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診療科・部門紹介

看護局の目標と活動

看護局の目標

令和5年度

1.こども・家族への安心・安全で質の高い看護の提供(看護実践)
2.倫理的視点とこどもの成長・発達をふまえた実践ができる看護師の育成(教育・研究)
3.経営改善と職場環境の整備(運営)

目標 活動内容

1 チーム医療を推進し、安心・安全な看護を提供する

1)医療安全への意識の向上と事故防止対策の徹底

医療安全文化の醸成に向けた取り組みと評価を行う

2)感染管理体制の強化を図る

感染管理マニュアルの遵守、手指衛生遵守率を向上させ、アウトブレイクを防止する

3)看護局防災委員会を設置し、災害意識を高めるとともに対策を整備する

4)患者・家族への対応能力を高める(苦情に関するご意見が減る)

5)多職種チーム活動に参画・支援し、質の高い看護を提供する

6)他職種と連携し入退院・移行支援を推進する

7)次期病院情報システムの導入に向けて、体制を整備する

2 倫理的視点と、こどもの成長・発達をふまえた実践のできる看護師を育成する

1)組織目標に向かって「学習する組織をつくる

1.千葉県こども病院クリニカルラダー(2022年度訂)の活用を徹底し、実践能力にあった教育支援を行う

2.次世代の看護管理者を育成するためのキャリア支援

3.患者と家族中心の看護を展開するために、倫理的感性を育むカンファレンスの推進(安全・倫理)

4.看護研究活動、看護の専門分野に関する活動を支援し、看護実践に反映する

3 経営改善への参画と働きやすい職場環境づくり

1)経営改善への意識を高める

看護実践の効率化を図り、業務改善を推進する

診療報酬等、経営に対する知識を向上させ病院経営に貢献する

効率的な病床運営に努め、目標稼働率を達成する

2)働き方改革に即した労働環境を整備する

看護補助者と協議し横断的活用を推進する

3)職員のメンタルヘルスケア対策へ取り進む

ハラスメント防止に取り組む

看護職の活動

専門看護師・認定看護師(CNS・CN)

令和4年4月1日現在のCNS・CNは下記のとおりです。

専門看護師4名 認定看護師13名

小児看護専門看護師:3名

家族支援専門看護師:1名

感染管理認定看護師:2名

手術看護認定看護師:1名

緩和ケア認定看護師:1名

新生児集中ケア認定看護師:1名

皮膚排泄ケア認定看護師:3名

救急看護認定看護師:1名

小児救急看護認定看護師:1名

摂食・嚥下障害看護認定看護師:1名

集中ケア認定看護師:1名

がん化学療法看護認定看護師:1名

専門看護師・認定看護師の活動紹介

小児看護専門看護師
小児看護専門看護師は院内に3名おります。病棟やこども・家族支援センターに所属し、お子さん・ご家族への直接的な看護実践を行っています。そして、幼少期より疾患や障がいをもちながらお子さんが成長発達し、その子らしく療養生活を送り大人になっていくことをご家族と共に支える支援に関しても相談を受け、解決の糸口を見出せるよう働きかけています。

当院は専門性が高く高度な医療を必要とするお子さんが入院しているため、看護師は専門性の高い医療の知識だけでなく、成長発達、小児における倫理、家族看護など多角的にこどもやご家族をアセスメントし、多職種から成るチームで看護を提供する力が求められます。そのような力を段階的に育めるような継続教育の検討、院内の研修の開催、看護研究の推進を行っています。

また、看護師や医師、コメディカルスタッフからの相談に対応し、より良い看護や医療を提供するために調整を図っています。院外でも学会や研修に参加して最新の知見を得て看護実践に活かすことや、看護研究発表を通して、より良い看護について考える機会を大切にしています。

 

家族支援専門看護師
こどもが入院すると、両親は治療などの決断をすることや、家族の中での役割の調整が必要となることがあります。

家族支援専門看護師は、家族がどのような状況におかれているのか、家族が子どもの病気をどのように感じているかなどをアセスメントしながら、家族の負担が軽減できるように支援しています。

我が子が、病気であると宣告された時の両親のショックは大きいですが、そのような両親の悲しみや不安を少しでも軽減し、こどもの前だけでは笑顔でいられるように、病気を宣告されて間もない時期の関りには、特に重点を置いています。「私には悲しくなったら泣ける場所がある」と思うと、心が少し楽になると思うので、家族が思いを表出し、泣ける場所になれたらいいなと思っています。

 

感染管理認定看護師
「感染対策の向こう側には、必ずこどもの安全がある」という思いを大事にしています。

成長発達の過程にあるこども達は、免疫能が未熟であること、自ら衛生行動を行うことが難しいこと、抱っこを始め他者との濃厚な接触が多いことなどから、感染のリスクは非常に高い状況です。特に、当院に通院や入院をしているこども達が感染を受けると、生命を脅かされること、予定通りの治療が行えなくなることがあります。

また、感染症によっては、隔離が必要となり家族や友達から離れる期間が長くなることがあり、精神・心理的な辛さもあります。病院という環境の中で、新たな感染症に罹ることが無いよう、病院全体の感染管理を行っています。特に、小児期の感染症は、手指を介した接触感染(伝播)が多い特徴があります。そのため、手指衛生の遵守および向上に向けた取り組みを重点的に行っています。

病院内の感染対策は、医療スタッフだけではなくこども達やご家族の協力も必要です。そのため、スタッフだけでなく、こども達やご家族への感染対策に関わる情報提供も行っています。

 

手術看護認定看護師
手術医療の高度・複雑化に伴い、手術看護に対するニーズも多様化し、質が高く安全な医療を求める患者・家族の要望が高まっています。そのため、専門的な知識や技術を発揮するだけでなく、患者の擁護者として倫理観に基づく高い看護実践が手術室看護師に求められます。術中だけでなく、入院、麻酔、手術、回復といいた周手術期前期を通して、全人的で一貫性のある患者中心の手術看護を提供することが求められています。

手術看護認定看護師は、周手術期チームの調整役として組織横断的に活動し、他職種と協働して、手術決定から術後の生活を含めた周手術期を通して、一貫した看護を提供し、手術を受けるこどもと家族が心身共に満足できる安全・安心な手術環境の提供に努めています。

 

緩和ケア認定看護師
「緩和ケア」とは、身体だけでなく精神や社会、スピリチュアルな苦痛に早期から対応し、苦痛の緩和や予防を行うことで、患者さんと家族のQOL(生活の質)を改善し、その人らしく過ごせるようにしていくものです。病気のこどもたちは「痛み」や「恐怖」を体験することがあります。また、家族から離れることで、「寂しさ」で心を痛めていることもあります。私は、こどもも家族も病気になったことを「嫌な体験」ではなく、「頑張って乗り越えた体験」としてポジティブに捉えられるようにしたいと思っています。そのために、辛いことは我慢せずに言えるような環境を整え、様々な思いに寄り添いながら、こどもと家族が頑張れる方法を一緒に考えたいと思っています。緩和ケア認定看護師の活動として、多職種で構成されている「こどものどんな痛みもサポートチーム」の一員として月に2回病院をラウンドしています。こどもが頑張ろうとする力を引き出せるように、多職種と連携し様々なアプローチを考えていきます。

 

新生児集中ケア認定看護師
NICUには、早産や様々な疾患をもつハイリスク新生児が入院してきます。出生後の新生児は、胎外環境に適応するために大きな変化を遂げます。新生児集中ケア認定看護師の役割りは、新生児の胎外環境への適応を助け、生理学的安定、神経行動学的発達を促すケアを実践することです。言葉を発せない新生児の様々なサインを読み取り、個々に合わせた安全、安楽なケアを提供します。急性期にある新生児の身体的ストレスを低減できるように、ポジショニングの工夫や痛みのケアの実践に取り組んでいます。また、NICUは家族形成の場です。ご両親は、小さな赤ちゃんに疾患があることを知り、戸惑いや緊張、将来への不安を大きく感じます。そのような時に、傍に寄り添い、静かに語りかけ気持ちを聴きながら、優しく触れる方法を伝え、一緒にケアを行います。細やかな観察で新生児のサインを読み取り、何を訴えているか伝えていくことで、ご両親の不安な気持ちを和らげることができます。できる限りご両親と赤ちゃんが一緒に過ごすことができる環境調整に努めています。

 

皮膚・排泄ケア認定看護師
3名の皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍しています。

院内の褥瘡専従業務と、こども・家族支援センターでの地域連携業務に1名ずつ従事しています。皮膚・排泄ケアは主に褥瘡ケア、スキンケア、ストーマケア、失禁ケア、導尿や洗腸管理などの幅広いケアを行っています。それらの実践・指導・相談にのっています。

また、日常生活支援のための看護外来診療(皮膚・排泄ケア外来)も行っています。

小児では先天的な疾患により、生後から医療的ケアを生涯必要とするこどもたちが多くいます。幼少期では親が主体となってケアを行っていくことが多いですが、成長発達に伴い、子どもたちの生活の場は変化していきます。セルフケア能力を活かす関わりや、親だけでなく地域や療養先でのケアも考慮したより良い関わりを目指しています。小児期だけでなく成人期を見越した関わりを大切に支援を行っています。

 

救急看護認定看護師
重症な患者さんを安定させる看護は、病態のアセスメントから適切な看護問題を抽出し、個別的なケア計画を立案し、看護実践力が求められます。状態が改善した患者さんをみると、看護のやりがいや達成感を感じます。

またRRTとして、病院全体の患者さんの急変を未然に防ぐ役割をするチームに所属し、日々奮闘しています。こどもの急変は、とても早く、少しの変化も大切なサインとなります。今後もさまざまな役割を通して、こどもの急変を未然に防ぎ、また急変時は適切なケアが提供できるよう、スタッフと共に知識・技術の向上に努めていきたいと思っています。

 

小児救急看護認定看護師
小児救急看護認定看護師には、こどもの身体的な状況から緊急度を判断すること、家族の育児不安への対応、こども虐待への対応、こどもの事故予防指導、家庭における初期指導(ホームケア)などの役割があります。こどもは、病態の変化が急速で重症化しやすく、症状の現れ方が非特異的と言われています。また、言語発達や認知能力が未熟で、自らの症状を上手く伝える事ができません。こどもたちのサインをキャッチし、適切な対応ができるように、こどもたちと向き合っています。また、医療の進化に伴い医療的処置を必要とされ退院するこどもたちが増え、少子化核家族化もすすみ、ホームケアだけでなく子育てに不安を抱くご家族も増えているように感じます。ご家族の不安が少しでも解消され、子育てが楽しいものとなるようなお手伝いを心掛けています。救急や急変に対応するだけでなく、その子らしい健やかな成長発達を願い「一番のこどもの味方」であることを目標に日々、活動しています。院内や看護協会、看護師養成等学校、クリニック、訪問看護支援事業などで、小児のフィジカルアセスメント、急変対応、事故予防、ホームケア、重症心身障害児のケアなどについての講義や研修を行っています。

 

摂食・嚥下障害看護認定看護師
摂食・嚥下障害看護の分野では、摂食嚥下機能の評価や発達援助、および誤嚥性肺炎、窒息、低栄養、脱水の予防に関する実践・指導・相談を行っています。また、適切かつ安全な摂食嚥下訓練の選択および実践を、医師や理学療法士、言語聴覚士、作業療法士と協働して行っています。

当院には、栄養サポートチーム(NST)があり、摂食・嚥下障害看護認定看護師もチームの一員として活動しています。NSTでは、栄養障害の状態にある患者や栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者に対し、生活の質の向上、現疾患の治癒促進および感染症などの合併症予防を目的として、栄養管理に係る専門的知識を有した多職種からなるチームが診療を行い、入院した患者の栄養評価と適切な栄養管理・指導・提言を行っています。毎週ランチョンミーティング・病棟回診を行い、その結果をNSTレポートとしてまとめて入院患者の病棟へフィードバックしています。また、歯科医師と連携して入院中の患者の歯の健康を保つために口腔ケアラウンドを行っています。日頃のケアの状態を確認してブラッシング指導・歯科治療が必要な患者のスクリーニングを行い、毎日の口腔ケアに活かしています。

 

集中ケア認定看護師
集中ケア認定看護師の役割は、過大な侵襲を受けたことによって、重症・集中治療を必要とする患者・家族への看護を主に行っています。

そして、生命の危機状態にある患者に対し、様々なモニタリングから得られる情報やフィジカルアセスメントを統合することによって病態の変化を予測し、重症化予防のためにスタッフへの提言や患者ケアの提供を行っています。そのため、生理学や解剖学の理解、高度な医療機器の管理に必要な知識と技術を、勉強会やO J Tを通してスタッフに提供し、看護の質の向上に努めています。

また、新生児や乳児・幼児においては、言葉で思いを医療者に伝えることが難しいため、こどものADLを取り戻せるように早期リハビリテーションケアに対しても、スタッフと協働し取り組んでいます。また、患者は急変する前に、意識や呼吸の異常が早期に現れる事から、急変に陥る前に早期介入が図れるように、RRTの一員として院内全体で異常の早期発見や治療・看護ケアに繋がるように活動を続けています。

 

がん化学療法看護認定看護師
がん化学療法看護認定看護師の役割は、がん薬物療法を安全・確実・安楽に実施できるよう支援することを目的に患児・家族への看護を行えるよう活動を行っています。

がん治療の進歩により、がん薬物療法による副作用の出現や症状増悪率も改善されてきています。しかし、言葉で思いを表出するのが難しい乳幼児は症状出現の早期発見と対応が難しく、副作用に強い不安があるこども達も多くいます。そのため、フィジカルアセスメント・レジメンアセスメントから病態変化の予測と重症化予防のためにケアの提供やスタッフへ勉強会や日常業務、ケアの提言を通して、質の高い看護の提供に努めています。

また小児がんの生存率上昇により、幼少の頃に小児がんを発症したこどもが思春期となった時に、病気や症状の説明や理解等に悩むこども・家族が増えています。そのため、小児がんを発症したこども達と家族がその子らしく生活を過ごし、大人へ成長していくために活動を行っています。