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更新日:令和3(2021)年12月13日

ページ番号:481006

「普通」って?(令和3年度心の輪を広げる体験作文入賞作品)

「普通」って?

中学生区分

千葉県身体障害者福祉協会理事長賞

茂原市立東中学校2年
愛敬 そあ(あいきょう そあ)

 

どんなに「普通」に生まれたくても、自分の意思に関わらず障害をもって生まれてしまう人もいる。そういった人たちとしっかりと向き合い、理解し合うことが大切であると私は思う。

そもそも「普通」とは何だろう。見た目が人と違うからといって変な目で見たり、大声を出しているからといって耳を塞いだり、よだれが垂れているからといって「気持ち悪い」と陰口をたたいたり……。こんな世の中が、今の私には許せない。

私の弟は小学校四年生。「普通」に幼稚園に行き、「普通」に小学校へ行き。中学、高校も「普通」に行くのだろうと家族の誰もが思っていた。それが「普通」だと思っていた。

私の弟は、学習障害という発達障害をもっている。学習障害とは、全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算などといった能力に困難が生じる発達障害のことである。今思えば、周りの子たちよりも話すことが遅かったり、平仮名がなかなか書けなかったり、覚えられなかったりといったこともあった。でも、まさか自分の弟に障害があるなんて思ってもみなかったから、家族の誰も気にしていなかった。

弟にこの障害があるとわかったのは、彼が小学校に上がってからだった。0点のテストを持ち帰ってきて私は驚いた。自分の弟として恥ずかしかった。母も父も初めは笑っていたものの、そういったことが続くにつれて異変に気がついたのだった。学校から検査を勧められたり、特別支援学級への変更を勧められたりし、母は混乱していたようだった。それから、母は発達障害についてたくさん勉強したらしい。ある時、宿題をしている弟に私が、「ちゃんとやって。」「なんでそんなこともできないの?」と心ない言葉をかけてしまったことがあった。母は、弟は弟なりに必死に頑張っているのだからと言った。私は後悔した。弟はちゃんとやっていないんじゃないやりたくてもできないのだ。未だに腹を立ててしまうこともあるが、それからは、私も少しずつ弟の障害を理解しようと努めている。

障害をもっている人は、他の人より優れた能力をもっていることも多い。弟は目で見た情報を記憶する能力に優れていた。二年前に見た外国映画のエンディング曲を覚えていたり、セリフを覚えていたりした。このような才能を伸ばしてあげることが必要なのではないだろうか。

私は、弟がいなかったら、障害をもっている人を冷たい目で見てしまっていたのかもしれない。実際、弟のことですら理解するのは難しかった。母があの時教えてくれなかったら、「何でできないの?」などという心ない言葉をかけてしまっていただろう。

「普通」じゃないから。そんな理由で、障害をもつ人々を冷たい目で見たり、悪口を言ったりするなど絶対にあってはいけない。その一言や行動でどれだけの人が傷つくかわからない。一方で私は、障害をもつ人の強さも感じている、時に心ない言葉や軽蔑の眼差しを向けられることがあっても負けない。誰よりも一生懸命に生きているから。

私たち家族も、弟の障害に向き合って頑張っている。身近にそういう存在がいない人も、障害をもつ人に向き合い、理解する気持ちをもってほしい。私は、心ない行動をする人がいたら注意できる人間になりたい。いや、ならなければならない。差別なく、みんなが互いを理解し合い、協力できる世界にしていきたい。「普通」なんてない。みんな「普通」じゃない。人は一人一人違うのだから。私はこのことを、弟のおかげで知ることができた。日々、本当に色々なことを教わっている。いつも笑顔で頑張っている弟を尊敬している。私も負けていられない。これからも一生懸命、一緒に乗り越えていこうね。

 

 

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