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更新日:令和5(2023)年12月7日

ページ番号:7420

飼料用麦の栽培・収穫事例紹介

~汎用型飼料収穫機は、飼料用麦の収穫にも使えます!~

1.はじめに

株式会社タカキタ製の汎用型飼料収穫機は1台で刈取からロールベールまで行えるため、省力的であり、飼料用とうもろこしサイレージの収穫によく利用されています。この時に使用する長大作物用のアタッチメントを用いた飼料用麦サイレージ収穫の事例がありますのでご紹介します。

2.背景

袖ケ浦市は酪農と野菜の生産が盛んであり、酪農家とだいこん農家が耕畜連携し、自給飼料の飼料用麦に取り組んでいる事例があります。これは、酪農家にとっては自給飼料と牛糞堆肥の行き先確保ができること、だいこん農家にとっては飼料用麦を作付する前に牛糞堆肥を施用することで、連作による地力低下を防止できるというメリットがあります。

3.飼料用麦について

(1)栽培スケジュール

平成28年~29年に行った飼料用麦の栽培スケジュールは図1のとおりです。播種はだいこん農家が、収穫は酪農家が行いました。

栽培スケジュール

図1.飼料用麦栽培スケジュール

(2)品種選定

平成27~28年はえん麦でしたが、H28~29年は耐倒伏性を重視し、飼料用のライ小麦(ライコッコIII)、ライ麦(春一番)を用いました。草丈が伸びすぎると倒伏しやすくなるため、丈は短め、茎は太めの品種を選定しています。収穫時にはライ小麦は約70~80センチメートル(写真1)、ライ麦は約120~130センチメートルになりました。

(3)播種

播種に関しては、播種機で条播きするのがおすすめです(写真2)。省力的かつ播種密度が一定なので、バラまきよりも収穫時に詰まりにくいという利点があります。播種量は10アール当たり7~8キログラムが目安です。

(4)除草剤と収穫時期

今回使った飼料用麦に登録のある除草剤がなく、またコストもかかるため、無農薬で栽培しました。

収穫は、栄養価・嗜好性の高い出穂初期に行います。この事例では、梅雨を避けるため例年5月下旬頃となります。

ライ小麦

写真1.ライ小麦

播種密度

写真2.播種密度は一定にしましょう

4.飼料用麦の収穫

(1)収穫機のアタッチメント

マルチヘッダアタッチ(写真3)を用います。このアタッチメントは、トウモロコシ・ソルガム等の長大作物、飼料稲、飼料麦用とされており、作業幅は約180センチメートルです。

(2)収穫時の注意

飼料用麦は飼料用とうもろこしと比べて茎が柔らかいため、収穫機の中で細断されにくく、詰まりやすいという注意点があります。そのため、収穫時のコツとしては、1.収穫機をゆっくりめに走らせる(エンジン音の調子から、詰まりそうだと感じたらスピードを下げる)、2.作業幅いっぱいに草を刈り取るのではなく、作業幅の6~8割くらいに調整しながら刈り取る(写真4)、3.草丈が高くて詰まりやすいと感じたら、刈高を高めに調整する、4.草が倒れている場合は、倒れている方向に向かってではなく、さらに倒すような向きで刈り取ること(図2)などが大事なポイントです。

今年は水分約75%のロールが10アール当たり6~7個(1ロール当たり350~400キログラム)収穫できました。

収穫機

写真3.汎用型収穫機とマルチヘッダアタッチ

作業幅

写真4.作業幅に余裕を持たせる

刈り取り方向

図2.倒伏時の刈取方向

5.今後に向けて

今回はライ小麦とライ麦を使用しましたが、ライ麦は草丈が伸びてしまい、やや倒伏もみられ、刈りづらさを感じました。来年に向けては草丈が短めのライ小麦の作付を検討しています。

6.おわりに

この事例では酪農家とだいこん農家の連携で飼料用麦を栽培していますが、今年のだいこんも例年どおりの品質・収量が確保でき、牛糞堆肥による地力の維持効果を実感しているところです。

汎用型飼料収穫機は飼料用とうもろこしだけでなく、飼料用麦など牧草の収穫にも有効な機械です。また、飼料用麦は5月下旬頃に収穫する場合、天候が比較的安定しており、夏の猛暑時に作業せずに済むという利点があります。乳牛の嗜好性も良好です。

ぜひ汎用型飼料収穫機を飼料用麦サイレージの収穫に活用してみてはいかがでしょうか。

初掲載:平成29年10月

君津農業事務所

改良普及課

普及指導員

新垣裕子

電話:0438-23-0299

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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