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更新日:令和7(2025)年12月3日
ページ番号:809292
一般区分
千葉県知事優秀賞
山田 絵美(やまだ えみ)
私はこの作文を書いてみようと思ってから沢山考え、悩み2カ月半かかりました。
テーマが長すぎてびっくりしましたが、よく読んでみたら今の私の思いと重なっていたんです。ある時期から心の不調で外に出る事も人と話す事さえも怖くなりました。
あんなに元気に外に出かけていた私の生活は一変しました。人との約束も出来なくなり、急に襲ってくる発作への恐怖と不安で毎日が怖かったです。外へ出る練習をしても人混みへ行くと息苦しくなり、失敗や間違えを指摘されるとドキドキして涙が出て自分を責める日々でした。私だって望んでなりたかったんじゃないと思っていました。
病院へ通い始めると、女性の先生や男性の先生、看護師さん、事務員さん達が優しく接してくださり、救われました。様々なアドバイスを実践してみて、考え方の癖を変えてみたり、早寝早起きや、お家で温泉気分、音楽や映像で旅行気分、お勉強や読書、お料理など沢山好きな事をやってみました。自分の気持ちを大切に出来る様になった事は私の成長だと今は思います。途中、お薬に頼っている自分を責める事もありました。いつになったら治るんだろう、いつになったら障害を乗り越えられるのだろうと沢山葛藤もありましたし、今もその気持ちはあります。それでも今は、今ここ、今この瞬間を大切にして無理に抗わず、自分自身の心地よいリズムで生きることが出来ています。誰かと比べるのではなく、自分が心地いいと思える日々を過ごすことの大切さを知りました。
私の主な苦しさは突然起きるパニック障害、PTSDと強迫性障害ですが人の目には見えません。目に見えないからこそ、ヘルプマークをつけています。しかし、誤解をされたり無視や見てみぬふりをされたり、ジロジロ見られたり、とても嫌な思いと辛い日々もありました。電車の中では皆携帯を見てこちらの存在さえも気づいていない事には、正直ヘルプマークをつける立場になってから驚いた現実です。私は同調圧力や理解されない苦しみ、人の勝手な憶測での決めつけがどれ程の人を苦しめているのか向きあうことにしました。そして私は、改めて上級救命救急の講座を受け直しました。私は助けてもらえる立場でもあり、助ける事も出来るという人間でありたいと思ったからです。
世の中にはヘルプマークをつけているからと偏見を持つ方もいるかもしれませんが、私のように前を向いて生きている方が沢山いると思います。ヘルプマークをつけることさえ躊躇う方もいます。これは人として生きる上で多様性が広がりつつある日本で一人一人が受け入れ、一人一人が自分のことだけではなくて人に対して少しでも優しい気持ちを持つことが大切だと思います。時代が変わるスピードはとても早いとは思いますが少なくとも私が幼い頃より良い時代になってきたという実感はあります。あの頃は良かった、この頃は良かっただけでは前には進めません。あの頃があったから今がある、そして未来へと繋いでいく。それが私達の出来ることなのではないかなと思います。今この瞬間、喜んでいる人、怒っている人、悲しんでいる人、楽しくて仕方がない人、様々な人達が合わさってできているのが地球です。
スケールが大きすぎると想像するのも難しいですが、貴方だけではないし、一人ではありません。どんな事もまだ出会っていない誰かや、そばに居ない人も同じ様に思い考え悩み生きています。だからこそせめて近くにいる人、隣にいてくれる人、支えてくれている人にありがとうの感謝の気持ちを忘れない事が大切なのかなと思います。そして迷惑をかけてしまったり、悲しい思いをさせてしまったら、ごめんね、ごめんなさいを言える事でどれだけ平和で安心、安全な生活が出来るのかを今一度考える必要があると私は思っています。日本には本音と建前の文化がありますが、本音で話せる事はとても大切で、嘘のない自分で生きることは自分を支えてくれると思います。ヘルプマークがあってもなくても、ヘルプライフを送って無理して頑張りすぎている方々も居ます。そっと手を差し伸べてあげられるような人が一人でも増えたらきっと平和になると願っています。
なお、今は文章を書きすぎて、頭から煙が出ていますが、これもまた平和の証です。ここまで結構真面目に語ってしまいましたが、ここまで読んでくださったあなたに、ズッコーンと笑顔と感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
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