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更新日:令和2(2020)年12月22日

ページ番号:7421

茎葉型イネWCSの飼料特性について

稲発酵粗飼料(以下、イネWCS)は、水田を有効に活用して生産できる良質な飼料として、飼料自給率を向上させる上で重要な作物となっています。

しかし、イネの籾は牛の消化性が悪く、また、茎葉部の糖含量が低く良好なサイレージ発酵がしにくいことが問題でした。

このような中、専用品種の改良が進み、従来品種と比べ籾の割合が低く、茎葉部の糖含量と繊維の消化性が高い特徴を持つ「たちすずか」や「たちあやか」などの品種が育成されており、ここでは「たちすずか」について、その飼料特性を検討するため搾乳牛(泌乳中後期牛)に給与した結果についてご紹介します。

1試験方法

飼養試験は、ホルスタイン種初産搾乳牛6頭を2頭ずつの3区に分け、たちすずか、リーフスターおよび食用品種のイネWCSをそれぞれ乾物として25%含む3種類の混合飼料(表1)を順次給与する3×3のラテン方格法で行いました。

供試したイネWCSは、いずれも汎用型収穫機を用いて県内で収穫調製されたもので、それぞれの収穫日は、たちすずかは平成27年10月23日、リーフスターは10月9日~10月25日、食用品種は7月26日~7月30日で、熟期はたちすずかおよびリーフスターは糊熟期から黄熟期、食用品種は乳熟期でした。

混合飼料

 

2試験結果

(1)イネWCSの成分および発酵品質について

給与したイネWCSのNDFとデンプンの含量(乾物%)は、たちすずか(NDF:54.0、デンプン:13.6)、リーフスター(53.7、16.6)、食用品種(59.5、12.1)となり、NDFは食用品種、デンプンはリーフスターがやや高くなりました(表2)。発酵品質(pH、Vスコア)は、それぞれたちすずか(3.8、94.5)、リーフスター(3.8、94.9)、食用品種(4.0、77.8)となり、食用品種でpHが高く、Vスコアが低い傾向を示しました。(表2)。

成分及び発酵品質

(2)飼料摂取量および乳生産性について

飼料摂取量(乾物キログラム)は、たちすずか区22.0、リーフスター区22.0、食用品種区21.4となり、乳生産についても、乳量(キログラム)、乳脂率(%)、乳蛋白率(%)がそれぞれたちすずか区(26.9、4.07、3.42)、リーフスター区(26.1、4.15、3.45)、食用品種区(25.4、4.05、3.47)となり差はありませんでした。

(3)第一胃内容液および血液性状について

第一胃内容液性状は、経口で採取した胃液のpHはそれぞれ6.5前後となり、発酵産物である揮発性脂肪酸の組成にも差はありませんでした。

血液性状については、測定したすべての項目で正常値の範囲内にあり区間に差も見られませんでしたが、尿素窒素(デシリッター中のミリグラム)がたちすずか区19.9、リーフスター区19.5、食用品種区18.7となり3区ともやや高い値を示しました。

(4)飼料の消化率について

乾物、NDF、ADFの消化率に差はありませんでしたが、デンプンの消化率がたちすずか区で他の区に比べ高い値を示しました(P<0.01)(表3)。

飼料の物理性の指標となるRVI(粗飼料評価指数)は、たちすずか区37.6、リーフスター区36.6、食用品種区35.3となり、反芻刺激効果は同等でした。

飼料の消化率

 

3まとめ

今回の試験では、たちすずか、リーフスターおよび食用品種のイネWCSを乾物中に25%含む混合飼料を泌乳中後期牛に給与しましたが、飼料摂取量、乳生産性には差がなく、血液・胃液性状も正常値の範囲内にあったことから泌乳中後期牛に給与する飼料に25%(乾物)程度のイネWCSを混合しても問題がないことがわかりました。

一方、発酵品質では、食用品種のpHが高くVスコアも低い値を示しましたが、これは乳熟期に収穫したことで水分が高かったことが影響したと考えられました。

次に、飼料の消化性では、たちすずかのデンプン消化性が他の品種よりも高い値を示しましたが、これはたちすずかのデンプンが籾ではなく茎葉中に蓄積されていることによる影響と考えられました。しかしながら、繊維(NDF)の消化性については、今回の試験では3品種に差はなく、今後さらに検討が必要と考えられました。

今回の試験では、泌乳中後期の第一胃内発酵が安定した泌乳牛により飼養試験を行いましたが、その後、エネルギー要求量が高く第一胃内発酵が不安定な時期にある泌乳前期牛を用いて、たちすずかの給与試験を実施しました。

なお、本試験は農林水産省の委託を受けて(国)農研機構畜産研究部門が中核機関となり共同研究として実施しました。

 

初掲載:平成29年11月

畜産総合研究センター乳牛肉牛研究室

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犬飼愛

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