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更新日:令和3(2021)年11月11日

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ベニアズマ新系統「系14-26」の特性

1.はじめに

サツマイモでは、ウイルスの感染による収量・品質の低下を防ぐため、ウイルスフリー苗が利用されています。形状や揃いの良い優良株を選んで茎頂培養によりウイルスフリー化して親株とし、苗を増殖して農家に配付されています。

現在、JA全農ちばが4系統の「ベニアズマ」ウイルスフリー苗を配付しています。ウイルスフリー化した親株は年月の経過とともに変異が生じ、特性が劣化していくことが知られています。現在の系統は配付開始から年数が経過しており、“丸いも”や“条溝”といった障害の発生が目立つようになり、品質の低下が生産現場で問題となっていました。そこで、優れた形質を持つ「系14-26」(写真1)を新たに選抜したので紹介します。

ベニアズマ新系統「系14-26」(JPG:115.5KB)

※画像をクリックすると、大きい画像が表示されます。

写真1 ベニアズマ新系統「系14-26」

2.ベニアズマ「系14-26」の特性

(1)病害抵抗性

平成27年にサツマイモの主要病害である、つる割病と立枯病の抵抗性について検定を行った結果、「系14-26」のつる割病抵抗性は“やや強”、立枯病の抵抗性は“中”で、いずれも現在、配付されている主要系統の「No.92」と同程度でした。

(2)普通掘り栽培における収量といも形状

平成28から30年度に成田市及び香取市の現地圃場で5月下旬植付け、10月上旬収穫の普通掘り試験を行いました。その結果、「系14-26」の収量は主要系統の「No.92」と同程度であり、配付系統の中でも多収であることが明らかになりました(表)。いもの形状については、いもの長さが太さの2.5倍未満である“丸いも”の発生程度は「No.92」と同じく中程度で、“条溝”の発生は「No.92」に比べて少なくなっています。

(3)早掘り栽培における収量といも形状

平成30年度に現地圃場で4月下旬植付け、8月上旬収穫の早掘り栽培試験を行いました。その結果、「系14-26」のM級(200グラム)以上の収量は「No.92」と同程度であったことから、「系14-26」の早掘り適性は高いと考えられました。ただし、「系14-26」は「No.92」に比較して、生育の後半に肥大する傾向があり、令和2年のような8月の収穫時期まで梅雨が長引く場合は早掘り収量が低下する可能性があります。

 

表「ベニアズマ」ウイルスフリー系統の特性

「ベニアズマ」ウイルスフリー系統の特性

注)「系14-20」、「系14」、「K-20」、「No.92」はJA全農ちばから現在配付されている系統

3.ベニアズマ「系14-26」の配付と栽培法について

「系14-26」は「系14-20」を置き換える形でJA全農ちばから各JAを通して、県内の農家向けにウイルスフリー苗が配付されています。また、「系14-26」は、「No.92」や「K-20」等のこれまで選抜された「ベニアズマ」の早生系統と同じ栽培条件で系統特性が発揮されており、着いも数や肥大性に差がないことから、施肥、栽植密度や植付方法等を変更せずに導入が可能です。

初掲載:令和3年9月

農林総合研究センター

水稲・畑地園芸研究所

畑地利用研究室

研究員 山下雅大

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