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診療科・部門紹介

低侵襲心臓血管治療部

診療案内

特色

低侵襲というのは手術による患者様の体への負担が小さいという意味で、簡単にいうと体にやさしい手術ということです。当センターは1999年に千葉県でいち早く大動脈ステントグラフト治療を行った病院で、これはそれまでの人工血管置換術からすると劇的に体の負担が減りました。当治療部は千葉県低侵襲治療施設の第一人者としてステントグラフトを使用し、体にやさしい血管手術を取り入れてきました。2008年までは人工血管とステンレス製のステント骨格を縫い合わせたものを自作し、開胸・開腹人工血管置換手術ができない体力のない患者様のみに行っていましたが、企業製のステントグラフトが発売されてからは、ステントグラフト内挿術が可能な形態の動脈瘤に対してステントグラフト治療を開始し、著しく合併症の割合が減りました。その後も下肢血管や下肢静脈瘤に対しても切開する手術でなくカテーテル治療を積極的に取り入れています。

さらに開心術に対しても従来の胸骨正中切開(胸骨を胸の真ん中で縦に20cm程度切る)を避け、右胸を約8cm切開するにとどめる小切開心臓手術(MICS)という方法を取り入れ、創部縮小・疼痛減少などで患者様からも喜ばれています。2023年からはそれまでの低侵襲血管内治療部という名称を、低侵襲手術を心臓手術にも拡張した「低侵襲心臓血管治療部」に変更しました。これからは心臓血管手術すべてにおいて低侵襲・小切開は患者様のニーズとして解決すべき命題と考え、総合的に取り組んでいきます。

心臓弁膜症に対する小切開心臓手術(MICS)

僧帽弁閉鎖不全症や狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症や狭窄症に対しては、胸骨の真ん中を縦に20cm程切開する開心術による弁形成術や弁置換術を行います。心臓弁膜症の治療は、まだまだカテーテル治療は一部であり弁膜症全体の4分の1程度しか適応になりません。その4分の1程度のほとんどは大動脈弁狭窄症に対するTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)です。大部分の心臓弁膜症はいまだに胸骨の真ん中を切開し人工心肺を使用した手術を行っています。その侵襲をできるだけ減らそうというのが、MICS(小切開心臓手術)です。右胸の乳頭部の少し外側・下側を約8cm切開し人工心肺を使用し弁膜症の手術を行います。傷が小さく胸骨を切開していないので早く退院でき、退院後も骨の痛みが少なく、女性には襟の開いた服でも創が見えないので喜ばれています。もし万が一心臓の再手術があっても次は胸骨正中切開を行えば、癒着が少なく安全な手術が可能です。MICS治療は狭い視野で行っているため、できるだけ手術手技を簡便にする場合が多いですが、我々はMICSだからといって同時に行う必要のある手術は省略せず、胸骨正中切開を行うのとできるだけ同じ方針で弁膜症治療を行っています。患者様の再手術はできるだけなくすことが外科医の義務だと思っています。

胸部・腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療

大動脈瘤や大動脈解離は大動脈が瘤状に拡張あるいは壁が裂け、突然破裂して死に至る怖い病気です。瘤を小さくしたり解離を修復する内服薬がないため、治療は外科治療に頼らざるを得ません。そのため、人工血管置換術といって、動脈瘤を切り開いて人工血管に入れ替える開胸や開腹の手術が一般的でした。しかし、この手術は体への負担が大きく、高齢(80歳以上)の方や心臓・肺・腎臓などの機能低下のある方の場合は命の危険も高まります。90年代前半に、大動脈瘤の新しい治療法として開発されたのがステント治療です。これは腿(もも)の付け根の動脈(大腿動脈)から細く折りたたんだステントグラフトを広げ、内腔から血管に密着させ動脈瘤の破裂を予防する治療です。傷は腿の付け根だけですし、経過が良好であれば手術翌日から食事や歩行が可能になります。しかしこの治療は、ステントグラフトが可能か、またどのようなステントグラフトを使うか等の専門的知識と、挿入するための熟練した技術が必要であり、当センターは、この治療法を千葉県でいちはやく1999年に開始し、当時最先端の技術を取り入れ現在に至っています。動脈瘤で手術が必要な場合は、ステントグラフト内挿術の手術数(約800例以上)が多く、経験の多い当センターへぜひご相談ください。ただ、ステントグラフト治療は7~8年経過すると再治療が多くなることも経験の多い我々には分かってきています。体力のある方にはよくご相談の上、長期間安定している通常の開腹人工血管置換術も選択させて頂いています。勿論、お仕事でお忙しい方・高齢の体力のない方・腹部手術後の方・余病の多い方など、一人ひとり最良の治療方法を考えご相談させて頂きます。勿論ステントグラフト治療を行う場合でも長期成績が改善するための最新の治療を組み合わせて手術を行っています。

末梢動脈閉塞症に対するカテーテル治療

下肢の動脈が動脈硬化で狭くなったり閉塞して壊死がおこってしまう、閉塞性動脈硬化症・末梢動脈疾患に対しては、循環器内科と協力し、血管内治療(風船で血管を拡張する)を行っています。しかし鼠径部~膝窩部の狭窄・閉塞や、膝下の閉塞で壊死が出現した場合に関しては血管内治療では困難・或いは再狭窄・再閉塞の可能性が高くなるため、バイパス術・血栓内膜摘除術を行い長期成績を改善させています。また、長期開存率を上げ、手術の負担を下げるため、手術治療と血管内治療を組み合わせたハイブリッド治療など、病変の性状や部位に応じて最善の方法で施行しています。

下肢静脈瘤治療

月曜日午後の「静脈疾患専門外来」では下肢の静脈瘤・静脈性浮腫の診療を実施しております。手術する必要のある静脈瘤に対してはカテーテル治療(レーザー・グルーによる)を行い同時に静脈瘤切除術を行っています。手術は月曜日に行い、当日入院し翌日退院して頂いています。

医師紹介

詳しくは、各診療科の医師紹介をご覧ください。

心臓血管外科

  • 低侵襲心臓血管治療部長:浅野 宗一
  • 主任医長:阿部 真一郎
  • 医長:焼田 康紀
  • 医員:山元 隆史
  • 医員:津田 武蔵