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更新日:令和7(2025)年1月23日
ページ番号:706634
(どうぞうたんじょうしゃかにょらいりゅうぞう)
県指定有形文化財(彫刻)
令和5年3月10日
市川市堀之内2-26-1(市立市川考古博物館)
全高10.8センチメートル、像高9.3センチメートルの鋳銅製の誕生釈迦如来立像である。正確な伝来は不明だが、昭和5年から10年(1930から1935)頃、下総国分寺跡の南東約1キロメートルの水田で、市民が採集したと伝わっている。
本像は、中型を設けないムクの構造で、頭頂部より両腕・台座蓮肉部までを含む像のほぼ全容を一鋳する。頭部には肉髻をあらわし、上半身は裸形、腰以下に裙を着け、裙の上端は折り返されている。正面部は大きく蓮弁状(三角状)にあらわされる。両足先にかかる裙裾には、深く「人」字形の入りがあらわされ、裙は正面中央で打ち合わせるとみられる。左手はやや肘を側方に張って垂下し、掌を正面に向けて全指を伸ばす。右手は振り上げて、弧を描くように肘を曲げ、肘部分にヒビがみられる。右手先は欠失するが、もとは頭頂部右側に置かれていたとみられる。後頭部に光背枘の痕跡は確認できない。台座は、蓮肉部はロート状で、本体と同鋳されている。蓮肉部の底面には近年切断された痕跡があり、丸枘が出ていた可能性がある。像の表面は、正面は頭部下方から上半身、左腕、右腕の付け根にかけて粒だっており、背面は、頭部から下半身の腰下まで両腕の大部分が発泡したように荒れており、高熱を受けた可能性が高い。
体部に対して頭部が大きく頸部が短い量感豊かな体つきを示し、頭部を前方に突き出し、裙裾をやや後方に曳いて直立する姿勢を示す。古代の誕生仏は制作年代が明らかな事例が少なく、厳密な制作年代を決定するのは困難だが、造形的な特徴を他の飛鳥時代から平安時代にかけての誕生仏と比較すると、奈良時代から平安時代前期、8世紀から9世紀にかけての制作と推測される。この時期は、下総国分寺の隆盛期と重なることから、本像が下総国分寺における灌仏会の本尊であった可能性も否定できない。
本像は、国分寺との関係を想定し得る数少ない誕生仏像の遺品として貴重であり、千葉県の彫刻史上特に意義のある資料である。
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