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更新日:令和元(2019)年11月1日

光をうまく利用して開花調節!-LEDを用いた鉢物カーネーションの低コスト栽培法-

1.はじめに

鉢物カーネーションは、「母の日」の定番品目として千葉県内でも多く生産されています。しかし、「母の日」に合わせて出荷を行うには、10月下旬から5月まで長期間暖房を行う必要があり燃料コストが多くかかります。そこで、LED照明を用いて低コストに栽培する技術を開発したので紹介します。

2.LED照明に対する鉢物カーネーションの開花・生育反応

(1)LED照明の特性

植物は照射される光の波長が異なると開花や生育の反応が変化します。LED照明は、従来の白熱灯や蛍光灯に比べ照射される波長域が狭いという特徴があります。そこで、鉢物カーネーションの生育に及ぼす光の波長の影響について検討しました。

(2)波長の違いが開花及び生育に及ぼす影響

多くの植物で開花に影響を及ぼすことが報告されている赤色光(ピーク波長620~630nm)と遠赤色光(ピーク波長730~740nm)のLED照明を1月中旬から開花まで終夜使用した結果、両LED区共に無処理区より1週間程度早期に開花しました。一方で、草丈は赤色LED区と無処理区は同程度でしたが、遠赤色LED区は無処理より高く、徒長した草姿となり品質が低下する傾向がみられました。したがって、赤色LEDの方が開花促進の光源として適していると考えられました。

(3)赤色LEDと家庭用電球色LEDの比較

鉢物カーネーションの開花促進と草姿の維持には赤色LEDが有効ですが、赤色LEDは高価で、一般に普及していません。そこで家庭用の照明等に用いられる電球色と呼ばれるLED照明には赤色の波長が多く含まれることに着目し、電球色LED(LDA8L-G東芝製8W)の開花促進効果を検討しました。その結果、電球色LEDによる開花促進効果は赤色LEDと同等以上であることが複数の品種で明らかとなりました。

3.低温度管理下における電球色LEDの効果

品種「シャンテリー」(雪印種苗(株))を用いて、1月中旬から慣行より3℃低い9℃で加温し、開花まで電球色LEDを終夜使用し、開花促進効果を検討しました。その結果、9℃加温栽培でも慣行の12℃加温栽培と同時期の5月上旬に開花しました。一方で、開花まで継続して照射すると、二次側枝が減少し、株のボリューム不足となり、品質が低下しました。そこで使用期間を検討した結果、1月中旬から2月中旬までに短縮しても、ボリュームを維持したまま、慣行の12℃加温栽培と同時期に開花させることができました。しかし、品種によっては9℃加温栽培では開花がやや遅延する年もありました。そこで、暖房温度を9℃から10℃に上げ、複数品種で調査を行いました。その結果、「エクレア」、「チアフル」、「マハロ」、「ミアモーレ」、「レジーナ」(雪印種苗(株))及び「オレンジドレス」、「グランルージュ」、「クレア」(ジャパンアグリバイオ(株))の8品種で、10℃加温栽培で電球色LEDを鉢表面から80cmの高さに設置し1月中旬から2月中旬に照射すると、光源直下から1m以内の株は慣行と同時期に開花させ、株のボリューム低下も回避できることが明らかとなりました(表1、写真1)。また、「エクレア」では花蕾数が1割以上増加することが明らかとなりました。

 

表1.加温温度及び光源距離の違いが「エクレア」の開花及び生育に及ぼす影響

表1

注1)加温温度:平成28年10月7日~平成29年1月12日;15℃

注2)加温温度:平成29年1月12日~開花まで;12℃

注3)電球色LED照射は鉢表面から高さ80cmに設置し、平成29年1月12日~2月13日に終夜照射した

注4)耕種概要:3号ポット鉢上げ;平成28年10月7日、5号ポット鉢替え;12月7日


写真1LEDの有無及び距離の影響

写真1.LEDの有無と光源直下からの距離の影響(品種「エクレア」)

4.LED照明導入コスト

10アール当たりのLED設備の導入費は約115万円、1月中旬から約1か月間使用したときの電気代は年間18,480円と試算しました。一方、LED区の光熱費は加温温度を2℃下げたことで燃料代が慣行の64%に削減されました。設備を10年間で償却すると仮定し、10年間の導入コストを10℃加温・LED区と慣行で比較すると、10年当たりの光熱費の総費用でも慣行栽培に比べ約13%削減でき、低コスト栽培となることが明らかとなりました(表2)。

表2.LED使用による10アール、10年間当たりの導入コストの試算

表2

注1)10アールあたり年間燃料消費量は10℃加温:5.5キロリットル、12℃加温:8.6キロリットルで試算(加温:10月下旬から1月中旬まで15℃、1月中旬から開花までLED区は10℃、慣行区は12℃)

注2)燃料代はA重油1リットル当たり70円で試算

注3)電気代は電球色LED(LDA8L-G東芝製8W)を2m間隔で設置(10アール当たり250個)し、1日14時間照射を年30日とした(電力額は1kw当たり22円で試算)

5.おわりに

10月上旬の鉢上げから1月中旬までは15℃加温で管理し、その後は慣行よりも2℃下げて10℃加温とし、1月中旬から2月中旬まで電球色LEDを終夜照射することで、慣行と同程度の品質で同時期に開花させ、光熱費を1割以上削減できることが明らかとなりました。なお今回紹介した技術は、品種間差があるため掲載品種以外で利用する際は、事前にLED照射及び低温下での生育を確認した上で行って下さい。

初掲載:令和元年11月1日

農林総合研究センター

花植木研究室

主任上席研究員

市東豊弘

電話043-291-9988

 

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