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更新日:平成29(2017)年9月22日

温水点滴処理と土壌還元処理を組み合わせてナシの改植時に白紋羽病をしっかり防除!

1.はじめに

土壌病害であるナシ白紋羽病の発病跡地では、改植後も苗木の生育不良や枯死が問題となっていることから、新たな対策が求められています。

白紋羽病対策としては、50℃の温水を点滴し、地温を白紋羽病菌が死滅する35~45℃に維持する「温水治療技術」((独)農研機構果樹研究所、白紋羽病温水治療マニュアル、2013年)が確立されていますが、改植時期の秋冬期には、地温維持が困難なことから、効果が十分ではない可能性がありました。また、施設野菜等では土壌病害の消毒法として「低濃度エタノールによる土壌還元消毒法」が確立されており、白紋羽病防除への利用も考えられますが、こちらは30℃を目安とする地温が必要なため、秋冬期の露地では消毒効果が得られないことが懸念されます。

そこで、温水処理と低濃度エタノールによる土壌還元処理を組み合わせることにより、黒ボク土のナシ園において秋冬期に実施できる新たな消毒法を開発したので、その処理方法と効果を紹介します。

2.具体的な処理方法

処理方法を図1に示します。10~11月に白紋羽病発病樹を抜根し、根を取り除きます。その際、抜根箇所を中心に縦1.5メートル、横1.5メートル、深さ0.5メートルの範囲(処理区画)をバックホー等で掘り起こし土を柔らかい状態にしておきます。温水点滴処理機のボイラーと付属の点滴潅水チューブの間に液肥混入器(ドサトロン等)を設置し、65%エタノール水溶液(土壌還元消毒用資材エコロジアール)をエタノール濃度が1%になるように50℃の温水で希釈し、処理区画内に800リットル点滴処理します。空気を遮断し、温水熱を維持するために農ポリ及び内張り用保温資材(エコポカプチ等)を重ねて処理区画を被覆し、被覆資材の端は全て地面に埋め込みます。土が還元状態のままでは苗木が育たないので、1か月後に被覆をはがして表面を耕起し、空気を入れることによって還元状態を解消します。苗木の定植は、被覆をはがしてから2週間後に行います。なお、1樹当たりのコストは、温水点滴処理にかかる費用(約600円)と65%エタノール水溶液(12.3リットル)の費用(約2,300円)により、合計約2,900円です。

 

消毒法の処理方法

図1.温水点滴処理と低濃度エタノールによる土壌還元処理を組み合わせた白紋羽病発病跡地消毒法の処理手順

3.温水点滴処理と低濃度エタノールによる土壌還元処理を組み合わせた発病跡地消毒法の効果

白紋羽病発病跡地において10~11月に、本消毒法(以下、温水+エタノール処理と呼ぶ)と50℃の温水点滴処理(温水処理のみ)、化学農薬処理(定植時にフロンサイドSC500倍希釈液を土壌灌注)をそれぞれ行い、苗木を定植した場合、温水+エタノール処理後に定植した苗木の1年目の生育が良好でした(図2)。また、定植2年後に地下部を掘り上げ、白紋羽病感染率と枯死率を調査したところ、温水+エタノール処理後に定植した苗木の感染率が最も低く、枯死した苗木はありませんでした(図3)。

新梢総伸長量

図2.白紋羽発病跡地において各処理後に定植したナシ苗木の1年後の新梢総伸長量

  • 注1)10月中旬~11月中旬に各処理を行った後、12月にナシ(品種:幸水)の1年生苗木を定植し、翌年11月に調査した(11反復)。
  • 注2)化学農薬は、フルアジナム水和剤(フロンサイドSC)500倍液を定植時に処理した。

白紋羽病感染率及び枯死率

図3.白紋羽病発病跡地において各処理後に定植したナシ苗木の2年後の白紋羽病感染率及び枯死率

  • 注1)10月中旬~11月中旬に各処理を行った後、12月にナシ(品種:幸水)の1年生苗木を定植し、感染率及び枯死率の調査は処理2年後の10月に調査した(11反復)。
  • 注2)化学農薬は、フルアジナム水和剤(フロンサイドSC)500倍液を定植時に処理した。

4.おわりに

以上のように、改植時期の秋冬期においても実施できる温水点滴処理と低濃度エタノールによる土壌還元処理を組み合わせた白紋羽病発病跡地の消毒法を開発しました。この方法で消毒した後に定植した苗木の生育は良好でしたが、残念ながら一部の苗木で白紋羽病の感染が認められ、この消毒法だけでは長期間発病を抑えることはできないと思われました。このことから、改植後は、白紋羽病の診断技術である「枝挿入法」((独)農研機構果樹研究所、白紋羽病温水治療マニュアル、2013年)等により発病の有無を毎年観察し、発病が認められた場合には、温水治療技術、化学農薬等による防除を行う必要があります。

初掲載:平成29年9月

農林総合研究センター

生物工学研究室

研究員

髙橋真秀

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