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更新日:令和5(2023)年12月8日

ページ番号:625365

聴覚障害者である私と周囲とのコミュニケーション(令和5年度心の輪を広げる体験作文入賞作品)

聴覚障害者である私と周囲とのコミュニケーション

高校生区分

千葉県知事優秀賞

筑波大学附属聴覚特別支援学校 高等部1年
原田 光輝(はらだ ひかる)

 

私は聴覚障害者なので、普段補聴器をつけて生活している。補聴器というのは、周りの音を大きくする機械である。だから私たち、聴覚障害者にとって欠かせないものだ。聴覚障害者のことを聾者と呼ぶこともある。聾者同士の会話は、目で見て分かるコミュニケーションである手話を使うことが多い。

 さて私は疑問に思っていたことがある。それは、どうやって聴覚に障害のない健聴者と会話すれば良いのかということだ。今まで私は友達や家族と共に手話で会話して過ごしてきた。成長するにつれて、どのようにして健聴者と会話すれば良いのかという疑問が深まってきた。

 私は聴覚特別支援学校(聾学校)に通っており、障害のある人とない人が集まる交流会の実行委員になった。実行委員の会議を通して、気付いたことがある。それは、話し合いのときには、自分から進んでコミュニケーションを取らないと話が進まないことだ。なぜなら、私から周囲に積極的に伝えなければ、私の障害について知ってもらうことはできないからだ。聴覚障害のある私が、音をどのように聞いているのか分からなければ、どのように会話をするのか分からないだろう。しかし、私は積極的に話しかけるのは苦手であり、健聴者とのコミュニケーションは難しいと感じていた。

 そのため、交流会の会議で自分がどのように工夫をすれば良いのかを考えた。それは、タブレット端末を使ってコミュニケーションをとったことだ。タブレット端末を使うことで、会話した内容を文字で残すことができ、私も周囲も分かりやすく会話できる。タブレット端末を使うと時間がかかってしまうデメリットがあるが、みんなで協力することが大事であったので、タブレット端末を使って会話を進めた。私が今回のことを通して感じたことは、障害の壁があっても工夫さえすれば乗り越えられることだ。これからは、健聴者と話すときは自分がどう工夫をするかを考えていかなければならない。例えば買い物で店員と話すときは筆談や動作でコミュニケーションを図ったり、手話通訳を依頼したりする方法がある。最近のニュースによると、手話ができる店員がいるお店もあるそうだ。このように聴覚障害者と健聴者とのコミュニケーションの壁は低くなっているように感じている。

 しかし、聴覚障害者である私は、まだ課題がある。それは、目に障害がある視覚障害者とのコミュニケーションだ。健聴者は耳と目からの情報を頼りに会話を成り立たせている。

視覚障害者は耳から入ってくる情報を頼りに障害の程度によっては拡大文字や点字を使って情報を得ている。聴覚障害者は目からの情報を頼りに、手話や筆談などでコミュニケーションを行っており、それぞれが重視している感覚は異なっている。健聴者と視覚障害者が会話をする際は耳からの情報、健聴者と聴覚障害者が会話をする際は目からの情報を重視することになる。

 では、視覚障害者と聴覚障害者が会話することはできるだろうか。別の健聴者に支援してもらいながらならできるが、もし人の手を借りずに会話をするとなったら、難しいと思うだろう。私も最初はそう感じた。工夫するとすれば、スマートフォンで音声読み上げ機能を使う、点字を覚えて点字で伝える、など様々な方法がある。私はその方法を動画投稿サイトやWebサイトで調べた。その際、衝撃を受けた動画を見つけた。それは聴覚にも視覚にも障害がある人であった。私はどのように周囲と会話をしているのかと疑問に思った。すると、彼は紙に文字を書いて相手に見せていた。相手はその文字を見て、彼の手に文字を書いて会話をしていた。つまり、触感から得られる情報だけで会話をしていたということだ。私はそれを見たときに、どれほど難しい壁であっても必ず乗り越えられることを改めて実感することができた。これからも様々な壁にぶつかることがあるだろう。しかし、必ず乗り越えられると信じて前に進んでいきたい。

 

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所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

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