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更新日:令和6(2024)年2月19日

ページ番号:5965

(大多喜町)法院様と狐つき

内容

むかしむかし。大多喜の正宝院に、狐つきを落とす名人と評判(ひょうばん)の高い法院(ほういん)様(位の高い僧侶)がいた。評判が評判を呼(よ)び、寺は繁盛(はんじょう)した。

ある年のことだ。城下の商人が、狂(くる)ったように泣(な)き叫(さけ)ぶ子どもをつれて

「法院様、この子についた狐を落としてください」

と頼みに来た。法院様は

「ああ、承知(しょうち)しました」

と軽く引き受け、いつものように経(きょう)をあげた。

ところが狐はなかなか落ちなかった。普通なら四半時(しはんとき)(三十分)も経をあげれば、たいていの狐が離れて行く。しかし、話し好きな狐で、話ばっかりして離(はな)れない。法院様は困(こま)ってしまった。

 

三日も経をあげているのに狐はいっこうに離れず、ただただ子どもは泣き叫ぶ。村の人たちも

「法院様の祈(いの)りも効(き)かなくなったなあー」

と噂(うわさ)した。

法院様は困ってしまった。そこで、子どもについている狐に

「狐や狐、わしも祈祷で家族を養(やしな)っている。おまえさんが、この子どもから離れてくれなければ、困ってしまう。どうかわしの立場も考えて、この子から早く離れてくだされ」

と半ば泣きながら訴えた。すると狐は言った。

「わしは千年も前から飯綱大明神(いずなだいみょうじん)の使者狐(ししゃきつね)だ。ちょっとしたことがあって、この子に取りついたが・・・どうも、あんたが困っているようだ」

「その通りです。どうか離れてくだされ・・・」

「・・あんたの熱心さが気に入った。あんたに狐つきを取る方法を教えてあげるから筆と紙を持って来い」

法院様は狐の言葉の一言一句もらさず書き記した。

「全部書かれたか」

と言うと、狐は子どもから離れてどこかへ行ってしまった。

 

それからというもの、どんなに難(むずか)しい狐つきでも、この法院様にお願いすれば落ちた。

「正宝院の法院様は狐つきを落とす名人だ」

以前にもまして評判となった。さらに大多喜だけでなく、近くの村々にも伝わって、正宝院は大繁盛したという。

おしまい

 

出典・問い合わせ先

  • 出典:「広報おおたきNo.420」(「ふるさと民話さんぽ」斉藤弥四郎(『日本伝説叢書上総編』参考))
  • 問い合わせ先:大多喜町外部サイトへのリンク

お問い合わせ

所属課室:環境生活部文化振興課企画調整班

電話番号:043-223-2408

ファックス番号:043-224-2851

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