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更新日:令和3(2021)年12月2日

ページ番号:7455

ジャンボタニシの生態と防除のポイント

九十九里沿岸地域を中心に水稲栽培に影響を与えているジャンボタニシ(和名:スクミリンゴガイ)の対策と、対策を考える上で重要となる生態を解説します。

1.生態

乾燥に強く、寒さに弱い特性があります。単なる乾燥条件では半年以上生存することもありますが、マイナス3度では2日以内に多くの個体が死んでしまうと言われます。寒さをしのぐため、多くの貝は土に浅く潜って越冬します。落ち葉や泥の溜まった水路、稲刈り後から翌年の春まで耕うんしない水田は、貝が土に潜って寒さをしのぐのに適した場所となります。越冬した貝は、田植えの準備が始まる頃に土から出て活動を始めます。

田植え直後に食害を引き起こすのは、その水田内で越冬した貝か、水路等の別の場所で越冬し、春に水田内に侵入した貝と考えられます。これら越冬貝はやがて交尾をして産卵します。卵から生まれた貝が成熟するまでの期間を考えると、春から初夏にかけて盛んに交尾・産卵を行っているのは、前年からの越冬貝がほとんどと考えられます。これらの卵からかえった稚貝が秋までに成長し、越冬してしまうと、それらが翌年の春に食害、産卵することになります。

2.対策

本田と用排水を行き来するジャンボタニシの対策には、(1)個人単位で行う本田での密度の低下、(2)地区単位で行う用排水路での密度低下の2つに分けられます。

(1)個人単位で行う本田での密度の低下

(1)越冬貝を減らす(収穫直後と厳冬期(1から2月)の耕うん)

貝は深さ6センチメートル以上の深さには潜らないので、ロータリーをかけ、回転数を高めて作業速度はゆっくり耕うんします。貝を破砕するとともに、土をかき混ぜて貝を寒気に当てることで個体数を減らします。

(2)本田に貝を侵入させない

ほ場の周囲を観察して侵入経路を特定し、侵入防止を図ります。水口や水尻から侵入するケースが多いです。侵入口にネット(5から10ミリメートル目合)を設置するなどして、本田への侵入を防止します。

(3)貝に稲を食べさせない

食害は移植直後の柔らかい苗に多く、また水深が深いところで多くなります。移植後2週間から3週間は浅水(水深4センチメートル以下)で管理しましょう。また、例年食害が多い水田は、薬剤防除を移植後すぐに行います。

(2)地区単位で行う用排水路での密度の低下

地域全体でジャンボタニシの数を減らしていくには、その地区の皆さんで協力して、継続的に活動する必要があります。地域内の隅々まで何らかの対策をするのは大変な労力ですが、まずは地域内の見回りをし、越冬や繁殖を助長しているところ(泥や落ち葉がよどんでいる水路など)の対策から優先的に始めてはいかがでしょうか。

(1)冬季に水路の泥上げ

泥を水路外に出して乾かすことで、寒さによる殺貝、加えて水流の改善により、貝密度の抑制が見込めます。翌年に大きな食害を引き起こし、長期間にわたって産卵を行う越冬貝を減らすことは、現時点で確立しているジャンボタニシ対策の中では重要です。

(2)卵塊を払い落とす、つぶす

水路壁面の卵を物理的に取り除きます。産み付けられて数日以内の柔らかい卵は、水中に払い落とすことで窒息しますが、孵化が近づいた白くて固い卵塊は、つぶしてしまうのが確実な方法です。払い落としには細長い板や、長いヘラ状のものがあると便利です。ジャンボタニシが侵入して間もない地区では、繁殖抑制の効果が見えやすいです。

 

卵塊払い落しの様子

写真_卵塊払い落としの様子

初掲載:平成30年10月

海匝農業事務所改良普及課

普及指導員

阿部倉緑

電話:0479-62-0334

 

 

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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