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更新日:令和3(2021)年6月8日

ページ番号:441795

酪農における飼料用米利用でコスト低減

飼料コスト低減の取組みとして、稲WCSや飼料用米などの自給飼料が利用されています。しかし、牛に飼料用米を給与するには、玄米は消化性が低く、粉砕や圧ぺん等、加工処理をする必要があります。労力がかかる為、利用している酪農家は多くはありませんが、うまく活用することができれば、飼料コスト軽減につながります。

今回は、飼料用米を酪農家自身で粉砕処理して給与している事例を調査しましたので、紹介します。

1.作業の流れ(粉砕から給与まで)

調査農家は、搾乳牛70頭を飼養しており、1頭あたりの1日の飼料用米の給与量は、3キログラムであり、1日に240キログラムを利用しています。また、導入されている粉砕機は処理能力が小さい低価格なもの(約25万円程度)で、毎搾乳前におおよそ100キログラムを約1時間かけて粉砕処理をしています。

搾乳作業前に、フレコンバックから取り出した玄米を粉砕機で処理をしておきます。次に粉砕処理した玄米と圧片大麦、綿実を給餌車の中で混ぜます。これを搾乳後に、配合飼料とともに搾乳牛に給与しています。

写真1飼料用米の粉砕機で100キログラムを4回に分けて処理

写真1 100キログラムを4回に分けて処理 

 

2.飼料費の試算

調査農家では、大麦の代替として飼料用米を利用しており、以前は、1日1頭当たり、大麦4キログラム給与していたものを、大麦1キログラム+飼料用米3キログラムに変更した結果、搾乳牛70頭で年間約184万円の飼料費削減になりました。(表1)

表1 飼料費比較
区分 変更前 変更後
1頭/日 大麦4キログラム 176円 大麦1キログラム+飼料用米3キログラム 104円 72円
70頭/日 大麦280キログラム 12,320円

大麦70キログラム+飼料用米210キログラム

7,280円 5,040円
70頭/年 大麦102.2トン 4,496,800円 大麦25.55トン+飼料用米76.65トン 2,657,200円 1,839,600円

3.耕畜連携の取組

調査農家では、町内の飼料用米を使っており、耕種農家も利用者の顔がわかることで安心して飼料用米を生産できています。また、飼料用米は乾燥調製時期を主食用米とずらすことができることから、耕畜連携を通じた水田の維持管理にも役立っています。

飼料用米については、町内の2つの営農組合組織から年間約70トンを購入しており、これを面積に換算すると約13ヘクタールとなり、1頭当たり約18.5アール分が給与されています。このことから、1戸の酪農家でかなりの面積の水田有効活用に貢献していることがわかります。

4.酪農での飼料用米給与について

給与上の問題点としては、多給しすぎると乳牛ではルーメンの異常発酵や無脂固形分率の低下の恐れがあります。また、1年を通して利用するには、長期的に保管できる場所の確保やカビの混入に注意する必要があります。

家族経営が多い中小規模の酪農家が、飼料用米を利用するためには、玄米粉砕処理、飼料用米の保管場所、保管方法などの課題があります。今回の調査農家では、常時雇用が4名と労働力があることや、農場内にフレコンバックの保管場所があり、作業動線も良いことから、飼料用米を上手く活用することができています。また、保管方法についても、水分を14パーセントにして乾燥させてカビ防止の工夫をされています。このように、うまく課題をクリアすることができれば、飼料用米を利用した飼料費低減が期待できます。

 

初掲載:令和3年6月

長生農業事務所
改良普及課
普及指導員 吉田早希
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