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更新日:令和5(2023)年12月21日

ページ番号:3108

第2部I-8その他各視点から取り組むべき事項

  • 障害の特性及び障害のある人のニーズに応じたサービス提供体制を構築するため、ホームヘルパー等の福祉職の養成・確保と医学的リハビリテーションに従事する医師の確保、理学療法士等のリハビリテーション専門職の充実や資質の向上に努めます。
  • 高齢期に向けた支援については、国における地域の居住支援やサービス提供体制のあり方の検討状況を注視しながら検討を進めます。
  • 障害のある人が適切な医療を受けられるよう、「受診サポート手帳」の普及等医療機関との連携連絡体制づくりに引き続き努めます。また、身近な地域で必要なリハビリテーションを受けられるよう地域リハビリテーション体制等の充実を図ります。
    定期的に歯科健診を受けること又は歯科医療を受けることが困難な障害のある人に対して、巡回歯科診療車による定期的な歯科健診・歯科保健指導を実施します。
  • 総合難病相談・支援センターおよび県内9箇所に設置した地域難病相談・支援センターを拠点として、相談・支援の実施、患者・家族の交流促進、難病への理解促進等を図ります。
  • 県障害者スポーツ大会の開催及び全国障害者スポーツ大会への選手派遣を通じて、障害のある人のスポーツの普及に努めるとともに、障害のある人がスポーツを行うことができる環境づくりに取り組みます。2020年パラリンピック東京大会の開催に向けて、国のスポーツ行政の一元化も踏まえ、選手の育成強化に努めます。また、様々な機会を通じて指導者の資質の向上に努めます。
    身近な地域での文化芸術活動に親しむために、参加・発表の機会の確保と参加者の拡大に努めます。
  • 障害のある人が、安心して快適に暮らすことができるまちづくりを推進します。また、道路や建築物などの公共施設については、バリアフリー化やユニバーサルデザインの普及に努めます。
  • 障害のある人が、地域社会の中で安全で安心して暮らせるよう、防犯・防災対策の推進、悪質商法など消費者被害を防止するために、市町村、関係機関等と連携して障害のある人を地域で守る仕組みづくりを推進します。
  • 行政・民間団体等により設けられている各種の障害のある人に関するマークは、バリアフリー等に対応したルールや障害のある人への支援の必要性を伝えるものであると同時に、障害のある人への理解を促す「心のバリアフリー」につながるものであり、これらのマークの県民への周知と理解の促進を図るとともに、普及に努めます。

(1)人材の確保・定着

I現状・課題

障害のある人が身近な地域で生活できるよう、障害の特性、障害の重度・重複化及び障害のある人の生活実態等に対応できるきめ細かな支援が必要です。近年、障害福祉サービスの利用者も着実に増加しており、多様なニーズに適切に対応できる質の高い福祉・介護・保健・医療従事者等の養成と確保が課題となっております。一方、介護職に従事していない介護福祉士等の有資格者が多いことが指摘されており、介護職の人材確保に向けた環境整備が必要です。また、重度訪問介護の対象者拡大に伴い、対応可能なヘルパーの養成が必要です。

県内の医師、看護師等の人材については、平成24年末現在、本県の医師、看護職員数は、実人数で、医師が10,698人(全国8位)、看護職員が49,548人(全国第9位)です。しかし、人口10万人当たりでは、医師172.7人(全国第45位、全国226.5)、看護職員799.8人(全国第45位、全国1139.2)であり、全国平均を下回っています。

また、平成25年度に実施した「千葉県医師・看護職員長期需要調査」の結果では、平成37年の医師の不足見込数は最大で1,170人、看護職員は最大で15,150人であり、県内での就業や定着に向けた支援が必要です。

また、リハビリテーションに携わる医師の確保にあたっては、あわせて、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、視能訓練士(ORT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリテーション専門職の充実やリハビリテーション専門職をコーディネートする人材の育成が必要です。

II取組みの方向性

  • 1福祉・介護人材について、障害のある人のニーズ、障害特性に応じたサービスが提供できる体制を整えるため、社会福祉士、介護福祉士、ホームヘルパー等の人材養成に努め、必要となる人材の確保を図るとともに、資質向上に努めます。
    障害のある人に対するホームヘルパーの人材を育成するため、ホームヘルパーとして従事するために必要な介護職員初任者研修を行う事業所を指定するとともに、障害特性に応じた介護者の養成研修及びスキルアップ研修を推進して、利用者のニーズに応えられる人材の確保に努めます。また、社会福祉士及び介護福祉士について、社会福祉法人千葉県社会福祉協議会では、養成施設に通う学生に対して修学資金の貸付けを行うとともに、福祉人材センターでは、福祉施設での就職を希望する人に無料で職業を紹介する福祉人材バンク事業を引き続き実施し、人材確保に努めます。
  • 2また、福祉の人材の定着・離職防止を図るため、福祉・介護人材確保定着事業(メンタルヘルスサポート事業)で行う、介護職員等の抱える業務上の悩みなどに対するアドバイザーによる相談窓口の紹介等について、今後も当該事業の積極的な活用を図ります。
  • 3地域の実情に合った福祉・介護人材の確保・定着対策を効果的に実施するため、引き続き、県・市町村をはじめ、社会福祉施設・事業所、教育機関等で構成する「千葉県福祉人材確保・定着地域推進協議会」を設置するとともに、研修や合同面接会の実施への助成を行います。
  • 4医師・看護職員の人材の確保について、養成力の強化、県内就業への誘導、離職防止、再就業の促進を推進していきます。
    また、リハビリテーションに携わる医師の確保とともに、あわせて必要となるリハビリテーション専門職の就業実態などの把握に努めます。
  • 5市町村職員やリハビリテーション専門職等を対象とし、地域でリハビリテーションを提供する上で、多様な関係機関の調整ができる人材の育成を引き続き実施します。

III数値目標

人材の確保・定着に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

1

重度訪問介護従事者の養成(強度行動障害を除く)(養成人数)

22

40

40

40

  重度訪問介護従事者の養成(強度行動障害を除く)(研修回数)

7

4

4

4

2

同行援護従事者の養成(養成人数)

967

500

500

500

  同行援護従事者の養成(研修回数)

44

25

25

25

3

強度行動障害支援者の養成(養成人数)

なし

240

240

240

  強度行動障害支援者の養成(研修回数)

なし

2

2

2

4

ガイドヘルパーの養成(養成人数)

296

500

500

500

  ガイドヘルパーの養成(研修回数)

20

25

25

25

5

サービス管理責任者の養成(養成人数)

664

550

550

550

  サービス管理責任者の養成(研修回数)

1

1

1

1

6

医師及び看護師の確保定着
(医師修学資金の貸付を受けた医師数)

1

増加を目指します

増加を目指します

増加を目指します

  医師及び看護師の確保定着
(養成所卒業生の県内就業率(%))

66.2

増加を目指します

増加を目指します

増加を目指します

  医師及び看護師の確保定着
(看護職員の離職率(%))

12.4
(平成24年末現在)

低下を目指します

低下を目指します

低下を目指します

7

福祉・介護人材確保対策事業の事業数

139

200

200

200

(2)高齢期に向けた支援

I現状・課題

本県において急速に高齢化が進む中、高齢期の障害のある人も増加傾向にあります。その要因の一つは、高齢期になり、身体機能の低下や疾病等により、新たに障害を持つ人が増えていることと考えられます。厚生労働省が平成23年に実施した「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」によると、在宅の身体障害のある人のうち65歳以上の人の占める割合は68.7パーセントで、70歳以上に限っても57.4パーセントです。我が国の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は23.3パーセントであり高齢者の占める割合は、障害のある人が高くなっています。

また、平成25年度の「障害者白書」によると、身体障害の発生年齢分布は40歳代以上の発生が6割を占め、このうちの約4割が65歳以上での発生であり、中高齢期に新たに障害を持つ人の増加が伺えます。障害種類別で見ると内部障害では、40歳以上の発生が約8割であり、心臓や腎臓等の臓器の疾病に起因する障害が多いことが明らかになっています。内部障害だけではなく、高齢期においては一般的に高齢化に伴い疾病リスクが高まるため、医療的ケアの充実が必要です。

県が平成23年度に実施した40歳以上の障害のある人を対象とした、「高齢期の障害のある人の実態調査」によると、在宅の障害のある40歳以上の人のうちの約半数が60歳以上で、身体障害のある人に限ると約3分の2が60歳以上です。

在宅で主に介助又は援護する人としては、年代が進むにつれて、障害種別にかかわらず「母親」や「父親」は大きく減少しますが、身体障害のある人では「配偶者」が、知的障害のある人や精神障害のある人では「グループホーム等の世話人など」が大きく増加しています。

施設又は病院に入所・入院している人については、家族等の介助者の高齢化への対応、いわゆる「親亡き後」とあわせて、独り暮らしの障害のある人の自立した生活を維持していくための施策の充実が必要です。また、在宅の福祉サービス等を利用して一人暮らしをしている高齢の視覚障害などのある人には、将来の居住環境に対しての不安があると言われています。

このような中、高齢期においても地域で安心して住み続けられる施策の推進が必要であり、障害のある人が高齢期を迎えた時に、「どこで誰と住むか」などの権利が保障され、柔軟に選べる支援、体制づくりが求められています。

障害者総合支援法附則では、法施行後3年後(平成28年4月)を目途として、高齢期の障害のある人に対する支援のあり方等について、国は所要の措置を講ずるものとしており、県として動向を注視しています。

また、障害福祉サービスを利用している人が65歳を迎えると、現行制度では介護保険が優先して適用されるため、それまで利用していた障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替える必要が原則的に生じます。しかし、障害福祉サービスと介護保険サービスでは、支援の内容や、判定基準・給付水準が異なります。

平成23年度に実施した県の調査によると、障害福祉サービスを利用している人が65歳を迎えた時に、回答のあった市町村のうちほとんどが必要に応じて介護保険サービスと障害福祉サービスを併給している状況ですが、全て介護保険に切り替えている市町村もありました。障害福祉と介護保険との間でサービス内容や自己負担の差などがあることなどから介護保険を適用したとしても、不足する部分は障害福祉サービスを適用するという原則に基づき、障害のある人のニーズ、地域の実情に応じた対応をすることが求められています。

II取組みの方向性

  • 1医療的ケアが必要な高齢期の障害のある人への福祉サービスの制度的な拡充について国に働きかけます。また、在宅診療を支えるかかりつけ医や、介護サービス計画を作成するケアマネージャーと、障害福祉サービスの利用計画を作成する相談支援専門員との連携を強化するため、障害福祉と高齢者福祉の垣根を越えたトータルサポート体制づくりや適切な医療サービスを提供できる体制づくりなどを検討します。
  • 2国に対して、高齢期の障害のある人が住みやすい住宅等の研究を行うこと、居宅のバリアフリー工事に対する補助制度の創設及び高齢期の障害特性に合わせた設備基準の設定など、各種の機会を通じて提案・要望活動を行います。
  • 3障害のある人が高齢期を迎えると、医療的ケアや日中活動のニーズも若年層とは大きく異なることから、グループホームの住まいとしての機能やサービス提供のあり方について検討します。また、介護保険サービスのグループホームは、認知症のある人のみが利用できるため、高齢期においても、障害福祉サービスのグループホームで生活できるよう、制度の整合や連続性の確保について国に対して要望を行います。
  • 4医療機関との連携強化や入所施設のバックアップ機能の活用を図ります。その他、高齢期を迎えた障害のある人の抱える、健康の維持や意欲の向上などの課題について、県として対応すべきことを整理し、検討していきます。
  • 5重症心身障害者入所施設の整備について、地元市町村とともに実態調査をして支援を検討します。

(3)保健と医療に関する支援

I現状・課題

障害のある人に対する医療の提供に関しては、障害に対する理解や知識が不十分であるために配慮が欠けたり、時として障害のある人の不利益が生じることがあります。このため、障害のある人が円滑に受診できるよう、障害への十分な理解や診察の際の留意点等について医療関係者に周知を図ることが重要です。

難病患者等については、総合支援法により障害福祉サービスの対象となり、平成27年1月1日に151疾患が対象となり、今後、疾患が見直しとなる予定です。そのサービスについては、難病等の特性、病状の変化や進行、福祉ニーズ等に配慮した円滑な事務が実施されるよう、市町村、社会福祉関係者、医療関係者の理解と協力の促進を図る必要があります。また、その難病患者等の障害福祉サービス等の利用実態等を把握する必要があります。

障害のある人や高齢者等がこれまでと同じように生活を送ることができるように、幅広いリハビリテーションの提供を行うため、「千葉県地域リハビリテーション協議会」を設置して、医療機関や保健・福祉施設、市町村、保健所等の関係機関の連携強化を図っています。今後は、住み慣れた身近な地域で継続的にリハビリテーションを受けられる体制づくりのより一層の取組が必要となります。

精神医療については、入院を必要最小限の期間に留め、在宅治療を中心とすることが世界的趨勢となっており、我が国においても、入院治療から在宅治療への転換が求められています。また、高齢化に伴い、増加する精神疾患と身体疾患を併発する患者への対応や児童思春期、アルコール(薬物)依存症、摂食障害(過食症・拒食症)、てんかん等の専門医療の重要性も高まっています。

近年、精神疾患の患者数は、社会生活環境の変化等もあって、うつ病などの気分障害や認知症などを中心に増加しており、精神疾患は、より一般的な病気となっています。精神科診療所が増加し、より身近な地域での外来診療体制が拡充してきていますが、その一方で、精神疾患や医療に対する知識・情報の欠如などから、問題の長期化や症状の重症化を招くケースもまだ多く見受けられます。

口腔機能管理は、虫歯や歯周病を予防するだけでなく、摂食機能を維持したり、誤嚥(えん)や窒息などを防いで全身の健康を守るとともに、おいしく食事をしたり、会話を楽しむなど、生活の質を確保するためにも重要です。障害によっては、口腔機能の問題を抱えていたり、歯磨き等の自己管理が不十分なため、歯科疾患に罹患するリスクが高くなっています。また、歯科疾患を訴えられず、治療が遅れて重症化しやすい人もいます。

このため、摂食・嚥下(えんげ)機能の発達・維持、虫歯や歯周病の予防、早期の指導や治療が特に重要ですが、

  • 障害のある人の口腔機能管理の重要性が必ずしも十分に理解されていないこと
  • 歯科医療機関において定期的に障害のある子どもの歯科健診等を行っている施設や家庭はまだ少ない状況にあること
  • 地域において障害のある人に対する歯科保健相談、歯科健診、歯科治療等を積極的に対応してくれる「かかりつけ歯科医」がまだ十分に普及されていないこと

等の課題が指摘されています。

II取組みの方向性

  • 1医療費負担の軽減として、身体障害のある人に対する更生医療費の給付、精神障害のある人に対する通院医療費の給付、身体障害のある子どもに対する育成医療費の給付を引き続き行います。また、「重度心身障害者(児)医療給付改善事業」について、利用者の利便性の向上を図るため、平成27年8月からの現物給付化の実施に向けた事務を進めます。
  • 2障害のある人と医療関係者が円滑にコミュニケーションをとり、障害のある人が適切な医療を受けられるようにサポートするため、既往症、投薬、コミュニケーションのとり方等を記載した「受診サポート手帳」の普及を図るとともに、医療機関と障害のある人の団体との連携体制づくりをサポートします。
  • 3難病患者等に対する障害福祉サービス等の提供に当たっては、各市町村、社会福祉関係者において、病状の変化や進行、福祉ニーズ等に配慮して実施されるよう理解と協力の促進を図ります。市町村と連携し、難病患者等のニーズを踏まえた障害福祉サービスの利用促進を図るとともに、国の難病患者等に対する制度改革を踏まえた相談支援機能の充実・強化を図ります。
    難病患者等の療養上、日常生活上での悩みや不安等の解消を図るとともに、様々なニーズに対応した相談や支援ができるよう、引き続き総合難病相談・支援センター及び県内9箇所に設置した地域難病相談・支援センターを拠点として、地域で生活する難病患者等の日常生活における相談・支援や患者・家族間の交流の促進、難病への理解促進等に取組みます。また、保健所において、保健師による訪問相談、医師、看護師、理学療法士等による医療相談や訪問指導等を引き続き、実施します。
  • 4リハビリテーションの充実のため、引き続き千葉県リハビリテーション支援センターを県内に1か所及び地域リハビリテーション広域支援センターを二次保健医療圏ごとに1か所設置し、これらの支援センターを中心に、慢性期の人のリハビリテーションの実施や在宅への橋渡しについては、個別の相談に応じ、具体的な対応を含めて検討していきます。
    また、千葉県地域リハビリテーション協議会等を活用し、関係機関に広く意見を求め、地域リハビリテーション支援体制の整備を推進します。
  • 5精神科病院における急性期治療を中心とした医療への転換や精神科医療機関及び関係機関の協力の下に、入院中心の医療から、地域での生活を支える医療体制・機能の充実に向けて取り組みます。
    精神科病院や総合病院精神科と精神科診療所の連携による手厚い地域医療体制の実現を目指します。
    身近な地域で、医療と福祉の緊密な連携による包括的相談支援体制の構築と充実強化を図るため、地域自立支援協議会の充実・強化に向けた支援や、ピアサポーターも含めた地域における相談支援関係機関等によるネットワークづくりの促進等に取り組みます。
  • 6発症からできるだけ早期に精神科に受診できるよう、保健サービスや一般の医療機関と精神科医療機関との連携等について検討します。
    また、県内の児童思春期・アルコール(薬物)依存症・摂食障害の専門治療を行う精神科医療機関情報を相談支援機関に提供し、適切な医療機関等を紹介する体制の充実を図ります。
    精神保健福祉センター、健康福祉センター(保健所)、市町村、教育機関、精神医療保健福祉関係団体が、相互に連携してこころの健康の保持・増進について継続して普及啓発を行い、精神疾患が生活習慣病と同じく、誰もがかかりうる病気であることについての認知度を高めます。
  • 7施設や在宅の障害のある人や子どもに対し、巡回歯科診療車(ビーバー号)により定期的な歯科健診や歯科保健指導を実施する心身障害児者歯科保健巡回指導事業(ビーバー号事業)を、一般社団法人千葉県歯科医師会に委託して、引き続き、実施します。
  • 8全身性の障害を持つ人や抵抗力の弱い人への口腔機能管理について、施設職員及び保護者等を含めて周知を図ります。また、障害のある人や子どもが地域で安心して歯科相談や歯科治療を受けられる環境となるよう、ビーバー号事業などを契機として施設や家庭において、障害のある人や子どもが定期的に口腔機能管理や治療、相談等が受けられる「かかりつけ歯科医」の普及を図ります。

III数値目標

保健と医療に関する支援に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

8

ビーバー号による障害者支援施設及び障害児入所施設での歯科健診実施率(%)

9.1

10

11

12

(4)スポーツと文化活動に対する支援

I現状・課題

障害のある人の社会参加には、日々の生活の支援だけではなく、スポーツや文化活動を充実し、障害のある人一人ひとり輝ける場が必要です。このような場は、活躍する障害のある人を県民が知ることができることから、障害の理解を図るためにも重要です。

近年パラリンピック開催を通じて、障害者スポーツに対する社会の関心が高まっており、

2020年パラリンピックの開催地が東京に決定したことから、本県選手の活躍が期待されます。

本県では、障害のある人のスポーツ・レクリエーションについては、拠点施設である千葉県障害者スポーツ・レクリエーションセンターの広報活動の強化や指導者の育成を図ってきました。また、平成12年度から、全国障害者スポーツ大会の開催に先駆け、従来の知的障害、身体障害に分かれたスポーツ大会を統一し、陸上、水泳、団体競技を含めた総合的な大会として「千葉県障害者スポーツ大会」を開催してきました。さらに、全国障害者スポーツ大会への障害のある人の参加も支援しており、平成26年度においては7競技に54人の選手を派遣し、58個の金メダルを獲得しました。これは、東京都、大阪府に次ぎ全国第3位の成績です。

障害者スポーツの課題は、身近な地域に利用できる施設と障害のある人のニーズに対応できるスポーツ指導者の養成が必要であることです。また、登録している指導者から気軽に指導を受けられる体制づくりが必要です。

障害のある人が作成する芸術・文化作品や芸能を発表する場については、県としては、障害のある人の団体が主催する発表会を共催するほか、文化・芸術関連行事を後援し、発表機会の確保と充実に努めてきました。また、障害のある人の催しでなくても、積極的に障害のある人の芸術・文化作品等の発表の場の確保に努めることも必要です。

スポーツや文化・芸術活動だけではなく、障害のある人が地域の暮らしに積極的に参加できるよう、障害の有無を越えて多くの人と交流する機会も必要です。

気軽に利用できる余暇の場の拡大を図るため、県として、公共施設、民間施設等に障害のある人たちへの利用促進に向けた広報活動を強く働きかけるとともに、その協力を確保することにより、経済的に負担も少なく身近で利用できる余暇の場の拡大を図っていくことが必要と考えられます。

II取組みの方向性

  • 1障害者スポーツの一層の普及と障害のある人の理解の促進等のため、東京パラリンピックでの本県選手の活躍を目指し、障害者スポーツに関わる団体間の連携強化、選手への支援強化に取り組みます。
  • 2障害のある人のスポーツ・レクリエーションの拠点施設である千葉県障害者スポーツ・レクリエーションセンターの利用を促進するため、引き続き、利用者のニーズに対応できる設備の充実等を図るほか、各種情報媒体を活用した広報活動を推進します。あわせて、周辺施設との連携等によりスポーツ・レクリエーションセンターの拠点としての機能充実を図るとともに、地域におけるスポーツ施設等の利用促進を図る方法について検討します。
  • 3一般社団法人千葉県障害者スポーツ・レクリエーション協会、障害当事者団体など関係団体との連携、障害者スポーツ指導者の養成、千葉県障害者スポーツ大会の競技種目の拡大・充実、選手への支援強化に取り組み、全国障害者スポーツ大会における本県選手団のさらなる躍進を目指します。また、千葉県障害者スポーツ大会について、障害のある人が幅広く参加できるよう、その内容の充実を図ります。
  • 4障害のある人が、気軽にスポーツ指導を受けることができるよう、幅広い種目の指導者の養成を図るとともに、障害者スポーツ指導者の登録情報のホームページなどでの発信など、登録している指導者から気軽に指導を受けられ、スポーツを楽しめるような仕組みづくりを検討します。
  • 5障害のある人が制作する芸術・文化作品や芸能を発表する場として、障害のある人の団体が主催する発表会を共催するほか、文化・芸術関連行事を後援し、発表機会の確保と充実に努めます。また、様々な交流を促進するため、障害のある人が参加しやすい行事が増えるよう、広報・啓発活動に努めます。

III数値目標

スポーツと文化活動に対する支援に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

9

障害者スポーツ指導員の養成者数

57

50

50

50

(5)住まいとまちづくりに関する支援

I現状・課題

障害のある人の自己決定には自ら選択した場所に居住し、障害のある人がない人と同じように自立した日常生活及び社会生活を営むことが含まれています。そうした生活ができるよう、県としては、障害者条例により、障害のある人への合理的な配慮と理解の促進に基づく調整、快適で暮らしやすい生活環境の整備に努めています。

障害のある人や高齢者の外出時の不安を解消し、活動の幅を広げることを目的とした「ちばバリアフリーマップシステム」を県ホームページに掲載し、公共施設など多くの人が利用する施設のバリアフリー情報を提供しています。

障害のある人の視点に立ったバリアフリー化の推進のほか、安心して利用できる移動手段の確保、公共交通機関等における減免・割引制度の充実、身体障害者補助犬制度の普及や障害のある人や高齢者等が安全で安心して暮らせるまちづくりを進めるためのユニバーサルデザインの理念に基づいた建築物等の整備について、引き続き、普及啓発が必要です。

公共施設等のバリアフリー化

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)や「千葉県福祉のまちづくり条例」(まちづくり条例)では、施設の整備について必要な事項を定め、障害のある人や高齢者等が安全かつ快適に利用できる施設の整備を促進しバリアフリー化を進めています。

バリアフリー法に基づき、都市公園の出入口、園路、休憩所、トイレ及び駐車場、商業施設及びその駐車場並びに特定路外駐車場のバリアフリー化を促進しています。また、公共交通機関のバリアフリー整備として、鉄道駅の改札口やプラットホームの改修、段差の解消、身体障害のある人のためのトイレ設置など旅客施設のバリアフリー化を今後とも進めて行く必要があります。あわせて、バリアフリー化への努力義務がある既存の商業施設や特定路外駐車場の管理者に対する制度の理解促進や早期の整備についての働きかけが必要です。

公共交通機関のバリアフリー整備については、鉄道駅のエレベーターやホームドアの整備、ノンステップバスの導入などがありますが、事業者の負担や設置スペースなどが課題です。

県庁舎等の公共施設については、不特定多数の人が利用する施設はおおむねバリアフリー化が図られていますが、利用する人の視点に立ち、確認を行うなど機能が維持されるよう、管理していく必要があります。

また、視覚障害のある人などの移動支援のため、音響信号機等などの設置が必要です。

障害のある生徒等も安心して学校生活を送ることができる環境づくりを推進するため、車椅子利用等、移動に支障がある生徒等が在籍する学校のエレベーター整備を進めています。また、これまで県立高等学校における多機能型トイレは、校舎の大規模改修や車椅子を利用する生徒等の入学等と併せて整備しています。

住まいのバリアフリー化

公営住宅については、バリアフリー化改修が未実施の公営住宅があるほか、エレベーターのない公営住宅が多く、障害のある人を含め、高齢化と相まって身体機能の低下に伴い居住継続が困難となる世帯が増加することが予想され、公営住宅の整備にあたっては、新築・建替え・修繕・改善に合わせてバリアフリー化を実施しており、主に室内の段差解消、手すりの設置などの整備を行っています。

民間住宅のバリアフリー化については、「ちば安心住宅リフォーム推進協議会」と連携し、住宅リフォームに関する講習会や相談会を実施しています。また、県ホームページや市町村窓口等を通じ、住宅リフォーム助成等に関する情報を提供しています。

こころのバリアフリー化

まちづくりでのハード面の整備だけでなく、外出先や交通機関等での「周囲のちょっとしたフォロー」や障害の特性に対する周囲の人たちの理解・配慮が重要です。

公共機関職員等のための実際的な支援方法として、主に視覚及び聴覚に障害のある人に対して行政サービスに支障が生じないよう、「心のバリアフリー」の研修を実施しています。また、年に一度、国土交通省千葉運輸支局と共催で地域ごとの市町村職員、千葉県移動等円滑化推進連絡会議構成課職員等を対象とした、高齢者、障害のある人等の模擬体験等のバリアフリー教室を開催しています。

公営住宅の供給と民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進

障害のある人が、身近な地域で自立した生活を営めるよう、グループホームのほか、一人暮らしを望んでいる障害のある人など、それぞれの人のニーズに応じた住まいの場が必要です。

公営住宅においては、障害のある人の利用促進に向けて、障害のある人の世帯に対し、一般世帯より当選確率が高くなるよう優遇措置を講じています。また、障害のある人の世帯が申込みできる戸数枠を設ける措置を講じています。

障害のある人が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、住まい探しの相談に協力する不動産仲介業者や入居を受け入れる住宅を登録(千葉県あんしん賃貸支援事業)し、県ホームページで情報提供しています。また、千葉県すまいづくり協議会居住支援部会を発足し、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議などを行っています。

公共交通機関等の利用の促進

民間事業者の自主的な取組みとして実施されている障害のある人及び介助者に対する鉄道運賃、有料道路通行料等の割引・減免制度については、距離制限、車両制限、また、精神障害を対象としていないものもあり、制度の拡充について関係機関への働きかけが求められています。

II取組みの方向性

公共施設等のバリアフリー化

  • 1障害のある人や高齢者が、安心して快適に暮らすことができるよう、病院、公共施設等の建築物のバリアフリー化の一層の推進に向け、バリアフリー法に基づく適合審査及び認定を通じて、支援制度の活用や建築物のバリアフリー化の普及啓発を行います。また、県庁舎等の公共施設の整備に当たっては、今後もバリアフリー化に努め、市町村等にも働きかけます。
    県立高等学校のバリアフリー化を推進するためエレベーター、多機能型トイレの整備を進めます。また、疾病や障害等により体温調整が困難な児童生徒のために、特別支援学校の工芸室などの作業実習室に空調設備を整備します。
  • 2バリアフリー法やまちづくり条例に基づいて、障害のある人や高齢者等が安全かつ快適に利用できる施設の整備を促進するために、施設所有者等に対する指導や助言を行います。
    商業施設や特定路外駐車場のバリアフリー化を促進するため、引き続き制度の周知・指導を行うとともに、バリアフリー基準の審査に係る情報提供や相談等に適切に対応します。
  • 3鉄道駅のエレベーターやホームドア、内方線付き点状ブロック等の整備及びバス事業者におけるノンステップバスの導入を促進するため、引き続き支援を行います。
  • 4音響信号機や高齢者等感応信号機などの「バリアフリー対応型信号機」の設置を推進します。また、横断歩道であることを表示する道路標識・標示については、障害特性に配慮した整備を推進します。

住まいのバリアフリー化

  • 1公営住宅のバリアフリー化を引き続き実施していくほか、更なる高齢社会に向けた公営住宅の整備・管理のあり方について検討を深めます。
  • 2民間住宅のバリアフリーについては、住宅リフォームに関する講習会や相談会の実施、県ホームページや市町村窓口等を通じた情報提供を行います。

こころのバリアフリー化

  • 1「障害者条例」に基づく活動、障害当事者をはじめとする県民が主体となった取組を進めることにより、「心のバリアフリー」を一層浸透させていきます。また、障害者週間等を通じて、啓発・広報活動の充実に努めます。また、障害者団体等が行う全県規模の大会やイベント、地域単位での行事等の開催に対して支援や助言を行います。
  • 2公共機関職員等に対する障害特性の理解促進を図るため、「心のバリアフリー」研修について、研修内容を検討し実施していきます。
    また、バリアフリー法の趣旨を理解するとともに、各自治体等のバリアフリー事業の一助とするため、市町村職員や県職員等を対象に、バリアフリー教室を実施していきます。

公営住宅の供給と民間賃貸住宅等への円滑な入居の促進

  • 1公営住宅において障害のある人の利用促進に向けた、優先入居制度を継続していきます。
  • 2民間賃貸住宅への円滑な入居については、千葉県あんしん賃貸支援事業に協力する不動産仲介業者や入居を受け入れる住宅を登録し、県ホームページで情報提供を行います。
    また、引き続き、関係機関と連携を図りながら、障害のある人の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議等を行います。

公共交通機関等の利用の促進

  • 1障害のある人の快適で暮らしやすい生活環境づくりを支援するために、障害のある人に対するJR等鉄道会社の旅客運賃割引については、距離制限を撤廃し、有料道路通行料金の割引については、車両制限を撤廃するよう関係機関に求めていきます。また、精神保健福祉手帳に写真が貼付されることとなったことを踏まえ、JR等旅客運賃、航空旅客運賃、有料道路通行料金等の割引を広く障害者に適用するよう、各種の機会を通じて国など関係機関に働きかけていきます。

III数値目標

住まいとまちづくりに関する支援に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

10

障害者駐車場が整備されている県立公園(公園数)

11

13

13

14

  障害者駐車場が整備されている県立公園(整備率(%))

79

93

93

100

11

多機能トイレが整備されている県立公園(公園数)

10

11

11

12

  多機能トイレが整備されている県立公園(整備率(%))

67

73

73

80

12

主要駅エレベーター・エスカレーターの整備率(%)

90.3

92

93

94

13

乗合バス車両のノンステップバスの導入率(%)

44.5

50.5

53.5

56.5

14

県営住宅のうちバリアフリー化された住宅数

4,220

4,401

4,508

4,611

(6)暮らしの安全・安心に関する支援

I現状・課題

障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、福祉、教育、まちづくりなどの分野に加え、防災、防犯など幅広い分野での支援が必要です。

平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、本県においても、地震に伴う津波や液状化現象の発生もあり、死者や行方不明者などの人的被害のほか、多数の建物被害、道路、交通機関への影響やライフラインの寸断など深刻な被害を受けました。

これまでに経験したことのない今回の地震を通じて、情報伝達、避難誘導、避難所等の災害対応における各場面での障害のある人への支援に関し、様々な課題が明らかになりました。

千葉県自立支援協議会(現・総合支援協議会)では、平成24年度に災害時における障害のある人への支援体制に関するワーキングチームを設置し、東日本大震災における関係団体への調査等から見えてきた以下課題について、第四次計画に基づき、県として取り組むべき課題の整理と具体的な施策について検討したところです。

  1. 災害時の課題の広報・啓発
  2. 災害時要援護者(現・避難行動要支援者)の把握と連携協力体制づくりの支援
  3. 災害時の情報伝達のための人材確保
  4. テレビ放送における災害時等の情報伝達の確保
  5. 避難誘導・安否確認体制の整備の支援等
  6. 避難所等の支援対策
  7. 在宅生活等をしている人の支援体制

東日本大震災の教訓を踏まえ、災害発生時の被害を最小限にとどめるよう、自助・共助の取組を一層推進するため、県民、事業者、自主防災組織等、市町村、県の役割や取組事項を定めた千葉県防災基本条例を平成26年4月に施行しました。平成26年度は、同条例の趣旨について啓発するため、地域防災力向上セミナーを開催するなど、自助・共助の取組について普及・啓発を実施しています。

また、災害対策基本法の一部改正により、災害発生時に自ら避難することが困難な障害のある人等が迅速に避難できるよう、市町村には避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられ、名簿情報を避難支援関係者等へ提供することとされました。あわせて、国の「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組み指針」に全面改定され、市町村が取り組むべき事項として、災害時等における避難行動要支援者名簿の活用や個別支援計画の策定などが示されたところです。

県では、障害のある人の災害時の避難場所として、平成24年度から災害時における障害のある人の防災拠点の整備を促進し、平成27年3月現在、県内に9障害福祉圏域で14箇所整備しています。

また、特別支援学校では、「学校における地震防災マニュアル」や「防災セルフチェック」(特別支援学校の防災対応資料、平成24年8月)を活用して、情報の共有化、関連計画の策定、防災訓練の計画及び実施などを行っています。また、平成26年4月現在、特別支援学校14校18か所が避難所等の指定を受けています。このうち、福祉避難所は8校8か所、一般避難所は4校5か所、一時避難所は4校5か所です。内2校は、一般避難所と一時避難所の両方の指定を受けています。

避難誘導の際の障害特性に応じた情報保障(視覚障害のある人、聴覚障害のある人への情報提供)や、単独での移動が難しい児童生徒への配慮に関することや職員の役割分担や地域自治体等との連携体制など、具体的な設営・運営計画を含めた特別支援学校を活用した取組について、関係機関が連携した防災計画の見直しが必要です。

その他、自然災害などが発生した場合、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じるなど、精神保健医療の必要性が拡大します。

東日本大震災の際には、本県からも「心のケアチーム」として38チームを被災地に派遣しましたが、一時的なものであることから、今後発生する災害に対応できる県内の災害派遣精神医療チーム(DPAT)の体制整備が必要です。

防火安全対策については、障害者支援施設やグループホーム等において避難訓練等が適切に実施されるよう、消防署等の関係機関と連携し周知・啓発しています。また、平成25年12月の消防法施行令等の改正に伴い、延べ床面積にかかわらず、入居者のうち障害支援区分4以上の人が8割以上となるグループホームは、原則、スプリンクラー設備の設置が平成27年4月から義務づけられました。

障害のある人が安心して暮らすための防犯対策には、警察と地域の障害者団体、福祉施設、行政等との連携の促進等により、犯罪被害の防止と犯罪被害を早期に発見する取組が必要です。

また、聴覚障害のある人などからの緊急通報手段は、既に整備されている「FAX110番」「メール110番」「FAX119番」に加え、一部消防指令センターにおいて、携帯電話による「メール119番」「Web119」が導入されています。

障害のある人の地域生活への移行の進展に伴い、悪質商法などによる消費者トラブルにあうことのないよう、障害のある人やホームヘルパー、施設関係者等に対し、消費者センターで実施する自立支援講座を開催し、消費者センター等の相談窓口の周知、早期通報・相談の重要性についての啓発を行っています。

しかし、障害のある人が、消費者被害に遭った場合、その被害を周囲に上手く伝えられないことなどがあると言われています。福祉関係者や消費者センターなどにおいて、障害の特性に通じた相談員の配置や福祉関係者と消費者センターなどの機関との連携が必要です。

II取組みの方向性

  • 1改正災害対策基本法や指針、総合支援協議会での検討結果を踏まえ、「災害時要援護者避難支援の手引き(平成21年10月策定)」を改訂し、市町村に配布するなどして市町村の取組を促進します。
  • 2災害時における障害のある人への支援体制について検討を行うため、市町村など関係者等との意見交換の場を設けます。バリアフリーへの対応やあらかじめ本人に適した補装具等を保管するなど障害特性に配慮した避難所の整備を市町村に働きかけることや先進的な取組みを情報提供するなど、福祉避難所の充実に努めます。また、障害のある人の防災拠点と関係市町村、障害者支援施設及び障害福祉サービス事業所の連携体制の構築に努めるとともに、これらの施設等で訓練等を実施します。
    あわせて、防災拠点が未整備の圏域において施設整備の要望があった場合、防災拠点と一体的な整備にすることを条件とするなど、障害福祉サービスを運営している事業者に対して働きかけを行い、全ての障害福祉圏域に障害のある人の防災拠点の整備をすることを市町村を通じて促進します。
  • 3災害時等の情報伝達のための人材確保として、災害時・緊急時においても聴覚障害のある人、視覚障害のある人、盲ろう者に対して必要な支援ができるよう手話通訳及び要約筆記、ガイドヘルパー、盲ろう者向け通訳・介助員の講習会を開催するなど人材養成に取り組みます。一方、災害時に手話通訳者等の支援者が対応できない場合に備え、それぞれの障害特性に応じた簡易な情報伝達方法の検討にも取り組みます。
  • 4県及び市町村が実施する防災訓練において、手話通訳者等の支援者と専門家の連携や障害特性に応じて避難行動要支援者対象の各種訓練を今後も積極的に取り入れます。
  • 5特別支援学校では、障害のある児童生徒の障害の状態や特性等に応じた避難情報の伝達・安否確認・避難状況の把握などが行えるよう、防災計画の立案と見直しに努めます。また、福祉避難所指定を受けている8校以外の特別支援学校について、専門性を生かした地域連携を進めるため、障害のある人の避難場所となるよう、各市町の防災担当部署からの要請に応じて検討を進めます。
  • 6大規模災害時における支援体制について、福祉の専門職、医療職とネットワーク体制を確立するなどして、災害派遣の福祉チームなど障害のある人の大規模災害時の支援体制について検討します。また、東日本大震災の教訓を活かし、県内のDPATチーム編成に向けた検討を進めるとともに、派遣体制を整備し、県の地域防災計画に位置付けます。
  • 7障害者支援施設やグループホーム等の防火安全対策等について、消防署等の関係機関と連携し適切に実施されるよう周知啓発し、スプリンクラーなどの消防設備の設置について支援に努めます。
  • 8防犯対策について、関係者への障害特性等の理解の促進を図るため、知的障害のある人などの障害特性等の理解を広げるためのハンドブックを市役所町村役場、郵便局等の公共機関だけではなく交通機関、金融機関にも配布し、関係者の理解を促進します。
    「110番の日」などのイベントを通じ広く県民に「メール110番」及び「FAX110番」の仕組みを積極的に広報します。また、メール110番による緊急通報の実演について、今後も継続的に実施します。
    知的障害、視覚障害及び聴覚障害などの特性に配意した警察活動のための警察における職員教育を今後も継続的に実施していきます。
    障害のある人からの通報への対応について、県消防学校において行う、消防職員への教育を今後も継続的に実施していきます。
  • 9障害のある人を消費者被害から守るため、金銭管理、ロールプレイング方式による消費者教育や必要なときには誰かに手助けを求めることなど、自分自身を守る心構えを身に付けるカリキュラムを社会教育や学校の授業などに組み込みます。あわせて、知的障害のある人や精神障害のある人など、適切な判断をすることに困難さがある人たちに対して、日常生活自立支援事業や成年後見制度による支援を行います。
    障害のある人やホームヘルパー、施設関係者等に対し、消費者センター等の相談窓口の周知、早期通報・相談の重要性についての啓発を進めます。

III数値目標

暮らしの安全・安心に関する支援に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

15

避難行動要支援者名簿に基づく個別計画策定着手市町村数

なし

28

42

54

16

災害派遣精神医療チーム(DPAT)体制整備運営(検討)委員会の開催見込み数

なし

2

1

1

17

日常生活自立支援事業利用者数(再掲)

728

880

960

1,040

(7)障害のある人に関するマーク・標識の周知

I現状・課題

現在、行政・民間団体等により障害のある人に関する各種のマークや標識が設けられています。例えば、政令で定める程度の聴覚障害のある人が運転する車に表示する「聴覚障害者標識」や、身体障害者補助犬同伴の啓発のための「ほじょ犬マーク」などがあります。前者は法律により定められたもの、後者は厚生労働省が啓発のためにデザインしたものです。民間団体が設けたマークもあります。

建物等へのマークの掲示等については、市町村や公共機関ごとに対応が様々であることから、その用途を踏まえ一層の周知・啓発を図る必要があります。

II取組みの方向性

  • 1障害のある人に関する各種のマークは、バリアフリー等に対応したルールや障害のある人への支援の必要性等を伝えるものであると同時に、障害のある人への理解を促す「心のバリアフリー」につながるものです。県や市町村などの公共施設においては、障害のある人に対応した設備や取組を示すマークの掲示を進めます。また、各種のマークの県民への周知と理解の促進を図り、マークの普及に努めます。あわせて、障害特性等の理解を広げるための啓発資料を市役所町村役場、郵便局等の公共機関や交通機関、金融機関にも配布し、関係者の理解を促進します。

障害者のための国際シンボルマーク

所管:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

障害者が利用できる建物や施設であることを表す世界共通のマーク。障害の種類や程度にかかわらず、すべての障害者を対象としたもの。

身体障害者標識

所管:警察庁

政令で定める程度の肢体不自由である人が免許を受けて運転する車に表示する。

聴覚障害者標識

所管:警察庁

政令で定める程度の聴覚障害のある人が免許を受けて運転する車に表示する

※「補聴器を用いても10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえない」人については、これまで運転免許が取得できませんでしたが、平成20年6月の道路交通法改正により、新たに制定された聴覚障害者標識を車に表示し、ワイドミラーを装着することを条件に普通乗用車の運転免許を取得することができるようになりました。また、平成24年4月から運転できる自動車の種類が追加されています。

盲人のための国際シンボルマーク

所管:社会福祉法人日本盲人福祉委員会

視覚障害者の安全やバリアフリーを考慮した建物・設備・機器に表示する世界共通のマーク。

耳マーク

所管:社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

聞こえが不自由なことを表す、国内で使用されているマーク。このマークを提示された場合は、相手が「聞こえない」ことを理解し、口元を見せてはっきり話す、筆談でやり取りするなど、特性に応じたコミュニケーションの方法に配慮する必要がある。

ほじょ犬マーク

所管:厚生労働省

身体障害者補助犬同伴の啓発のためのマーク。補助犬を受け入れられる施設・店舗等の入口に掲示する等の形で使用される。

オストメイトマーク

所管:公益社団法人日本オストミー協会

人工肛門・人工膀胱を造設している人(オストメイト)のための設備があることを表すマーク。

対応トイレや案内板に表示される。

ハート・プラスマーク

所管:特定非営利活動法人ハート・プラスの会

「内臓等の身体内部に障害のある人」を表す。内部障害は外見から分かりづらいため、障害の存在を示し、理解を得るためのマーク。

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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