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ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化・文化財 > その他の文化資源 > ふさの国 今昔 -過去から未来へ- > 30.かずさアカデミアパークと古代の製鉄・寺院遺跡
更新日:令和5(2023)年4月14日
ページ番号:314552
内房地区の中核都市・木更津の市街地を流れる矢那川。この川の源流周辺、上総丘陵に整備が進められているのが「かずさアカデミアパーク」です。かずさアカデミアパーク構想は、バイオテクノロジー、情報通信、新素材など先端技術分野の研究所を緑豊かな上総丘陵に集め、国際的な研究開発の拠点にしようとするもので、研究開発地区は約1,000haの規模で、周辺の自然を残しながら現在も整備が進められています。その中心となる「かずさDNA研究所」は、生物の遺伝子情報を持つDNA専門の研究機関としては世界初の研究所で、隣接して研究交流のための施設「かずさアーク」も作られ、あわせて「かずさアカデミアパーク」の中核となっています。
かずさアカデミアパーク建設に伴う発掘調査では、上総丘陵の中に多数の古代遺跡が発見されました。平城京に都が築かれた8世紀前半、矢那川上流、かずさアカデミアパークパーク敷地内や周辺では、二重山(ふたえやま)遺跡、山下遺跡で製鉄が始められていました。これらの遺跡では、砂鉄を炭で溶かし鉄素材を得る精錬炉、炭窯などが発見されています。8世紀中頃には、製鉄遺跡に隣接する上名主ヶ谷(かみなぬしがやつ)窯跡では、硬く焼かれた須恵器や瓦の生産が始められ、古代の先端技術ともいえる製鉄・窯業が矢那川上流に展開していたのです。これは、材木、粘土、砂鉄など上総丘陵の豊富な資源を背景としていました。
また、8世紀後半、さらに上流の丘陵上に久野遺跡の寺院が建立されました。本格的な瓦葺きの仏堂を備えた寺院が、人里離れた上総丘陵に現れたのです。ここからは「赤穂寺(あこうじ)」「大般(若)(だいはんにゃ)」と墨で書かれた土器、香炉の蓋などが出土し、上総国分寺と同様に、中国からもたらされた新たな仏教思想に基づき、丘陵内の清浄な環境で仏教儀礼や僧侶の修行が行われていたと思われます。
かずさアカデミアパークのある上総丘陵は、古代・奈良時代の先端技術や先進的な仏教思想が展開する場でもありました。古代・現代ともに、先進的な試みを行う上で、上総丘陵の自然と環境が不可欠であったと言えるでしょう。
かずさアカデミアパークの中心部
山下遺跡の精錬炉
久野遺跡と出土墨書土器
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