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更新日:令和7(2025)年4月16日

ページ番号:706621

牡丹蓮華唐草模様七条袈裟横被付

(ぼたんれんげからくさもようしちじょうけさおうひつき)

牡丹蓮華唐草模様七条袈裟横被付

種別

県指定有形文化財(工芸品)

指定日

令和5年3月10日

所在地(所有地)

佐倉市直弥38-1(宗教法人宝金剛寺)

概要

 天正18年(1590)に徳川家康から岩富一万石に封ぜられた北条氏勝(1559から1611年)が慶長2年(1597)に菩提寺である宝金剛寺に寄進し、亀甲梅椿模様七条袈裟横被付とともに伝来した資料である。慶長2年の寄進は前年に早世した嫡子氏明の忌日との関連が推測される。

 牡丹蓮華唐草模様七条袈裟および横被の壇隔・葉・四天・鉤紐台座・縁並びに横被の縁などに使用されている表生地は、経糸に絹、緯糸に木綿を用いて地を組織する交織で、絵緯で模様を織り出す錦織の一種「黄緞」である。近世初期以前の日本には絵緯による錦織は限られていることから、中国からの舶載品と考えられる。

 地組織は日本伝存作例の通常と異なり、縦五枚繻子の重ね組織である点で希少価値が高い。また、絵緯の絹糸に少なくとも紅・黄・青緑・藍・浅葱・白の六色に、平銀糸を加えて牡丹と蓮花の唐草文を織り出す、極めて華やかな錦である。さらに、袈裟の短条壇隔7つのうちの6つと横被の四天には明時代の特徴を備えた平金糸を用いて蓮華と人物文および蓮華唐草と雑宝文を織り出した金襴が使われている。

 牡丹蓮華唐草模様横被の鏡には、縹地に黄色の経糸で三つ鶴・貝・蝶・扇など様々な模様を浮織りにした類例のない錦が使われている。模様は定陵(明萬暦帝陵墓)の孝靖皇后(1563から1612年)棺内出土の染織品の一つに近似している。

 以上の点から、牡丹蓮華唐草模様七条袈裟および横被の生地は明時代中期に中国で製作され、日本に舶載されたものと考えられる。袈裟の縫製では、縫い代を全て縦の葉側に倒して厚みを待たせることで帖葉衣に擬している点、壇隔と横の葉の模様を連続させない点に中世の特徴が表れている。

 本件は銘文を伴っており、中近世移行期における千葉県域の政治的、宗教的な変動に関する歴史資料としても重要である。また、染織史においては製作年代や伝来の経緯が明らかであり、現存例の少ない近世初期以前の基準作になり得る貴重な資料である。

お問い合わせ

所属課室:教育振興部文化財課指定文化財班

電話番号:043-223-4082

ファックス番号:043-221-8126

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