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更新日:令和8(2026)年4月6日
ページ番号:842001
千葉県のビワは南房総地域を中心に栽培され、「房州びわ」(平成19年に地域団体商標に登録)として、春から初夏に出荷される特産品です。ビワは、花や果実が寒害を受けやすい作物です。初冬に花を着けて結実し、寒さに弱い幼果のステージで厳寒期を過ごします。この幼果が低温に遭遇すると、胚が凍死する寒害が起こり、果実が肥大しなくなります(写真右)。そのため、冷気の溜まりにくい急傾斜地で栽培されていますが、作業性が悪いことが長年の課題となっています。一方、産地では、地球温暖化の影響と思われる近年の暖冬傾向により、作業性の良い平坦地での栽培が期待されています。しかし、現地ほ場の実際の気温等に基づいた具体的な将来予測はこれまで行われていませんでした。
そこで、主要品種「大房(おおぶさ)」を対象に、現地ほ場における冬季の気温および寒害の実態を調査し、寒害に遭うリスクを示した栽培適地マップと将来予測マップを作成したのでご紹介します。

図1.ビワ幼果の正常果(左)と胚が凍死した寒害果(右)
2018年度から2022年度の12月中旬から3月中旬にかけて、南房総地域の様々な地形のほ場に温度計を設置し、各ほ場の気温及び地形データを収集しました。
最低気温と各地形データを解析し、厳寒期の最低気温の推定に適した「標高」と「海からの距離」を利用するモデルを作成しました。このモデルと館山アメダスの観測値を利用することで、南房総地域のほ場ごとの最低気温を推定することが可能となりました。
また、温度計を設置したほ場の一部から、袋かけ期の3月に「大房」幼果を採集し、寒害の発生を調査しました。
ほ場の最低気温とあわせて解析した結果、幼果の寒害発生率が2割を超え、経済的被害となる寒害発生気温を-4.02度と推定しました。
作成した冬季最低気温推定モデルを用いて、2022年度以前の過去20年間の南房総地域の最低気温を推定しました。その推定値を、-4.02度の遭遇年数で色分けし、栽培適地マップを作成しました(図左)。20年間のうち、-4.02度に遭遇した年数が2年以内であれば適地、3から7年を準適地、8年以上を不適地としました。
さらに、温暖化の進行を想定し、農研機構メッシュ農業気象データ気候変化シナリオ(RCP8.5、日最低気温が0.51度上昇)を基に、2041から2050年度の栽培適地将来予測マップを作成しました(図右)。ビワを新植し、成木になる頃の栽培適地を予測することができます。この地図を見比べると、緑色で示した栽培適地が増えていることが分かります。

図2.ビワ「大房」栽培適地マップ(左:現状、右:将来2041から2050年度)
注)国土地理院タイルに重ねて表示
本マップは、新たにビワを植えるほ場選定の目安としてご活用ください。
なお、ほ場レベルでより詳細なデータを見たい場合など、マップに関するお問い合わせは、農林総合研究センター暖地園芸研究所特産果樹研究室までお願いします。試験研究成果普及情報(PDF:1,359.5KB)も併せてご覧ください。
試験研究成果普及情報
ビワ「大房」の栽培適地判定マップの開発に関する内容です。
要約文
南房総地域におけるビワ「大房」に発生する寒害リスクを評価した栽培適地判 定マップを開発しました。各地点の期間中最低気温を館山アメダスの観測値及び地形データから推定し、寒害発生推定気温マイナス4.02度に過去遭遇した年の発生頻度からリスクを分類 しました。将来の日最低気温の上昇により、寒害リスクの低い栽培適地の拡大が予測されます。
初掲載:令和7年10月
農林総合研究センター暖地園芸研究所
特産果樹研究室
研究員:横山 瑛
電話番号:0470-22-2961
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対応、情報提供させていただいております。
農業を職業とされる方向け技術のため、家庭菜園向けの技術については、対応に不向きなものもあるため、
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また千葉県外の方は、地域事情に合わせた技術情報が得られますので、各都道府県の普及指導センター等へ
お問い合わせください。→各都道府県の普及指導センター(一般社団法人全国農業改良普及支援協会ホームページ)![]()
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