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更新日:令和5(2023)年12月21日

ページ番号:3102

第2部I-2精神障害のある人の地域生活への移行の推進

総合計画から

  • 医療と福祉にまたがる支援が必要である精神障害のある人の地域生活への移行には、医療機関による退院支援や、地域の福祉関係機関による地域生活支援の両面が必要であることから、関係機関が連携して対応する地域ネットワークの構築を推進します。
  • 自立した生活の維持や社会参加などを支援するピアサポート体制の在り方について検討を進めます。
    さらに、より身近な地域で、医療と福祉の連携体制の強化を図り、精神科医療機関と障害福祉サービス事業所等と連携した退院促進や地域定着の推進を図ります。

(1)精神障害のある人の地域生活への移行支援

I現状・課題

県内の精神科病院に入院している人のうち、在院期間1年以上の長期入院者はこれまで減少しているものの、約8千人います。これをさらに減少させるには、本人の退院に向けた意欲の喚起や、住まいや地域での生活準備などの支援体制が必要と考えられます。

このような状況の中、精神障害のある人の地域生活への移行を促進するための改正精神保健福祉法が平成26年4月から施行されました。

また、入院患者の高齢化が進んでおり、また、遠隔地に入院している患者の退院への支援も必要です。

このため、精神障害のある人が住み慣れた地域で暮らせるよう、地域移行の推進に向けて、千葉市を除く各障害保健福祉圏域に圏域連携コーディネーターを配置し、圏域内の病院、障害福祉サービス事業所、行政等の連携を図っています。また、高齢入院患者地域支援事業を実施しているほか、遠隔地退院支援事業や「地域移行・定着協力病院」の指定を推進することとしています。

地域移行をより一層推進するためには、精神障害のある人を取り巻く医療・福祉・行政・家族等の関係者によるネットワークを強化するとともに、高齢入院患者地域支援事業・遠隔地退院支援事業を確実に実施していく必要があります。また、より多くの病院から地域移行・定着への協力を得る必要があります。

さらに、地域移行を進める上で、本人の支援のみならず、家族への支援にも着目し、退院後の家族への負担が軽減できるよう、精神障害のある人を地域で支えていくために必要な情報の提供や社会資源の充実を図ることが必要です。

地域移行を考える上では、住居の確保が必要です。グループホーム等の整備に関しては、依然として地域住民の反対にあうケースがあるため、地域住民の関心と理解を深めるための啓発活動が必要です。

また、平成21年度から平成26年度における、国や県の補助事業によるグループホームの整備は45箇所ですが、家族の高齢化等により、精神障害のある人のためのグループホームの整備が求められています。

平成26年4月から創設された本体住居との連携を前提とした一人暮らしに近い形態のサテライト型住居の設置については、精神障害のある人向けの住居としても有効と考えられるため、周知が必要です。

なお、国では段階的な地域移行のための病院資源を活用し、院内にグループホーム等を設置することも検討されていますが、同じ建物や敷地内であるため、入院中と変わらない環境になるという指摘もあることから、国の基準なども踏まえ、十分な議論が必要です。

一方、グループホームのほか、一人暮らしを望んでいる精神障害のある人のニーズに応じた住まいの場や、日中活動のための外出ができない場合に対応したグループホーム内での日中における支援が必要です。

公営住宅においては、精神障害のある人も含めた障害のある人への利用促進に向けて、障害のある人の世帯に対し、一般世帯より当選確率を高くする優遇措置や申込みできる戸数枠を設ける優遇措置を講じています。

民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、住まい探しの相談に協力する不動産仲介業者や入居を受け入れる住宅を登録する「千葉県あんしん賃貸支援事業」を実施し、県ホームページで情報提供しています。また、千葉県すまいづくり協議会居住支援部会を発足し、住宅確保配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議などを行っています。

そして、関係者、当事者や家族だけではなく、県民に精神障害のある人の実情や地域移行について理解が広がるよう、普及啓発も必要です。

II取組みの方向性

  • 1圏域連携コーディネーターを配置し、病院、障害福祉サービス事業所等の連携を図ります。おおむね60歳以上の高齢入院患者の退院を支援するため、病院内での多職種と地域の関係者のチームによる取組について支援します。さらに、遠隔地に入院している患者を以前住んでいた地域の病院へ転院させ、退院後の生活を想定した退院支援を行います。
  • 2入院者の地域移行・地域定着に積極的な精神科病院を「地域移行・定着協力病院」として指定、実施し、その取組みを促進します。
  • 3平成26年4月の精神保健福祉法の改正により精神科病院管理者に義務付けられた退院後生活環境相談員の選任や医療保護入院者退院支援委員会の設置などに対し、県内の精神科病院に引き続き周知を図り、必要に応じた指導を行います。
  • 4地域移行に当たっての家族への支援について、家族の負担軽減につながるよう、地域定着を支えていくために必要なサービスについて検討し、家族会等の関係者とも連携しながら情報提供します。
  • 5アウトリーチ型支援も含め、地域生活の継続のための支援体制等の拡充を目指します。
  • 6病状の悪化だけではなく、家族と一時的に距離を置きたいときに利用できるクライシスハウスの設置の促進について検討します。
  • 7病院資源のグループホームとしての活用については、今後の国の動向や県内の地域移行の実情を踏まえて、本県の対応を検討します。
  • 8精神障害のある人などのためのグループホームの整備など、社会情勢に即応した整備に努めます。グループホームの新規開設支援、運営の安定化及び人材の確保に資するためにグループホームに対して、運営等に関する費用の補助や障害者グループホーム等支援ワーカーによる新規開設相談を実施します。また、障害のある人の中には共同住居より単身での生活をしたいというニーズもあり、新たに創設された、サテライト型住居の設置・活用が図られるよう、引き続き周知に努めます。
  • 9サービスの質の向上を図るため、利用者への家賃補助やサービス管理責任者、世話人などへの研修を実施するとともに、障害者グループホーム等支援ワーカーによる事業者に対する運営相談支援を行います。また、利用者の高齢化などに対応した生活支援員の増員など手厚い人員配置を行うグループホームに対して実態に即した報酬体系となるよう、加算制度の拡充などを国に要望します。
  • 10入浴、排せつ又は食事等の介護の提供が必要な利用者の認定手続が、ケアホームのグループホームへの一元化後も市町村において、適正な運用がなされるよう会議等で周知します。一元化により、グループホームにおいて利用者の状況に応じて外部の居宅介護サービスを利用することが可能となったことから、障害程度の重い入居者へ利用が図られるよう、市町村を通じて制度を周知します。
  • 11障害のある人の地域生活についての近隣住民の正しい理解が得られるよう、地域の行政、権利擁護団体、不動産業団体等との協力のもと県民への啓発に努めます。また、障害者条例の相談支援等により、個別事案の解決にあたります。
  • 12公営住宅において障害のある人の利用促進に向けた、優先入居制度を継続していきます。
  • 13民間賃貸住宅への移行については、千葉県あんしん賃貸支援事業に協力する不動産仲介業者や入居を受け入れる住宅を登録し、県ホームページで情報提供を行います。
    また、引き続き、関係機関と連携を図りながら、障害のある人の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議等を行います。
  • 14精神障害のある人の実情や地域移行について理解を広げるため、心のふれあいフェスティバルや心の健康フェア等、精神障害のある人と地域の人がふれ合う機会を提供し、関係団体と連携した普及啓発に努めます。

III数値目標

精神障害のある人の地域生活への移行支援に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

1

精神科病院に入院した患者の入院後3か月経過時点の退院率(%)

56.9
(平成24年6月)

59

61

64

2

精神科病院に入院した患者の入院後1年時点の退院率(%)

87.3
(平成24年6月)

88

89

91

3

精神科病院の長期在院者(1年以上在院者)の数

7,857
(平成24年6月)

7,302

6,802

6,442

4

遠隔地退院支援者数の実数

なし

8

15

23

5

地域移行・定着協力病院の指定数

なし

15

18

26

(2)障害のある人自身が自らの経験を基に相談支援等を行うピアサポートの推進

I現状・課題

ピアサポーターは、相談支援事業所や関係機関等における当事者からの相談や種々のグループワークを通じて得たものや、自らの入院経験を経て地域での暮らしへと移行した過去の体験談を語ること等によって、同じ障害を持つ人の地域生活の維持に役立つ活動を行っており、精神障害のある人がリカバリーするために必要な存在です。同じ障害を持つ人が、これまでどのように障害を乗り越え、克服してきたのかを共有し、これから先、自分が求める生き方を主体的に追求していくことが大切です。

ピアサポートを推進するためには、ピアサポーターの数を増やしていくとともに、ピアサポーターがより一層活躍できるよう、活動の場の拡大や活動の仕組みの整備などの支援に取り組むことが必要です。

II取組みの方向性

  • 1ピアサポーターの養成に努めるとともに、ピアサポーターが積極的に活動できるよう、その役割や活動内容の周知、普及啓発を進めます。
  • 2健康福祉センター(保健所)におけるピアサポートの促進やピアサアポーターも含めた地域における相談支援関係機関等によるネットワークづくりの促進に努めます。
  • 3ピアサポーターを支援する仕組みや活動しやすい環境を検討します。また、ピアサポートを受けやすい環境について検討します。

III数値目標

障害のある人自身が自らの経験を基に相談支援等を行うピアサポートの推進に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

6

地域移行・地域生活支援事業の実ピアサポーター活動箇所数(見込箇所数)

なし

6

7

8

(3)精神科救急医療体制の充実

I現状・課題

在宅の精神障害のある人が増加する中、精神症状の急激な悪化等の緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保する精神科救急医療体制の整備の重要性は、ますます高まっています。

このため、平成20年度に「千葉県精神科救急医療システム」における救急医療相談窓口を24時間対応にするとともに、「千葉県保健医療計画」に基づく保健医療圏単位で精神科救急基幹病院を指定するなど、より身近な地域で速やかに診療が受けられるようシステムの拡充を図りましたが、夜間等における空床確保が難しい状況もあります。

また、身体合併症の救急患者に対応できる病院は、県内4障害保健福祉圏域4病院のみとなっており、身体合併症に対応できるよう医療体制を拡充する必要があります。

II取組みの方向性

  • 1空床確保が困難となっている原因を分析するとともに、関係機関との更なる連携や輪番体制への参画病院の拡大を図ることなどにより、空床の確保を推進します。
  • 2身体合併症を有する患者については、各圏域において、夜間休日を含め24時間365日の救急対応が可能になるよう、精神科を有する総合病院の機能強化や精神科救急医療と一般の救急医療機関等との連携体制の整備について検討します。

III数値目標

精神科救急医療体制の充実に係る年度別数値目標
ナンバー 項目 25年度実績 27年度 28年度 29年度

7

精神科救急基幹病院数

9

11

11

11

8

精神科救急身体合併症に対応できる施設数

4

9

9

9

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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