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更新日:令和6(2024)年1月4日

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農場HACCPの活用で従業員のモチベーションアップ!

1.農場HACCPとは

畜産物の安全性を向上させるためには、個々の畜産農場における衛生管理を向上させ、農場から消費者までの一貫した衛生管理を行うことが重要です。

農場HACCPは、畜産農場における衛生管理を向上させるため、農場管理にHACCP(※)の考え方を採り入れ、危害要因(微生物、化学物質、異物など)を防止するための管理ポイントを設定し、継続的に監視・記録を行うことにより、農場段階で危害要因をコントロールする手法です。

※HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)とは、最終製品の抜取り検査に加え、原料の入荷から製造・出荷までの全ての工程において、
(ア)あらかじめ危害を予測し、
(イ)その危害を防止するための重要管理点を特定して、
(ウ)そのポイントを継続的に監視・記録し、
(エ)異常が認められたらすぐに対策を取り解決することにより、不良製品の出荷を未然に防ぐ衛生管理の手法。

引用:農林水産省「家畜の生産段階における飼養衛生管理の向上について(農場HACCP等)」

2.農場HACCPを活用した酪農経営の事例紹介

今回は、2016年8月に県内の認証取得第1号となった皆川牧場の事例を通して、農場HACCPの活用効果を紹介します。

皆川牧場(写真1)

経営概要(2020年12月現在)
搾乳牛150頭、乾乳牛20頭、育成牛50頭、肉用子牛8頭
雇用 外国人技能実習生4名、パート若干名

写真1.皆川牧場のエントランス。農業HACCP認証取得の看板が設置されている。

(1)農場HACCP導入の動機

将来、自家生乳を使用したチーズを生産し、地域の方に直接味わってもらう夢があり、その際に農場HACCP認証を取得していることが衛生的な牛乳である証しとなり付加価値に繋がると思ったから。

(2)農場HACCP認証取得に向けて重点を置いて整理・改善したこと

  • 搾乳から生乳の出荷、各ステージの育成牛の管理・治療など生乳生産に関わる全ての工程を見直し、作業手順を文章化やフローチャート化しました。
  • 従業員が事故なく誰でも作業できるように、作業体制や仕事内容を徹底的に見直しました。
  • 従業員と落ち着いて話し合えるように、プレハブのミーティングルームを整備しました。

(3)農場HACCP導入による従業員とのコミュニケーション不足の解消とその効果

  • 工程毎に作業手順や頻度を定めたことで、従業員が指示を待たずに自分の判断で主体的に作業が出来るようになりました。
  • 終業時、ミーティングルームで業務報告や明日の注意事項の確認を従業員全員で行うようにした結果、互いの作業の理解が深まり、次の日の作業の初動も早くなりました。
  • ミスが起きた後、その対策を従業員全員で考えて改善策を決定することで、同じミスの発生が殆どなくなりました。(写真2、3)

写真2.ミス防止のための搾乳前確認点の掲示

画像をクリックすると拡大表示します(PNG:209.6KB)

写真3.搾乳作業時チェックシート

  • 理解しにくい作業について講習会を開催し、従業員のスキルアップに繋がりました。(写真4)

写真4.共済獣医師を講師に分娩解除の手順を習得

  • 従業員は、自分たちの考えた改善方法により成果が上がることで、仕事へのモチベーションが高まりました。加えて、生乳出荷量が年々増加しています。

3.まとめ

農場HACCPに取り組むことで、衛生的で安全な生産物を消費者に提供できるだけでなく、作業手順の見直しやマニュアル化、危機管理を経営主と従業員が一体となって取り組めるようになります。従業員一人ひとりの意見が日々の業務に反映されることで、仕事のやりがいは向上し、人も牛も快適な農場経営が実現できます。

初掲載:令和3年1月
東葛飾農業事務所
改良普及課
普及指導員佐野実乃里
電話:04-7162-6151

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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