ここから本文です。
更新日:令和2(2020)年7月15日
ページ番号:316957
ちばのびわは、大粒でみずみずしいのが特徴です。
本県におけるびわの栽培は、宝暦元年(1751年)に始められたといわれており、およそ250年の歴史を有しています。
江戸時代の中期には、『房州びわ』が江戸の市場に出荷されたとの記録があります。
また、明治以降は一層盛んに栽培されるようになりました。
皇室献上は、明治42年(1909年)6月20日に安房郡富浦町南無谷(現南房総市富浦町南無谷)の木村兼吉(きむらかねきち)によって始められ、以来第二次世界大戦中の一時期を除き、今日まで続けられています。
*写真上:「献上びわ」の選果式の様子
*写真下:「献上びわ」
千葉県は全国的にも長崎県に次ぐびわの産地です。
房総半島南端に近い西海岸の南房総市、館山市及び鋸南町で栽培されており、平成18年の結果樹面積は169ヘクタールです。
中でも南房総市は、146ヘクタール(平成18年)を有し、県全体の86パーセントを占めています。
市町村名 | 結果樹面積 ヘクタール |
収穫量 トン |
出荷量 トン |
出荷量の割合 パーセント |
---|---|---|---|---|
南房総市 | 146 | 424 | 389 | 86 |
館山市 | 18 | 53 | 48 | 11 |
鋸南町 | 5 | 13 | 12 | 3 |
計 | 169 | 490 | 449 | 100 |
出典:青果物生産出荷統計、果樹生産出荷統計、生産農業所得統計
*「結果樹面積」とは、生産者が収穫を意図して結果させた栽培面積を言う。
*平成19年度から市町村別データ無し
年次 | 結果樹面積 ヘクタール |
収穫量 トン |
産出額 千万円 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
全国 | 千葉県 | 全国 | 千葉県 | 全国 | 千葉県 | |
16 | 1,940 | 177 | 6,470 | 594 | 530 | 80 |
17 | 1,890 | 172 | 6,730 | 704 | 580 | 100 |
18 | 1,780 | 169 | 6,100 | 490 | 540 | 80 |
19 | 1,740 | 168 | 5,710 | 754 | 540 | 100 |
20 | 1,710 | 165 | 7,110 | 700 | 490 | 100 |
21 | 1,680 | 164 | 6,650 | 772 | 500 | 100 |
22 | 1,630 | 161 | 5,700 | 531 | 540 | 100 |
23 | 1,600 | 162 | 5,300 | 658 | 450 | 100 |
24 | 1,550 | 161 | 3,240 | 541 | 360 | 100 |
25 | 1,490 | 164 | 4,960 | 556 | 410 | 80 |
26 | 1,450 | 164 | 4,510 | 503 | 450 | 80 |
27 | 1,400 | 162 | 3,570 | 535 | 420 | 90 |
28 | 1,330 | 157 | 2,000 | 430 | 260 | 70 |
29 | 1,240 | 154 | 3,630 | 534 | 340 | 80 |
30 | 1,190 | 154 | 2,790 | 450 | 320 | 70 |
出典:青果物生産出荷統計、果樹生産出荷統計、生産農業所得統計
順位 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 |
---|---|---|---|---|---|
県名 | 長崎 | 千葉 | 鹿児島 | 香川 | 愛媛 |
出典:平成30年生産農業所得統計
びわは、花や果実が寒害を受けやすい作物です。びわは、初冬に花を着け、寒さの中で実を結ぶため、栽培は寒さとの戦いです。びわの花はマイナス5度で、果実はマイナス3度で凍死してしまうため、温暖な地方でしか栽培できません。冬、黒潮に守られる安房地域は、びわ栽培の北限です。
このため、栽培者の苦労は多く、作業能率は悪くても気温の下がりにくい傾斜地を選んで栽培したり、寒波の襲来する頃には、ストーブを焚いて果実を守ります。
びわ園の多くは冬期の季節風及び冷気の滞留しにくい南から東に向いた山の斜面に位置しています。
*写真はびわの花です
びわは、果実が小さい時に生産者が1つ1つ袋をかけて大切に育てます。
なぜなら、「害虫」や強い日差しによる「しみ・そばかす」などから果実を守るためです。
「袋かけ」は、美しいびわを作るために欠かせない大切な作業です。
「花摘み」「袋掛け」「収穫」と急傾斜で樹に登る作業が3度もあるため、大変労力がかかります。
そのような生産者の努力があって、おいしいびわを食べることができます。
九州地方で主に栽培されている「茂木(もぎ)」種と比べ、千葉県のびわは大果系の品種が中心です。
びわは、その栽培方法により露地栽培とハウス栽培に分けられます。
以下、千葉県内で栽培されている主なびわの品種です。
露地栽培の収穫・出荷時期はおおむね5月下旬~6月下旬です。千葉県で栽培されている露地ものは次の2品種が主流です。
66パーセント(露地栽培における結果樹面積に占める割合)
1果70から80グラムと大果で、酸味が少ない。
収穫期は5月下旬から6月上旬。
農林水産省育成、昭和17年発表。
29パーセント(露地栽培における結果樹面積に占める割合)
1果65から75グラムと大果で、外観が美しい。
収穫期は6月中旬から6月下旬。
田中芳男氏(東京都)育成、明治12年発表。
ハウス(温室)栽培の収穫・出荷時期はおおむね4月上旬~5月下旬です。千葉県で栽培されているハウスものは次の品種が主流です。
60パーセント(ハウス栽培における面積割合)
1果70グラムと大果で、酸味が少なく、外観が美しい。
施設栽培に適した品種。
千葉県育成品種、平成元年に品種登録。
20パーセント(ハウス栽培における面積割合)
1果75から85グラムと極大果で、果肉は柔らかく、食味がよい。
農林水産省育成、昭和11年発表。
10パーセント(ハウス栽培における面積割合)
千葉県育成品種、昭和57年に品種登録。
7パーセント(ハウス栽培における面積割合)
世界初の種子なしビワ。
千葉県育成品種。
千葉県産びわの出荷時期は、ハウスびわで4月下旬から5月下旬、露地びわで5月下旬から6月下旬と、初夏を告げる代表的な果物です。
最も収穫が盛んとなる6月10日前後には、国道127号沿いに直売店が立ち並び首都圏からのお客さんで賑っています。また、近年では観光農業への人気の高まりから「びわ狩り」を楽しまれる方も増えております。
びわは日持ちが悪いので、食べたいときに買って、すぐに食べましょう。
余った場合でも、短期間の冷蔵保存にとどめます。
過熟果は皮に縦のひび割れが入りますが、特別に甘くなっています。この過熟びわは流通されないので、産地だけで食べることができます。
皮に赤あざが入っているものは、日当りの良いところで育った証拠で、味もおいしいです。
*写真のびわ品種は「山川」です
びわの主産地・富浦町(現・南房総市)が出資して作った第3セクター「枇杷倶楽部」では、収穫期間の短いびわを年間楽しめるように、びわの加工品の販売にも力を入れています。
「びわ缶詰」、「びわジャム」、「びわアイス」、「びわシャンプー」など30種類以上のびわ関連商品を開発し、房州を訪れたお客さんに好評を得ています。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください