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更新日:令和7(2025)年4月10日
ページ番号:316986
コップに注がれた牛乳
千葉県は日本の酪農発祥の地です。
江戸時代、徳川吉宗がインド産と言われる白牛を導入し、千葉県の嶺岡牧(現在の南房総市)で飼育し、白牛酪(現在のバターのようなもの)を製造したことが、日本の酪農の始まりとされています。
また、千葉県は大消費地の東京や神奈川に近いことから、新鮮な牛乳をいち早く御家庭にお届けできることが特徴です。
享保13年(1728年)、徳川吉宗がインド産と言われる白牛を導入し、千葉県の嶺岡牧(現在の南房総市)で飼育し、白牛酪(現在のバターのようなもの)を製造したことが、日本の酪農の始まりとされています。
嶺岡の地(南房総市丸山)は、昭和38年(1963年)に「日本酪農発祥の地」として千葉県史跡に指定されました。
千葉の酪農は歴史が違います。
県内には約400戸の酪農家で約2万6千頭の乳牛が飼育されています。
生乳の生産量は約18万トンで全国第6位。他のライバルに比べ、大消費地の東京や神奈川に近いことから、高速道路や東京湾アクアラインにより、新鮮な牛乳をいち早く御家庭にお届けできます。
牛乳は、乳牛から搾った生乳100パーセントの飲み物です。おいしくて安全な牛乳が消費者の食卓に届くまで、その品質管理には細心の注意が払われています。
まず、乳を出す乳牛が健康で丈夫な牛であることが条件で、そのため酪農家は1頭1頭の健康状態に気を配ります。
搾乳は衛生的に行われ、パイプラインでタンクへ送られるとすぐに冷蔵貯蔵されます。
そして集乳時には厳重な乳質チェックが行われ、成分や細菌数、抗生物質の有無などがきびしく検査されます。
検査に合格した生乳だけが牛乳工場へと送られ、基準をクリアできなかったものは廃棄されています。
工場に届いた生乳は、ここでさらに受け入れ検査が行われます。こうして幾重にも品質チェックされた生乳だけが、殺菌処理をされて牛乳となります。
順位 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 | 全国 |
---|---|---|---|---|---|---|
県名 | 北海道 | 栃木県 | 熊本県 | 岩手県 | 千葉県 | |
産出額(億円) | 4,341 |
435 |
317 |
245 |
238 |
8,318 |
出典:農業産出額
年 | 項目 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
令和5年 | 生乳生産量 (トン) |
北海道 |
栃木県 |
熊本県 |
群馬県 |
岩手県 |
千葉県 |
4,146,981 | 341,645 | 256,330 | 201,618 | 198,506 | 185,038 | ||
令和5年 | 乳牛飼養戸数 (戸) |
北海道 |
岩手県 |
栃木県 |
熊本県 |
千葉県 |
宮城県 |
5,380 |
728 |
592 |
467 |
403 |
400 |
||
令和5年 |
乳牛飼養頭数 (頭) |
北海道 |
栃木県 |
熊本県 |
岩手県 |
群馬県 |
千葉県 |
842,700 |
54,000 |
43,800 |
40,200 |
32,900 |
26,500 |
出典:畜産統計、牛乳乳製品統計
日本で乳牛といえば約98パーセントが黒白模様のホルスタイン種です。このほかにも数品種が明治時代から輸入されています。
明治時代から日本に輸入されている乳用種で、原産地は、ライン河河口の低湿地であるオランダのフリーネ地方や、品種名の由来となったドイツのホルスタイン地方です。
毛色は黒と白の斑紋ですが、赤白斑も稀にあります。ホルスタイン種は「乳用牛の女王」と呼ばれ、全世界で広く飼育されています。性質は穏和で飼育しやすく、寒さに強いのですが暑さには弱く、体質はそれほど強健ではありません。
ホルスタイン種の産乳能力は年間6,000キログラムから8,000キログラムときわめて高く、中には年に2万キログラム以上を生産するスーパー・カウもいます。乳脂肪率は3パーセントから4パーセントで、カロチンをビタミンAに変えて乳汁中に出すので、乳は黄色味が薄く、白いのが特徴です。
英仏海峡のジャージー島原産の乳用種です。
毛色は、明るい淡褐色から暗い黒褐色までさまざまです。体は小型で、細くてきゃしゃな骨格をしており、顔はしゃくれていて目が大きいので、鹿のような可憐な印象を与えます。性質は活発ですが、やや神経質です。
体が小さいため、乳量は年間約4,000キログラムとそれほど多くありません。しかし、乳脂肪率が高く(約5パーセント)、脂肪球も大きいのでクリームが分離しやすく、その上、カロチン含量も高くて美しい黄色がでるので、バター原料乳として最適です。
英仏海峡のガンジー島原産の乳用種です。
毛色は黄褐色の地に白斑があり、多くは額に星があります。体型はジャージー種に似ていますが、ひとまわり大型で、骨太で粗野な感があります。性質はジャージー種ほど神経質でなく、環境に対する適応性も優れています。
乳量・乳質はジャージー種と変わらず、黄色味が強く、風味がよいのが特徴です。
スイス原産の三用途兼用(乳・肉・役用)のスイス・ブラウン種から、アメリカで乳専用種に改良された品種です。
毛色は全身灰褐色の単色で、鼻鏡と口の周辺が白色になっているのが特徴です。
乳量は年間約4,800キログラムですが、年間1万キログラム以上泌乳するものもいます。近年になって、チーズ等の加工用に向いていることが評価され、飼養頭数は増えてきています。
牛乳は温度管理が命。だから牛乳類の保存方法は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で、10度以下で冷蔵保存するよう定められています。
お店で買ったら、牛乳の温度が上がらないようにできるだけ早く家に帰って、冷蔵庫に入れましょう。
牛乳は冷蔵庫のにおいを吸収しやすいので、封を開けたら口をしっかりと閉じてください。
室温で長い間放置したり、冷蔵庫をひんぱんに開け閉めすると温度が上がってしまって、風味をそこないます。
また、口をつけて飲むのもおすすめできません。
乳房はミルクを作る大事な器官です。実際にミルクを作っているのは、乳房の中の乳腺細胞です。ここでは血液から運ばれてきたさまざまな栄養素を取りこんで、ミルクの成分に作り変えます。1キログラムのミルクを作るために、500リットルもの血液の循環が必要なのです。
牛乳はとても栄養価が高いため、細菌などが繁殖しやすく、品質管理が大変です。
このため、酪農家は、いつも牛舎を清掃し、搾乳前には牛のおっぱい一つ一つをていねいにタオルできれいにするなどしています。
また、搾った生乳は、パイプラインを通って外気に触れずに冷蔵タンクに集められます。搾ったばかりの生乳の温度は35度くらいありますが、すぐに冷却され適温で管理されます。タンクローリー車が各酪農家を回って牛乳を集めて工場に運び、風味や乳成分・比重・細菌数などの厳しい検査を受け、基準をクリアしたものだけが私たちの口に入ります。
牛の胃袋はおなかの部分の4分の3を占めるほどあり、4つに分かれています。
一番大きな第1胃は、160リットルもの容積があります。口から入ってきた草などは、まず第1胃に収まります。
ここで数々の微生物によって分解され、微生物を増殖させながら食物を発酵させます。
ときどき牛は食べたものを口にもどし、もう一度細かくするために噛んでは、また胃にもどす反芻をくり返します。やがて第2、3胃で繊維分がさらに細かくされ、第4胃で消化されます。
ここで、食物の栄養分と自分の第1、2胃で増えた微生物を消化し、栄養分として取り込みます。自分の体に発酵工場を持っているのが牛の胃の特徴です。
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