるのではないかと聞いたことがあります。その盲ろう児の中には知的障害を抱えた子どももいるという話も聞いたことがありますが、私自身、まだそれについては非常に勉強不足であります。盲ろう児の中にも、知的障害を持った方もいるようです。

(植野委員)
わかりました。では、植野から。古屋課長さんからの質問に関して私なりの意見を申し述べたいと思います。ろう者の申し出があることが前提ということになりますが、誰がそこにいるのか分からない、ろう者がいることがわかればありがたいのですが、例えば重複障害者で本人の意思を伝えることが困難である場合もあると思います。本人が手続等も分からない状況。この場合には隣にいる御家族やヘルパー、相談員、いろいろな支援者がいますが、本人に代わって申し出をするという方法もあると思います。それは、厚労省のモデル実施要綱の中にも記述があります。しかし、市町村の中には積極的に要綱を変えないという状況が課題として残っています。それが心配な部分でもあると言うことです。
二つ目ですが、御質問に対して違った答になるかも知れませんが、今年はじめ相談が持ちかけられまして、ある市で大きなイベントがあって、手話通訳、要約筆記がつくという触れ込みがあって、チラシにもホームページにも掲載がありました。非常に人気があるイベントでかなりいっぱいになったと。申込は先着順だったということだったんでしょうが、ろう者が遅れた形で申し込んだところ、それはダメだと打ち切られてしまって入場できなかった。中にはろう者は誰もいなかったのですが、通訳はついているというチラシが入っていて、地元のろう協会が、行政におかしいのではないかと申し入れをしていたのですが、こちらにも相談が持ちかけられました。しかし、これは別だ、こういう話は別だということで終わってしまったようなので、沢山いるかどうかということについても、逆にこういうケースもあるということを御紹介しました。ちょっと難しい問題かも知れませんが参考までに。

(障害福祉課長)
ありがとうございます。多分、手話条例等では講演等で手話通訳を付けるよう行政に努力義務が課せられていますので、どういった形で付けるかということをこのガイドラインの中で示していければということで伺いました。
イベントとか中身とか、いただいた御意見を参考に記述を進めていければと思います。ありがとうございます。

(石井委員)
舞浜コーポレーションの石井です。私どもには知的障害のある従業員が170名ほどいまして、実際に自分の考えを伝えるということについてはずっとやっています。まず基本的には、仕事をする上でもそうですが、3か月に一度必ず面談をしています。その面談は仕事や生活に関するものですが、どんな仕事をしたいとかどんな目標にするとか、途中経過を見ていく、それから年に1回くらい、合理的配慮を含めた、仕事上の配慮してほしいことの確認などを通常やっています。やはり、170人いますと、いろいろな障害特性の人がいまして、例えば最初の頃に面談そのもので座っていられないという人がいます。話すことが苦手な人、逆に話しっぱなしの人。それから、聞けない人。やはり聞くということの訓練をしていないものですから、そういう人がたくさんいました。また、表現が難しいとなかなか理解できない。一人ひとりそういうことがありまして、やはり定期的に繰り返すことが重要なんだろうと。例えば、話すことが苦手な人には、いろいろ話してみると、メモならできますと。では、前もって話したいことをメモしてくるとか。そういうことをしていきます。例えば表現が難しいときには図を使ったり写真を使ったり、もういろんな方法でいかに分かりやすくするかということをやっています。その狙いが実は二つありまして、一つは面談する側のスタッフが、相手がどのような障害特性、個性があって、どのような配慮をしながら面談すればいいのか、という訓練です。なぜかというと一方通行になりがちだからです。やはり、教えるとか指導するという立場になると、自分の考えや意見、会社ですと仕事のことを一方的に伝えるというと、相手に正確に伝わっているかどうか、それはすごく課題です。なのでやはりちゃんと聞くと。
それからもう一つは、障害のある本人が、自分の考えを伝えることは一番大切なので、例えば話すことが苦手な人というと、先ほどのメモでもいいし、人によっては時間をかけてストレスを書けないような形で、何でもいいから言ってもらう。それから、「この仕事は好きなのか」とか「次はどんな仕事をしたいのか」、そういったことを少しずつ少しずつやっていくと、二年、三年で変わります。私はそういう仕事をずっとやっているのですが、びっくりするくらい変わります。やはりそういうことを双方で訓練することがすごく大切ではないかと。最近では全員を対象にストレスチェックが導入されましたが、知的障害の人たちにどのように実施するかということで、中身についてもまずはわかりやすくしてあるのですが、やはりスタッフが二人くらいついて、説明をしながら答えてもらう、分からないときにはすぐに質問してくださいと言うと、結構手を挙げて、「難しい」「意味が分からないのですが」と言うくらいになってきています。ですから、そういうことをしていくことがすごく大切かな、と。
それは、市町村などでも窓口でそういうことを求められるのではないか、一方で、障害のある人が自分の考えを伝えることの努力、訓練はすごく大切でも、もちろん障害の重さ、程度によって一人ひとり違いがあるとは思いますが、その人なりにやっていくということがすごく大切ではないかなと思っています。

(植野委員)
植野です。今の、本当にありがとうございます。村山さんからの御発言も同様ですが、私の立場は聴覚障害という、聞こえないという立場です。前もって打ち合わせが必要という場面、私たちから言えば「意思形成支援」というものの部分、ところがこれは通訳の部分にも含まれて、包括されているということもいえます。しかし、手話通訳者は誰でも、例えば知的障害を持ったろう重複の人の支援が、意思形成までには慣れていないのですね、誰でもできるわけではないです。
そういう問題はさておくとしても、意思形成から通訳に入るというプロセスは、通訳の時間もそこに加わるということも出てくるわけです。それが難しいところだと思います。
それから、二つ目は金子さんからの御発言ですが、見えない方の立場での御意見をいただきましたが、大切なことは知的障害を持った人、そして目が不自由な人、聞こえない人もそうですが、説明するときに、うちの作業所にも何人かそういう方がいらっしゃいますが、それは支援する側も意思形成の段階で視覚的にそれをどのようにその人にわかりやすく説明できるか、第一段階のそれがカギになるんです。ですから、視覚的にわかりやすく表現していかないと、支援者の説明が非常にしづらい、苦労するということも出てきます。そういった意味で、視覚的に分かりやすい形があれば、支援者側、例えば重複障害の方にも非常に説明しやすい部分は確かに出てくるというあたり、複合的な形の配慮が必要な部分もあるのではないかと思っています。

(司会)
司会の川口です。ありがとうございました。そのほかには、御意見等ございますでしょうか。

(若菜委員)
千葉県立中央図書館の若菜です。植野さんのお話を聞きながら、手話通訳のことを考えておりました。
私が所属している中央図書館では、年間を通じて様々なイベントを実施しております。県立図書館をはじめとする、教育庁の他の機関である美術館や博物館についても同様かと思いますが、イベントへの手話通訳をつけるということは今までなかったのではないかと思います。それは、手話通訳に支払う予算が用意されていないからです。行政は、前年度に予算要求をし、認められた翌年に予算が使用できるようになりますが、それが利用されなかったらカットされてしまう、ここが問題かと思います。
教育庁と知事部局をまたぐ形でどのようにしていくか課題になると思いますが、例えば障害福祉課で手話通訳の謝金の予算要求をしていただき、いつでも利用できるようにして、県の組織であればどこでも利用できる体制を整えていただく。県の組織での対応だけでなく、これが市町村に対して、どのように波及していくかが課題になるかと思います。
私個人もすぐに解決策が思いつかないのですが、県全体で検討していかないといけないことかと、感じました。
(司会)
司会の川口です。ありがとうございます。他にはいかがでございましょうか。

(亀山委員)
ちば地域生活支援舎の亀山です。話を聞きながら思ったのですが、結構、精神の障害の人たちとダブるところもあるかなと思いまして、またやはりそういう部分に対して、知的と精神の両方の障害を持っている方もいると思うので、そういう人たちに対する配慮はどうしたらよいか、もっと配慮していかなくてはいけないのでは、具体的にどうすれば情報が伝わるのか、考えていたのですが、そういう人たちはすごく物事を考えてしまったり独特の方向へ行ってしまったりしてしまうことがあるので、なるべく話を、長くなってもいいので修正していけばいいのかな、など考えていました。

(司会)
司会の川口です。他にはよろしいでしょうか。
それではここで10分間の休憩といたします。4時10分くらいまでにお戻りください。

《休憩》

 

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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