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更新日:令和2(2020)年2月1日

中・小型植木の接ぎ木技術の開発–輸出用イヌマキの接ぎ木手法について-

1.はじめに

EU諸国や中国における日本庭園ブームを受けて、植木・盆栽類の輸出が増えています。イヌマキは、中国では羅漢松と呼ばれ、幸福・繁栄を呼ぶ樹として知られており、輸出用植木類の主力品目ですが、輸出には枝ぶりの良いものが求められます。そこで、イヌマキの枝ぶりを改善するために、盆栽類で用いられている腹接ぎ、呼び接ぎをイヌマキに用いた際の接ぎ木の適期及び取り木の時期についてご紹介します。

2.イヌマキの腹接ぎと接ぎ木適期

腹接ぎは、穂木を台木の幹側面に接ぎ木する方法です(写真1)。枝を着けたい場所に短時間で多数の穂木を接ぐことができます。

写真1左小

穂木の葉を摘除し調整

写真1右小

腹接ぎした状態

 

写真1.腹接ぎの接ぎ木方法

  • 注1)穂木は母樹から新梢を含む枝を採穂後、葉を摘除し枝基部をななめに切り戻し、長さ4cm程度に調製する(写真左)、調製後は接ぎ木前に約4時間程度水揚げする
  • 2)台木に切り込みを入れ穂木を挿し込んで養生テープで密着させる(写真右)
  • 3)穂木が活着すると切れ込みは樹皮に覆われて回復し、穂木が伸長する

3月にイヌマキの新梢を採穂し、長さ4cm程度に調製し3月、4月、6月、7月に接ぎ木を行うと高い活着率が得られます(図1)。

図1

図1.腹接ぎの接ぎ木時期の違いと活着率

注1)穂木:穂木長4cm、枝径3mm、台木:樹高250cm、幹径3~4cm

2)接ぎ木日平成27年:4月21日、5月22日、6月19、22日、7月29、30日、8月21、27日、平成28年:3月18日、4月19日、5月19日、6月15日、7月28日、8月18日、平成29年:3月29日、4月19日、5月19日、7月6日

3.イヌマキの呼び接ぎと接ぎ木適期

呼び接ぎは鉢植えの苗木を穂木として台木の樹幹に接ぎ、穂木の活着後に根鉢を切り離す技術で(写真2)、腹接ぎで穂木が枯死しやすい樹種の接ぎ木に用います。

写真2左小

台木に溝を作る

写真2中小

穂木の削った部分と台木の溝を接合

写真2右小

活着後の穂木

写真2.呼び接ぎの接ぎ木方法

  • 注1)台木に溝を作り(写真左)、根鉢を付けたままの穂木を台木の溝の形状に合わせ3cm程度削る
  • 2)台木の溝と根鉢を付けたままの穂木の削った部分を合わせ動かないように釘で打ち付けた後ビニールテープで固定し、根鉢が落ちないよう支柱やロープで固定する(写真中)
  • 3)穂木の活着後根鉢を切り離す(写真右)

3~8月に樹高40cm程度のイヌマキ苗木を台木に接ぎ木し、根鉢を9月以降に切り離すと安定して活着します(表1)。また、呼び接ぎは接ぎ木時期が早いほど穂木の伸長量が大きくなる傾向があるため(データ省略)、3~4月に接ぎ木し、9月以降に根鉢を切り離すことが望ましいです。

表1.呼び接ぎの接ぎ木時期及び根鉢切り離し時期と穂木の活着数表1-1

  • 注1)穂木:4号ポット・樹高40cm、幹径4mmから6mm
    台木:樹高250cm、幹径4cm
  • 2)穂木の活着数:調査時点(12月15日)で生育していた穂木数
    供試穂木数:4本
  • 3)表中の影は根鉢の切り離し時期が平成29年9月11日以降であることを示す
  • 4)-:試験実施無し

4.イヌマキの取り木技術

取り木は樹木の幹を環状剥皮し、ミズゴケで包んで養生することで剥皮部分から発根させ、幹を切断・鉢上げ(取り木)する技術で(写真3)、枝ぶりの悪い造形樹であっても枝ぶりの良い部分だけを取り木することによって再利用できます。

写真3左小

環状剥皮した幹

写真3中小

剥皮部をミズコケで保湿

写真3右小

剥皮部からの発根

写真3.イヌマキの環状剥皮及び取り木・鉢上げ方法

  • 注1)取り木・鉢上げしたいイヌマキの幹に、幹径と同程度の幅の表皮を環状剥皮する(写真左)
  • 2)剥皮後、黒ポリポットに水で湿らせたミズゴケを入れ(写真中央)、ビニール袋で根鉢が乾かないように密閉する
  • 3)十分に発根が確認されたら(写真右)発根部分直下で切り離しやすい部分を切り離しミズゴケごと鉢上げする

3、4月にイヌマキの主幹を木部が露出するまで環状剥皮し、9月以降に取り木すると、鉢上げ時の発根本数が多くその後健全に生育します(表2)。

表2.環状剥皮時期及び取り木・鉢上げ時期と発根本数、鉢上げ後の障害程度表2-1

  • 注1)台木:樹高200cm、幹径4cm
  • 2)調査日:平成30年1月19日
  • 3)障害程度:葉身の枯死の程度を0(障害なし)~10(枯死)とした
  • 4)-:試験実施無し

5.おわりに

接ぎ木や取り木は、養生期間中に接合部が乾燥すると活着や発根ができず枯死します。接ぎ木後は接合部を養生テープ等で密着させ、呼び接ぎや取り木は環状剥皮後、鉢が乾かないようかん水します。

初掲載:令和2年2月

農林総合研究センター

花植木研究室

研究員下江憲

電話:043-291-9988

 

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所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

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