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更新日:令和6(2024)年4月1日

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I障害者計画の目指すもの

1計画策定の背景

本県では、昭和57年度策定の「千葉県障害者施策長期推進計画」以来、数か年にわたる基本計画を策定し、計画に基づき、障害者施策の推進と、障害福祉サービスや相談支援を提供するための体制の確保を図ってきました。

この間、国では社会モデルの概念が盛り込まれた「障害者基本法」の改正(平成23年8月公布)や、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。)」の成立(平成25年6月公布)等、様々な法整備を経た後、平成26年に障害のある人に関する初めての国際条約である「障害者の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」という。)」を批准しました。本条約については、令和4年に障害者権利委員会による政府報告の審査が実施され、同委員会による見解及び勧告を含めた総括所見が採択・公表されました。

また、近年では、事業者に対し合理的配慮の提供を義務付けるとともに、行政機関相互の連携強化等を内容とした「障害者差別解消法」の一部改正(令和3年6月公布)や、障害のある人による情報取得及び利用並びに意思疎通支援に係る施策に関して基本理念を定め、国や地方公共団体等の責務を明らかにした「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」の制定(令和4年5月公布)など、様々な制度改正等を通じ、障害のある人の地域生活を支える仕組みの構築が図られてきたところです。

一方、本県においては、これまで重度の強度行動障害のある人に対する支援を担ってきた千葉県袖ケ浦福祉センターが令和4年度末をもって廃止されました。今後は、「千葉県重度の強度行動障害のある方への支援システム」を円滑に運用し、本人に合った暮らしの場を確保していく必要があります。

このほか、新型コロナウイルス感染症の拡大は、相談支援を受ける機会の喪失や、コミュニケーション方法の制約など、障害のある人に大きな影響を与えました。このような非常時では、障害のある人がより深刻な影響を受けることから、非常時に障害のある人が受ける影響などに留意し、各種施策を推進していかなければなりません。

本県では、以上のような障害者施策や社会情勢の変化に的確に対応しながら、障害のある人が地域でその人らしく暮らせる共生社会の構築を目指して、第八次千葉県障害者計画を策定します。

2計画策定の趣旨・位置付け

本計画は、障害福祉に関する総合的な計画として、より実効性の高い計画とするため、以下の計画や施策を一体的に策定するものです。

  1. 都道府県障害者計画(「障害者基本法」第11条第2項)
  2. 都道府県障害福祉計画(「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)」第89条第1項)
  3. 都道府県障害児福祉計画(「児童福祉法」第33条の22第1項)
    ※難聴児の早期発見・早期療育を総合的に推進するための計画を含む。
  4. 手話通訳者、要約筆記者及び盲ろう者向け通訳・介助員の養成その他手話等の普及の促進に必要な施策(「千葉県手話言語等の普及の促進に関する条例(以下「手話言語等条例」という。)」第8条第1項)

また、本計画は、令和4年に制定された「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」の規定の趣旨を踏まえて策定しているほか、千葉県総合計画や千葉県地域福祉支援計画、千葉県保健医療計画などといった、障害者施策に関連する本県の他の計画と連携し、整合性を図りながら策定しています。

3計画の基本理念と目標

障害者権利条約は、障害のある人の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的としていますが、このような条約の理念は障害者基本法においても引き継がれ、同法第1条では、「障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」との基本理念が示されています。

第八次千葉県障害者計画では、このような障害者基本法と共通の基本理念の下、

障害のある人が地域でその人らしく暮らせる共生社会の構築

を目標として掲げ、目標とすべき社会の姿を常に念頭に置きながら、本計画に基づく施策を推進していきます。

4策定に係る各分野に共通する基本的な考え方

(1)自己決定の尊重と意思決定の支援

障害者施策の策定や実施に当たっては、障害のある人やその生活を支援する家族等の意見を尊重し、施策に反映させていくとともに、障害のある人が適切に意思決定を行い、その意思を表明することができるよう、意思決定の支援を行っていきます。

(2)あらゆる場面におけるアクセシビリティの向上

障害のある人のアクセシビリティ向上の環境整備を図り、障害のある人の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁の除去を進め、障害のある人がその能力を発揮しながら安心して生活できるように施策を推進していきます。

障害のある人がそれぞれの地域で安全に安心して暮らしていくため、アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進に努めていくほか、必要な情報に円滑にアクセスし、意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、社会的障壁の除去に向けた各種取組を推進します。

また、画像認識や音声認識など、新たな技術を用いた機器やサービスはアクセシビリティとの親和性が高いことから、情報伝達や意思疎通など、様々な場面で新たな技術の利活用について検討します。

なお、新たな技術を用いた機器やサービスの利活用に当たっては、当該機器・サービスが新たな社会的障壁となる可能性があることにも留意します。

(3)当事者本位の総合的・横断的な支援

障害のある人が各ライフステージを通じて適切な支援を受けられるよう、福祉や教育、雇用等の各分野の有機的な連携の下、施策を総合的に展開し、切れ目のない支援を行います。

複数の分野にまたがる課題については、障害のある人やその生活を支援する家族等の意向を踏まえつつ、福祉や教育、医療、雇用等の各関係機関等で必要な情報を共有する等、連携を図りながら、総合的かつ横断的に対応していきます。

(4)障害特性等に配慮した支援

障害者施策については、障害特性や障害の状態等に応じ、障害のある人の個別的な支援の必要性を踏まえて策定、実施します。

その際、外見からは判別しにくい障害が持つ特有の事情を考慮するとともに、状態が変動する障害は症状が多様化しがちであり、障害の程度を適切に把握することが難しい点についても留意します。

(5)複合的困難に配慮したきめ細かい支援

障害のある女性をはじめ、複合的に困難な状況に置かれた障害のある人に対しては、きめ細かい配慮の下、施策を実施していく必要があります。

障害のある女性については、性犯罪や性暴力等、女性であることにより複合的に困難な状況に置かれる場合があることも念頭に置きつつ、施策を推進していきます。

また、障害のある子どもについては、成人とは異なる支援が必要であることに留意しながら、子どもの能力や可能性を最大限に伸ばすため、一人一人のニーズに応じた支援を行います。

(6)障害を理由とする差別の解消

障害者差別解消法や「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例(以下「障害者条例」という。)」に基づき、様々な主体との連携を図りつつ、事業者、県民等の幅広い理解の下、障害者差別の解消に向けた取組を積極的に推進します。

(7)施策の総合的かつ計画的な取組の推進

障害者施策のPDCAサイクルを構築し、着実に実行するとともに、当該サイクル等を通じて施策の見直しを行います。

1.企画(Plan)

必要なデータ収集を行い、障害のある人や障害のある人を取り巻く社会環境を適切に把握しながら、計画に掲げる施策について具体的な数値目標等を設定し、より効果的な施策を企画します。

2.実施(Do)

障害のある人やその家族等の意見を聴き、高齢者施策や医療関係施策等、障害者施策に関係する他の計画や施策等との整合性を確保しながら、計画の内容を踏まえた事業を実施します。

3.評価(Check)

数値等に基づき取組の実施状況やその効果の把握、評価を行い、施策の実施に当たり課題や支障が生じている場合は、具体的な要因について必要な分析を行い、その円滑な解消に努めます。

4.見直し(Act)

障害者施策の推進に係る取組の実施状況やその効果に係る評価結果を踏まえ、取組の見直しや、新規施策の検討を行います。

なお、社会情勢の変化等により本計画の変更の必要性が生じた場合は、計画期間の途中であっても、本計画を柔軟に見直すこととします。

(8)デジタル技術の活用

今後想定される労働人口の減少も見据え、デジタル技術を用いた情報共有等や現場における業務効率化などにより、福祉サービスの質を高め、障害のある人が、住み慣れた地域で自分らしく暮らせる環境を実現します。

9)持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現(SDGsの視点)

SDGsは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す世界共通の目標です。

SDGsの考え方は、障害者施策の推進に当たり、県が目指すべき方向性と同じであることから、様々な関係者と共生社会の実現という考え方を共有し、広範な課題に対して連携・協同して取り組むこととします。

5計画期間

令和6年度から8年度までの3年間とします。

6策定体制

本県では、障害者総合支援法第89条の3の規定により、関係機関や関係団体、障害のある人やその家族等で構成される千葉県総合支援協議会(以下「総合支援協議会」という。)を設置しています。

総合支援協議会は、県全域の障害のある人への支援体制の整備を図る上で主導的な役割を担うものですが、障害者計画の策定は、このような総合支援協議会の役割と密接に関わるものであるため、総合支援協議会と同一の構成員で構成される第八次千葉県障害者計画策定推進本部会(以下「策定推進本部会」という。)を設置し、両会を一体的に運営する中で障害者計画の策定を進めてきました。

計画の策定に当たっては、策定推進本部会の下に設置された6つの専門部会において各担当分野における具体的な検討を行い、策定推進本部会が各専門部会での検討結果を集約し、更にその集約結果を検討することで計画案を作成しました。

このようにして策定された計画案について、千葉県障害者施策推進協議会(障害者基本法第36条第1項の合議制の機関、以下「施策推進協議会」という。)で意見を聴き、第八次千葉県障害者計画を策定しました。

なお、本計画は、関係団体等に対する意見聴取やパブリックコメントの実施により、広く県民の声を聴きながら策定しています。

7第七次千葉県障害者計画の進捗状況

(1)取組の状況

毎年度、千葉県障害者計画策定推進本部会において、第七次千葉県障害者計画に係る「取組の方向性」の進捗状況、「数値目標」の達成状況、障害福祉サービス等の提供状況等について、評価及び検討を行っています。

その後、評価及び検討の結果を施策推進協議会に報告し、同協議会の意見を踏まえた上で、効率的な事業の推進を図っています。

(2)政策実現の目安となる数値目標

第七次千葉県障害者計画では、地域生活への移行の推進に当たり、障害のある人の地域における住まいの場を確保するため、グループホームの整備を最重要施策の一つと位置付け、推進してきました。その結果、グループホーム等の定員については、令和4年度時点で10,410人となり、計画最終年度(令和5年度)の目標値を上回っています。

また、施設入所者数についても、令和4年度時点で4,355人となり、計画最終年度(令和5年度)の目標値を達成しています。

さらに、入所施設から地域生活への移行者数については、令和3年度から令和5年度の3年間で192人という目標に対し、令和3年度と令和4年度の2年間で137人となっており、目標を上回るペースで移行が進んでいます。

項目 令和元年度実績 令和4年度実績 令和5年度
(最終年度)目標
第七次計画の進捗状況(令和4年度まで)
グループホーム等の定員 6,428人 10,410人
(3,982人増)
8,400人
(1,972人増)
施設入所者の地域生活への移行者数 234人
(3年累計)
(H29~R1)
137人
(2年累計)
(R3~R4)
192人
(3年累計)
(R3~R5)
施設入所者数 4,449人 4,355人
(94人減)
4,395人
(54人減)

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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