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更新日:令和6(2024)年2月2日

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流山市の食育~流山市で誕生した「白みりん」を活用した食育の取り組み~流山市の取組

1 流山市について

 流山市は千葉県北西部に位置し、つくばエクスプレス線で都心まで約20分の落ち着いた住宅地となっています。「都心から一番近い森のまち」を目指すまちのイメージとして、「母になるなら、流山市。」というキャッチコピーを掲げ、子育て環境の整備に取り組むことにより、人口は10年間で約3.8万人増加し、令和5年11月現在で約21万人となりました。合計特殊出生率は全国平均よりも高く、千葉県で5年連続1位となっています。
 児童生徒数の増加に伴い、令和3年度にはおおぐろの森小学校、令和4年度にはおおぐろの森中学校が新設されました。令和6年度にも新設小学校が2校開校予定です。
 現在、市内には小学校17校、中学校10校があり、給食は19校が自校方式で、他8校が親子方式となっています。流山産の米や小松菜、ねぎ、枝豆など、旬の野菜を給食に多く取り入れ、千産千消に取り組んでいます。

2 流山市の「白みりん」について

 江戸時代中期から江戸川の水運を活かした商都として栄えた流山。酒造技術もあったことから、1814年(文化11)に二代目堀切紋次郎の手により「万上味淋」が、同じ頃、五代目秋元三衛門によって「天晴(あっぱれ)味淋」が誕生しました。
 それまでのみりんは色の濃い「赤みりん」でしたが、流山の地で改良製造された色が淡く澄んだ「白みりん」は、甘くて飲みやすいことから女性にも人気があり、飲用酒としても幅広く愛飲され、その評判は江戸・京都・大阪へと広がり、江戸食文化とともに発展していきました。
 全国に名を馳せる流山誕生のみりん二大ブランドは、現在、流山キッコーマン(株)が「万上味淋」を受け継いで製造しています。【流山市観光協会ホームページより】

万上味淋のパッケージ写真

3 白みりんを活用した食育の取り組み

 流山市で誕生した「白みりん」を活用した食育の取り組みを紹介します。

(1)流山市教育研究会

 流山市教育研究会栄養士部会で、流山白みりんを活用した研修を実施しました。
 講師には、流山市の観光地域作りに関わっている(株)流山ツーリズムデザイン代表取締役(当時)の門脇伊知郎氏と葉茶屋寺田園シェフ(当時)の佐渡本研一氏をお招きしました。

流山白みりんを活用した研修の様子

 はじめに、(株)流山ツーリズムデザインが取り組んでいる、流山本町などに残る古民家や地域資源である白みりんを活用した観光地域作りについてお話を伺いました。葉茶屋寺田園は、本町の古民家を利用したカフェで、白みりんを使用したメニューは人気があります。シェフの佐渡本氏より、お店でも出している白みりんとこぼれ梅(みりんの絞り粕)が入ったみそ汁と、白みりんを使った大学芋の作り方をデモンストレーションしていただきました。その後、班ごとに調理実習を行いました。
 約200年前に流山市で誕生し、全国に広まった白みりんの歴史的背景や、白みりんを観光資源として活用した取り組みを知るとともに、調理実習で実際に味わうことで白みりんについての理解を深めることができ、今後の献立作成や、食育の取り組みに役立つ研修となりました。

シェフの佐渡本氏より、作り方のデモンストレーションの様子

白みりんとこぼれ梅が入ったみそ汁と 白みりんを使用した大学芋の写真

白みりんとこぼれ梅が入ったみそ汁と白みりんを使用した大学芋

(2)マンジョウみりん塾

 流山市では、小学校3~4年生を対象に、白みりんの歴史について学習し、地域や地元の名産品などの食への関心や愛着を持たせることを目的に、流山キッコーマン株式会社の主催で「マンジョウみりん塾」を開催しています。
 マンジョウみりん塾は、流山キッコーマン株式会社の社員が「みりん博士」となり、原材料の米や圧搾後のしぼり粕を見るなどの体験を通して、歴史や食についての授業を行っています。
 また、その日の給食には、白みりんを使用した献立を取り入れ、児童の興味関心を深めています。

流山キッコーマン株式会社の主催「マンジョウみりん塾」の様子

(3)総合的な学習の時間での取り組み

八木南小学校の5年生は、総合的な学習の時間に「流山のすてき発見!」をテーマに、白みりんの歴史や、絞り粕のこぼれ梅について調べました。白みりんに比べてこぼれ梅についての認知度は低く、その名から梅をイメージする児童がほとんどでしたが、こぼれ梅の形状を観察したり、匂いを嗅いだり、加熱した物を味見したりすることで、イメージとのギャップに驚いていました。
 そして、5年生は全校児童に、流山の白みりんやこぼれ梅を知ってもらうため、こぼれ梅を使用したオリジナルレシピを各自考え、レシピコンテストを行いました。選ばれたレシピは、給食に取り入れました。
 また、白みりんやこぼれ梅について、もっと地域に広めたいという思いから、「こぼれ梅のパン」を学校給食用のパンとして流山市に納入している製パン業者に製造してもらえないかと考え、交渉を進めているところです。
 
児童は今回の取り組みから、白みりんの絞り粕であるこぼれ梅をいろいろな料理に活用することは、SDGsに繋がることや、友だちと意見を出し合って、考え、検討することで、難しいことにもチャレンジできるなど、いろいろな気付きがありました。

紹介文画像

【児童が書いた料理の紹介文】

こぼれ梅スイートポテトと給食の写真

【こぼれ梅スイートポテト】
こぼれ梅とみりんを煮詰めたシロップが、さつま芋に優しい甘みをプラス♪

 

料理の紹介文画像

【児童が書いた料理の紹介文】

こぼれ梅濃厚ナポリタンと給食の写真

【こぼれ梅濃厚ナポリタン】
こぼれ梅とケチャップが絶妙にマッチ!

(4)白みりんを活用した給食レシピコンテスト 

流山市南部地区の小学校において、児童の白みりんに対する興味関心を高める機会として、3年生以上の希望児童を対象に白みりんを活用した給食レシピコンテストを実施しました。応募されたレシピは栄養士が審査し、給食に取り入れました。
レシピを考えた児童は、イメージ通りにおいしい給食として再現されたので、とても喜んでいました。
また、他の児童も、白みりんを使用したレシピのおいしさと他校の児童が考えた給食だということに驚いていました。
 

給食レシピコンテスト応募用紙

(5)給食時間の取り組み

 八木北小学校では、流山市教育研究会栄養士部会で調理実習したみそ汁を参考に「こぼれ梅のみそ汁」を給食に取り入れました。その日の給食時間に、こぼれ梅や白みりんを販売しているかごや商店の方にインタビューした動画を放送しました。「どうしてこぼれ梅と呼ばれるのか」「流山市で誕生した白みりんが江戸や全国に広まっていった背景」など、児童にわかりやすく説明していただきました。
 また、3 年生は、社会科で流山市の白みりんについて学習し、給食に使われている白みりんに興味関心が高まっていたので、給食時間にこぼれ梅の実物を見たり、匂いを嗅いだりして、白みりんやこぼれ梅についての理解を深めました。

こぼれ梅や白みりんを販売しているかごや商店さんの写真

かごや商店さん

こぼれ梅の香りをかぐ生徒

こぼれ梅ってどんな匂い?

【児童の感想】

児童の感想その1

児童の感想その2

 

児童の感想その3

児童の感想その4

(6)流山市食育パネル展

 流山市食育推進会議(健康増進課、農業振興課、保育課、学校教育課、高齢者支援課で構成)では、毎年、市役所及び南流山センターで、各課の食育の取り組みをパネル展示しています。学校での白みりんを活用した取り組みについても紹介し、市民への情報発信の場となっています。

流山市食育パネル展の様子

4 白みりんを取り入れた給食

 各小中学校では、栄養士が白みりんを活用したレシピを取り入れたり、市内の共通献立にも取り入れたりして情報共有するなど、給食を生きた教材として活用しています。

(流山小学校)の給食の写真

【いわしのみりんスイートポテト焼き】

千葉県産のさつまいもと流山の白みりんで作ったスイートポ
テトにいわしをのせて焼き、青ねぎのすっぱいソースをかけました。(流山小学校)
 

​(流山北小学校)の給食の写真

【みりんさつま芋ご飯】

6年生考案のごはんです。みりんと塩を入れて炊いたごはんに、みりんだれをからめた揚げさつまいもを混ぜこみました。さつまいもとみりんの甘さが際立ちます。
(流山北小学校)
 

 

東小学校の給食の写真

【鯖のみりんだれ】
カラッと揚げた鯖に、甘辛のみりんだれをかけて、白ごまを
ふりました。秋を感じるメニューです。(東小学校)
 

長崎小学校の給食の写真

【みりんドレッシング】
6年生考案の一品。旬の野菜やきのこなど何にでも合うドレッシングです。栄養面を考え、白ごまを入れてくれたところもポイントです。(長崎小学校)

 

おおたかの森小学校の給食の写真

【みりんトースト】
みりんをトロッとするまでじっくり煮詰めて、白ごまと合わせてパンに塗り焼き上げました。みりんの風味とやさしい甘さが味わえます。(おおたかの森小学校)

おおたかの森中学校の給食の写真

【みりん豚汁】
みりんをたっぷり使って、甘めに仕上げた豚汁です。みりんのやさしい甘さとみその風味がクセになります。
(おおたかの森中学校)
 

 

5 おわりに

 約200年前に流山市で誕生した「白みりん」は、流山市でとれるおいしいお米と水、江戸川の水運を利用したことなどから全国に広まりました。白みりんを給食や食育の取り組みに活用することで、児童生徒の流山市への愛着を育むとともに、地域の産業の理解を深めることが出来ます。また、家庭や地域へも情報発信することで、流山市が取り組んでいる白みりんを活用した観光地域作りにもつながります。令和6年には、白みりん発祥の地である流山市ならではの体験ができる施設として、白みりんミュージアムが開館予定です。今後も、市民の白みりんへの興味関心が高まる中、より一層家庭や地域と連携しながら、食育の推進に取り組んでまいります。

文責:流山市立八木北小学校・栄養教諭・三宅佐和子

 

 

 

関連リンク

 

お問い合わせ

所属課室:教育振興部保健体育課給食班

電話番号:043-223-4095

ファックス番号:043-225-8419

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