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更新日:令和7(2025)年12月3日
ページ番号:808915
中学生区分
千葉県知事最優秀賞
御宿町立御宿中学校3年
福本 菜々海(ふくもと ななみ)
みなさんの障害のある人との出会いは何ですか。もしかしたらまだ出会ったことがないという人も多いかもしれません。私にとっての障害のある人との出会いは母です。私の母は聴覚障害者です。うまれてきたときからずっと一緒に生活をしてきたので、母とは手話で会話することが当たり前で、電話は父がするもの、テレビは字幕があることが普通だと思っていました。みんなもこうなのだろうなと思っていて、それが私の中の普通の日常でした。
私は自分の日常が普通ではないのかもしれないと思いはじめた時期をよく覚えていません。物心ついた頃には、通訳をしないといけないと思いずっと母についていってました。そして、周りの大人や友達からは、親が耳聞こえないなんて可哀想、通訳できて偉いねと言われることが多くありました。それが私にとっての普通だったので、子供ながらに何とはなしに腹だたしい気持ちだった記憶があります。それからというもの、私は周囲の目をとても気にするようになり、母が耳が聞こえないことを恥ずかしく思い、母と一緒にいることを避けるようになりました。障害という言葉がとても怖く感じるようになったことを今でも覚えています。
母との仲も悪化していたある日、母に「あけうみ」という耳がきこえない人や、その家族が集まる会に行ってみないかと言われました。その時の私はなぜ私がそんな会にわざわざ行かないといけないのかと思い、まったくもって行く気がありませんでした。しぶしぶ参加することにしたのですが、いざ行ってみるとそこには小さな子供からご年配の方までたくさんの方が集まっていました。手話や筆談などを使ってとても明るく笑顔で楽しそうに会話をしている様子をみて私は少し驚きました。私が一人でもじもじしていると、私と同年代ぐらいの女の子が笑顔ではなしかけに来てくれました。私は手話で自己紹介をし、たくさんの方と関わることができました。初めは不安な気持ちでいっぱいでしたが、とても仲良くなることができました。おしゃべりをしていくうちに気がついたことがあります。それは、聞こえない方は聞こえる方よりも何倍も表情が豊かだということです。声がなくても、笑っている顔、うれしそうな顔、驚いている顔、困っている顔など何を考えているのかがとても分かりやすくてまるで表情で会話をしているように見えました。見ているだけで私も自然と笑顔になっていました。
私はこの体験を通して、障害のある方たちには、見えない努力がたくさんつまっていると気づくことができました。手話や筆談、表情などで気持ちを伝えようとする姿が今でも強く心に残っています。私はこの会に参加することがなければ、障害のある、ないは大きな違いでこれからも恥ずかしいという気持ちをもって生きていくことになっていたかもしれません。障害の「ある」、「ない」という違いだけで人を判断し、区別するのではなく、相手を知ろうとする気持ちを大切にしていきたいと思います。誰もが安心して自分の個性や感情を見せ、自分らしくいることのできる社会になって欲しいです。そのためには、違いを悪いことだと捉えるのではなく、そこから自分の視野を広げていくことが大切です。私も過去の自分の気持ちや体験を忘れずに、人とのふれあいを大切にして心の輪を広げていきたいと考えています。
みなさんが障害のある人と出会ったときには怖がらすに話してみてください。ほんの少しの勇気がふれあいや笑顔を生んでくれると思います。その一歩は相手の心をあたたかくするだけではなく、自分自身の新しい気づきや学びにつながります。心の輪を広げるきっかけを自分から作ってみてください。ちがいから広がる出会いが広がりますように。
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