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更新日:令和3(2021)年6月8日

ページ番号:439770

エラチオール・ベゴニアにおける夏季の夜間冷房

1.はじめに

エラチオール・ベゴニアは、温度と日長を制御することで周年出荷が可能ですが、このうち秋出荷作型は単価が安定する一方で、夏季の高温により開花が揃わないことや草丈の徒長等品質低下が問題となっています。その対策として、夏季の夜間冷房がエラチオール・ベゴニアの生育及び開花に及ぼす影響を調査し、品質改善に有効な冷房方法を明らかにしました。

2.明期/暗期の温度と到花日数法

「ネッチャダーク」の発根苗を鉢上げしてインキュベータ内で明期の温度(27.5、30、32.5度)と暗期の温度(20、25度)の組み合わせを変えて到花日数を調べたところ、明期が27.5、30、32.5度の範囲では、暗期20度でばらつきが小さく、安定して開花に至りましたが(表1)、暗期25度では明期30度以上で開花遅延が増え、ばらつきが大きく開花が不安定になりました。

明期、暗期の温度が到花日数に及ぼす影響

3.温室における夜間冷房

センター内の温室においてヒートポンプを用いた夜間冷房の試験を実施しました。平成29年は明期の気温が低く、夜間冷房で開花が遅延しました。一方、平成30年は明期の気温が高く、夜間冷房で開花が促進し、草丈、主茎長は無冷房と同等でした。このことから、夜間冷房は明期が高温条件で開花促進、開花時期のばらつきを少なくすることに有効であることが明らかになりました(表2)。

温室での夜間冷房の効果

4.効果的な夜間冷房の検討

夏季の期間中(およそ90日間)連続して夜間冷房(20度)をし続けることはコストが掛かります。そこで、短日処理期間中(およそ3週間)のみ夜間冷房をしたところ、開花が促進し徒長が抑制され、品質改善に有効であることが明らかになりました(写真)。

夜間冷房による開花促進の様子(中島原図)(拡大するには画像をクリック)

写真 夜間冷房による開花促進の様子(中島原図)

撮影日:平成30年10月2日

5.おわりに

今後、より効率的な夜間冷房方法の検討の他、秋出荷に適した品種の選定や、夏季の栽培に適した遮光資材の選定等を実施する予定です。秋出荷作型の技術が確立することで、ベゴニアの周年栽培がより実施しやすくなることを期待します。

※本試験は、生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(旧農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)「短時間変温管理法に基づく主要花き類の周年安定生産技術の開発(課題番号:29015C)」の中で実施しました。

初掲載:令和3年6月
農林総合研究センター
花植木研究室
上席研究員金子洋平
電話043-291-0151

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

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