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更新日:令和4(2022)年11月11日

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炭酸ガス施用の効果を高める促成トマトの冬季温度管理

1.はじめに

近年の促成トマト栽培では、高軒高のハウスで炭酸ガス施用や高度な環境制御技術を組み合わせ、多収を実現する経営体が増加しています。一方、県全域で見ると、低軒高ハウスにて炭酸ガス無施用条件での栽培が主体であり、環境制御は自動天窓や暖房機を利用して温度管理のみを行う生産者が多数みられます。そこで、当センターの低軒高ガラス温室にて、炭酸ガスの施用と複数の温度管理条件を組み合わせ、養液栽培での栽培試験を行い、本県の気象条件に適した炭酸ガス施用下の温度管理条件を調査しました。

2.試験方法

試験は軒高2.1メートルのガラス温室にて、ロックウール培地を使った養液栽培で実施し、品種には「麗容」(株式会社サカタのタネ)を用いました。

炭酸ガスの施用方法は液化炭酸ガスでの施用と燃焼式の2種類ありますが、本試験では液化炭酸ガスを用いた施用としました。2種類を比較すると、導入費用は液化炭酸ガス施用の方が安価な一方、ランニングコストが高い傾向があります。施用期間は換気量が減り、炭酸ガス施用の効果が高まる冬季(11月28日から4月5日まで)とし、施用量は過去の知見を参考に10アールで1時間当たりに3キログラムとしました。また、ハウス内の濃度が800ピーピーエム以上の時は施用を中断するように制御しました。

温度管理について、11月14日から側窓を全閉とし、炭酸ガス施用期間中の換気は天窓のみで行いました。また暖房機も11月14日から稼働しました。設定温度について、現地で一般的な暖房設定9度・換気設定25度とする「低温区」、低温区より夜間のみ高くする「夜間高温区」、昼夜とも高くする「高温区」の3試験区を設けました。

3.温度管理の違いが温室内環境及び収量に及ぼす影響

温度管理の違いが日平均気温と炭酸ガス濃度に及ぼす影響について1月のデータで見ると、晴天日の日平均気温は「高温区」で18.5度であり、設定温度が高い区ほど高くなりました(表1)。雨天日も同様の傾向でしたが、区間差は小さくなっています。また、換気設定温度が他区より高い「高温区」では日中の換気窓の開度が小さくなり、開放時間も短くなることによって換気量が低下するものと考えられます。これにより、「低温区」や「夜間高温区」に比べて「高温区」では炭酸ガスの漏出が抑えられ、高い濃度が維持されたものと考えられました。

表1.温度管理が厳寒期の施設内気温及び炭酸ガス濃度に及ぼす影響(2020年1、2月)

表1.温度管理が厳寒期の施設内気温及び炭酸ガス濃度に及ぼす影響(2020年1、2月)(PNG:18.4KB)
※表をクリックすると、大きく表示されます。
注1)晴天日はアメダス千葉市における日照時間9時間超の2020年1月3、9および20日の3日間、雨天日は日雨量10ミリメートル以上で日照時間2時間未満であった1月8、18および28日の3日間平均、無施用日は2月8日(晴天日)の測定値。炭酸ガス濃度は7時から16時30分の平均
2)炭酸ガス施用量は10アールで1時間当たりに3キログラム(トマトの葉の光合成速度を1秒、1平方メートル当たり10マイクロモル、葉面積指数を3、群落の吸光係数を60パーセント程度とした時にトマトが吸収する炭酸ガスの量)

11月から7月までの10アール当たりの可販収量は、「低温区」で17.3トン、「夜間高温区」で21.0トン、「高温区」で28.1トンとなりました(図1)。

図1温度管理と可販収量
図1.温度管理と可販収量

高温管理が多収となった要因としては、上記のとおり炭酸ガス濃度が高くなり、光合成量が増加することに加え、平均気温が高いことで開花から収穫までの日数が短縮され、厳寒期の着果負担が軽減し、春先まで樹勢が弱まらなかったことが挙げられます。これによって可販率が向上するとともに、総花房数(収穫段数)が増加し、4月以降の収量増加につながりました。

4.経営収支

この結果を基に経営収支試算すると、暖房の重油価格を1リットル79円とした場合、「低温区」に対して「夜間高温区」で10アール当たり約20万円、「高温区」で約100万円の増益となりました。ただし、最近は燃油価格が高騰しており燃油価格の高騰下では、高温管理のメリットが少なくなることには留意が必要です。

初掲載:令和4年10月
農林総合研究センター
野菜研究室
研究員 大里 俊一朗
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